リジェクション 心臓と死体と時速200km

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 51
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062201759

作品紹介・あらすじ

16歳のイタリア人の女の子、アシュレイは事故で死にかけて心臓移植してから、急に人生が愛おしくなった。

「ほんもの」に出会う旅へ出かけたら、ナゾの殺人事件に遭遇!犯人はだれ?
アシュレイは、一人死んでいった男との出会いで、「ほんとうに生きる」って、どういうことなのか自分を見つめなおすようになる。

感想・レビュー・書評

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  • 心臓移植ものでは、性格が変わるというのが定番のストーリーなのかな?本当に性格が変わるっていうのはありそう。

  • もうすぐ17歳の女の子アシュレイが思わぬ事故で心臓に致命的な傷を負い,幸運なことに心臓移植されて助かる.それを境にアシュレイの性格などが変わりそしてというお話.恋愛あり,死体が登場してミステリーありの成長物語.そして移植された心臓にドナーの心は残っているのかという問いの答えはわからないが,なんか本当にありそうな気がした.

  • リジェクションとは、拒絶反応のこと。事故のために心臓移植を受けて生き延びたアシュレイという少女が主人公。舞台は現代イタリア、霧深い時期のロンバルディア平原。

    他人の臓器を自分の身体に取り込むのだから、拒絶反応が起きるのは当然で、それを薬で抑えつつアシュレイは生きている。それだけでなく、彼女は移植をうけてからこっち、なんとも言えない違和感を抱えながら生きている。突然変化した嗜好、予期しない感情のゆれ、母親との葛藤、クラスメートとの間に築いてしまう微妙な壁。それらは皆、自分という存在を自分で受け止めて切れないことから来る違和感なのだけども、これをも含めて「リジェクション」だから、タイトルはうまいなあと思う。

    アシュレイは日頃の鬱憤を晴らそうとして、バイクで遠乗りに出かける。偶然迷い込んだ田舎の民泊で、死体運びを手伝う羽目になり、そこから不思議な縁を得て自分を見直すきっかけを得る、というのが大筋の話。舞台はイタリアの田舎だけど、保守的で旅人に親切な土地の人の様子とか、不思議なくらい日本の山村と似ている。

    悩める主人公→出会い→成長という王道のヤングアダルト文学だが、それだけでなく、文字で描かれた王道の少女漫画という面も持っている。実は、サブタイトルの「心臓と死体と時速200㎞」を見てミステリやサスペンスを期待していたが、蓋を開けてみればガチのロマンスだったのだ。主人公が思いを寄せる相手というのが、ズルいくらいにスペックが高くて(家業を引き受けながら大学で勉強し、古典に精通してしかも領主の家系ですよ。広い敷地の中に、先祖代々の肖像画が並ぶお城を持っているのですよ。イケメソであることは言うまでもなく)、前半はツンデレを貫こうとしていたヒロインが、後半でだんだんとろけてゆくさまを、ひたすら羨ましく思いながら読み進めており、正直、母親との和解のエピソードは印象が薄くなってしまったくらいだ。

    読後感:やはり女の子は恋で救われるものなんだろうか。

  • 不注意の事故から心臓移植でいのちをつないだ16歳のアシュレイ

    移植された心臓のリジェクション(拒絶反応)をおそれ
    ドナーとなった少年の記憶転移かもしれない性格の変化が気になり
    思いがすれちがうだけの母との親子関係に嫌気がさして
    違法バイクで高速道路を猛スピードで駆け抜けていくと
    行き着いた小さな宿で出会ったのはふしぎな青年と死体だった

    イタリア在住の作家による読後すっきり青春ミステリー

  • 事故で心臓移植を受けたアシュレイは、手術後に自分の性格が変わったように感じていた。
    心臓をくれた少年の性格が自分に乗り移ったのではと思ったが、関係の悪い母親には相談できなかった。

    バイト先で借りたバイクに乗って家出を試みたが、事故に遭遇し、辿り着いたある店で、ルカという青年に出会った。

    泊めてもらったその店で、実は一人の男が突然死していた。警察はルカが殺人犯ではないかと疑いを持った。
    誠実そうに見えたルカが犯人なのか、アシュレイも疑いはじめた。

  • 事故で心臓にダメージを負ったアシュレイは、心臓移植によって生き返った後、自分のものとは違う記憶や性格を感じるようになる。スピードへの渇望のまま、母とのぎくしゃくした関係から逃げるようにバイクで高速道路を走っていたが、事故で通行止めになってしまう。柵の隙間から高速道路を降り、ガス欠の寸前で小さな宿にたどりついたアシュレイは、古風な言葉を話す不思議な青年に出会った。宿代代わりにその青年に頼まれた用事とは、2階の死体を階下に下ろすこと! ミステリー仕立てだが、家族との葛藤や成長、初恋も描かれて、アシュレイの幸福を願いたくなる物語。

  • 心臓移植をきっかけに自分が変化していることを自覚するアシュレイ。心の求めるまま飛び出した先で遭遇したのはおばあちゃんと青年となんと死体で....。と、少しサスペンスの入った自分を見つめ直す話。
    最初から最後まで鮮やかでカッコイイ。ベタだけどこのラストが大好きです。

  • 久々に面白い本を見つけたって感じです。主人公も魅力的だけど、わき役もいいのです。バイト先のボスが好きです。ルカも素敵。若くてカッコいいのにじじくさくて三輪トラックに乗っているところがいい。そして死と愛の恐怖におびえながら、葛藤していく少女、アシュレイがまぶしいです。
    刑事さんたちのキャラも好きです。サスペンスに満ちていて、どきどきしながら読みました。

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著者プロフィール

『水色の足ひれ』(第22回ニッサン童話と絵本のグランプリ童話大賞受賞・BL出版)で作家デビュー。主な著書に『スーパーキッズ 最低で最高のボクたち』(第28回うつのみやこども賞受賞)『ぼくのネコがロボットになった』『リジェクション 心臓と死体と時速200km』『雨の日が好きな人』(以上、講談社)、『セイギのミカタ』(フレーベル館)、『つくられた心』(ポプラ社)、『一〇五度』(第64回青少年読書感想文全国コンクール中学校部門課題図書)、『アドリブ』(第60回日本児童文学者協会賞受賞)、『世界とキレル』(以上、あすなろ書房)など。
イタリア在住。日本児童文学者協会会員。季節風同人。

「2023年 『おはなしサイエンス AI(人工知能) ロボットは泣くのか?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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