戦の国

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 330
感想 : 48
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  • Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062208048

作品紹介・あらすじ

戦国――激動の55年を、織田信長、上杉謙信、明智光秀、大谷吉継、小早川秀秋、豊臣秀頼ら六傑の視点から描く、かつてない連作歴史長編小説!
男達が戦う意味は何だったのか。あの日、あの刻、誰か一人の、一つの決断がなければ、戦国の世は変わっていたかもしれない。
冲方丁の新たなる代表作、ここに結実!

感想・レビュー・書評

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  • 題名通り、戦の話です。戦に関わる短編集という感じです。
    信長の桶狭間の戦いから始まり、武田と上杉の川中島の戦い。
    明智光秀の本能寺の変などありました。
    後半はほとんどが負け戦の話でしたが、負ける方は悪く書かれるパターンではなく、なんでこんな魅力的な武将が戦で消えないといけないんだろうと、戦に対する悔しさと、この人が勝っていたらどうなっていたかを考えさせられる作品でした。

  • 冲方丁氏の作品は初めてだ。
    この名前の読み方や、その由来なども今回初めて知った。
    この歴史小説を書いたのがSF作家であったことにも驚き、また本書の中で使われているボキャブラリの豊富さにも感嘆したが、著者は海外生活が長く、そのことが逆に日本語にこだわりを持たせたということを知り、なかなかユニークな作家さんだなというイメージを持った。

    本書だけでなく、他の著書も読んでみたいと思った。

    本書について。まず、本のデザインがいい。燃えるような赤。「戦の国」というタイトルにマッチしている。

    桶狭間の戦い 1560年6月12日 織田信長vs.今川義元
    川中島の戦い 1561年10月17日 上杉謙信vs.武田信玄
    本能寺の変 1582年6月21日 明智光秀vs.織田信長
    関ケ原の戦い 1600年10月21日 東軍vs.西軍(徳川家康vs.石田三成)
    大阪冬の陣 1614年11月 豊臣秀頼vs.徳川家康
    大阪夏の陣 1615年4月 豊臣秀頼vs.徳川家康

    1560年~1615年の55年間-これを著者は「日ノ本が造られた激動の55年」と表現する-に繰り広げられた合戦を、それぞれの合戦の主役の視点から小説化された作品である。

    その主役とはすなわち、織田信長、上杉謙信、明智光秀、大谷吉継、小早川秀秋、豊臣秀頼の6人の武将であり、それぞれが短編小説のようであり、かつ連作であるがゆえにつながりをもっている。

    織田信長の勝機を逃さぬ鬼神のような攻め、戦に戦略・戦術を組み入れた越後の虎上杉謙信、自らが戦人であることを自らの手で証明しようとした明智光秀、患いながらも人望熱く天才的な采配を振るう大谷吉継、若輩ながらも天下分け目の戦いのキーマンとして歴史に名を残した小早川秀秋、そして英雄の血統と天賦の才能をもったプリンス豊臣秀頼の完全燃焼の戦い、ほぼすべてのページに没入させられてしまった。

    いずれも有名な戦い、有名なシーンを書きあげたものだが、それぞれの武将の人物表現、心理描写などがうまく臨場感あふれる小説となっている。大谷吉継、豊臣秀頼の生きざまは、また別の書があれば読んでみたいとも思った。

  • いろいろな戦国大名を主人公にした連作短編集なのだけど、豊臣秀頼の話がアイデア、人物造詣とも魅力的で大阪の陣の解釈もなるほどと思うものがありました。短編なのに細かな描写も多く、一遍一遍の読み応えもありました。
    そして、なにより読みやすい。
    豊臣秀頼の感情のあり方、自分の感情ですら距離をおいて、見つめる、ある意味「感情のない」「感情が制御された」人間という描写が凄く印象的で、そのような人物となった根拠の描き方も説得力のあるエンタメ的な理由になっていて参考になりました。
    時代小説も作家の力量次第で3万文字前後のボリュームで読み応えのある作品が描けるのです。しかし、私が書こうとしても戦国時代の知識が弱すぎ。
    多分、中世ヨーロッパの方が知っているくらいな感じ。
    人気の時代なら幕末の方がまだベースとなる知識があるんですけどね。
    戦国時代は本当に知らん。

  • 桶狭間の戦いから始まり、戦国の世が終わるまでの、まさに戦の国を作り上げた名だたる武将や戦国の名場面にスポットを当てた短編集。

    歴史小説はやっぱり軽々しく手に取りづらい印象があって、好きな自分でも長編を読み始める時はまとまった時間と気合がいるけれど、でもこれは歴史小説の美味しいところをぎゅっと集めたような短編が集まっていて、普段歴史小説を読まない人にも勧めたいなあと思った。

    短編でも冲方さんならではの、どっぷり惹き込まれるような魅力的な人物の描かれ方がされていて、ああ実は史実の裏では本当にこうだったのかもと思うと、ぞくぞくするような愛おしさと興奮がある。
    短編のなかでも共通のテーマがあって、違う時代を生きた武将達の有能さやそれぞれの時代の移り変わりに想いを馳せながら、1冊通してずっと戦の国を存分に味わえた。

    各話、有名な人物や場面だからこそ分かる、近づく結末がもどかしかった。
    それぞれの武将がもし同じ時代にいたら、ここで違う動きをしていたら、討たれなかったら、この人が天下人になっていたら、とつい考えてしまう。
    上杉謙信が天下をとった世界線、秀頼が討たれなかった世界線、見てみたかったなあ。

    短編の歴史小説は初めてで新鮮だったし、何より本当に武将達が格好よくて面白かった!
    また読みたい。

  • 織田信長から続く、6人の武将の有名な戦を短編でそれぞれ纏めたもの。兵站や上洛、戦のために整備した道が後の時代の道となる〜的なのがひとつのテーマ?としてある。
    短編なので、ダイジェスト形式。長編でそれぞれ掘り下げられていい武将たちばかりなのでちょっと小説というよりかは説明文を読んでるような気分になる。
    ただ冲方さんなりの武将の解釈があってそれはそれで面白い

  • 戦国武将が戦い抜くために作り上げた道について新たな視点から描きだすという歴史連作小説。織田信長、明智光秀と言った既に多くの歴史小説で描く尽くされてきた感のある武将を見直していくのはなかなか難しい。大谷吉継や小早川秀秋は興味深いところもあったが。

  • 解釈が独善的過ぎて、いまいち面白くないなぁ

  • 知っていると思っていた人物に対する思いがけない視点、有名な史実の狭間にあって知られていない出来事などが丁寧に整然と描かれていて、「あぁ、知っているのと違うけど、これが本当かも」と思わせる作品群です。

  • 桶狭間から大阪城落城まで、戦国武将の個性が際立つ短篇集でした。
    明智光秀と豊臣秀頼の心中が思ってもみなかった解釈で面白かったです。関が原において裏切り者とされた小早川秀秋のそこに至るまでの事情心情は名前と裏切りの程度の知識しかなかった私には強く印象に残りました。
    また、読み進むにつれて先に読んだ話に登場したキーワードとも言える言葉が深みや広がりを出し、短編が一つの大きな歴史物語にゆるやかになっているのも良かったです。

  • この頃の史実に詳しければ もっと 楽しめただろうなぁと 自分の知識の 半端さ曖昧さにガッカリ

    半端な知識だからこそ ふんわりとしたイメージしか持っていなかった 武将はたくさんいて その中でも 小早川秀秋・ 豊臣秀頼は印象的だったな
    それに 明智光秀は自分なりにイメージがあったけれど さらっと裏切られ 驚いた

    とにかく作品の中の武将達に「そうだったの ごめんね 知らずにいて」と 謝りたくなってしまった(笑)

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著者プロフィール

1977年岐阜県生まれ。1996年『黒い季節』で角川スニーカー大賞金賞を受賞しデビュー。2003年『マルドゥック・スクランブル』で第24回日本SF大賞、2010年『天地明察』で第31回吉川英治文学新人賞、第7回本屋大賞、第4回舟橋聖一文学賞、第7回北東文学賞、2012年『光圀伝』で第3回山田風太郎賞を受賞。主な著書に『十二人の死にたい子どもたち』『戦の国』『剣樹抄』『麒麟児』『アクティベイター』などがある。

「2022年 『骨灰』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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