- Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062194013
作品紹介・あらすじ
「未来が明るい、なんて、だれが決めたのでしょう。」「若さはすばらしい、なんてだれが決めたのでしょう。」―。「行きたくない場所は、学校」そして、家に帰っても「ふすまのような扉がついている勉強部屋に逃げ込む」毎日。「自分には価値がなく、生きていてもしかたがないのでは」という暗い気持ちで日々を送る中学生の「わたし」。不安、後悔、劣等感、秘密、孤独、嫉妬、自己嫌悪―。小手鞠るいが描く直球思春期小説。
感想・レビュー・書評
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中学生になった「わたし」の3年間。
将来への不安、劣等感、嫉妬、初恋、親への反感などがみずみずしく描かれています。
小学6年生から中学生に読んでもらいたい。
もちろん大人も。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
暗さに辟易していたが、著者自身の中学生時代の話なのだなと気付いてからは素直に読み進められた。
自分はエロに嫌悪感は一切なかったなー、と。人それぞれやなー。 -
「感情」が少しずつ明確になってゆく過程が痛々しさを伴って描かれている。
この時代を過ぎれば、多くのひとたちが「希望」のしっぽに近づくのだろう。
過ぎてしまった日々。 -
読みながら、息が詰まりました。
自意識の固まり。自己嫌悪の日常。あの頃からそのまま。 -
まぁまぁ、わかるような。
あとがきも、そうなんだな、というか。
本を読める人にはいいのかな。 -
国語以外の勉強が苦手で、ちょっと内向的な少女の一人称で語られる中学生の心。あまり時代を感じさせるような描写はないが、ケータイもPCもなく、両親の学歴などから考えても昭和の話かな、という感じ。
しかし、今の中学生にも届く物語だと思う。
性への関心や恋とは違う憧れや体の変化に対する感覚などが、きちんと描かれているところに好感を持った。
下品にならず、それでいて実感は伴っている。
中学生女子に薦めたい。 -
ドンピシャの世代の子が読めば、とても共感できるのかも?
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中1になったわたしは、勉強も運動も苦手で、性格が暗くて友達もいなくて、劣等感のかたまりだった。
親は、本当のわたしをわかっていないから、家にいてもひとりぼっちだ。
部活のあこがれの先輩が、わたしに「本当の友だち」になりたいと言ってくれた。
嬉しかったし、先輩といると楽しかったけれど、先輩はショッキングなことをわたしに話した。
もう、ともだちなんていらない、ひとりでいい、とわたしは思うようになった。
著者の少女時代が、「わたし」なのだそうです。 -
中学生は思春期の真っ只中。
小学校とは違う「大人」の世界がぐっと自分に近づいてくる。
それに憧れはするけれど、目の前にある世界は決して思い通りにはいかない。
恋や友情、親との関係、進学、容姿、その他いろいろ。
ちょっと気にくわないから悪口を言ってみた。
そしてそれで友人を失う。
ちょっとサボってみたら、あっという間に成績は落ちる。
ちょっと寝てたら、親に叱られる。
ちょっと食べたら、変なぶつぶつはできるし、なんだかプニプニしてきたみたい。
ああ、もう、こんな毎日のどこが楽しいの?!
私って性格悪い。
嫉妬もするし、腹も立つ、しかもブス!最悪。
あの人が好きみたい。
でも、本当に、私はあの人が好きなのかな?
誰かに好きって言って欲しくて、そうしたら自分に自信が持てる気がして、それでとてもわかりやすい記号、「好き」に飛びついただけなんじゃないのかな?
ぐるぐるぐるぐる、いろいろな感情が自分を巡る。
溢れてくる感情は嫌なものばかり。
だからもっと自分を嫌いになる。
でも......
「でも、味方につけるの。そういう感情でも、いやな感情でも、そこから逃げずに、きちんと向き合えば、味方になってくれるのよ」
「目の前にある、ひとつひとつの小さな目標。それを少しずつ達成していくことで、着実に未来につながっていくはずよ」
あの頃の私にとっては、今は未来。
今も、基本的なところは変わっていない。
理想とした私にはまだ遠い。
けれども、一歩ずつ歩み、ひとつずつ小さな山を乗り越えていけば、もうすこし未来の私が今を振り返った時、きっと私は思えるはずだ。
あの頃の私が今の自分を支えている、と。