- Amazon.co.jp ・本 (168ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062209410
作品紹介・あらすじ
ショートショート作家・童話作家である山口タオが30年にわたって書きためてきた作品を厳選した、自選ショートショート集。
平均数ページのごく短い作品の中に、ハッとされる意外な視点と、ユーモア、ホラー、童話の味わいが詰まっています。
どちらかというと怖い感じの作品を「黒のショートショート」、どちらかというとほのぼの系の作品を「白のショートショート」にまとめ、2冊同時に発売します。
(収録作品)22編
ヘイ、タクシー!
ためらい
よい子の報酬
窮地脱出
妻の仕事
ブラウン博士の診察室
鳴らないで
彼女は公園で夢を見た
幸せな人
素晴らしいバス旅行
バッハの時間
ふられ薬
話のタネ
どこか遠くへ
星
御用をなんなりと
ネコノボリ
雨の日のお客様
カゼをひいた町
階段のおまじない
タヌキの恩返し
ロバが語った宇宙飛行士の話
感想・レビュー・書評
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「このたびは新刊見本プレゼントにご応募いただき、誠にありがとうございました。厳正なる抽選の結果、あなた様が当選されましたので、賞品をお送りいたします。おめでとうございます!」
という添え書きとともに白っぽい本が送られてきた。夫がそれを見て不思議がっている。
「おかしいなあ、そんな本のプレゼントに応募した記憶がないぞ」
「いいじゃないの、くれるっていうんだから貰っておけば」妻はいたってお気軽に考える性質である。
「いや、これはもしかしたら国際的な陰謀組織によるメッセージかもしれない。24もの短編があるのが怪しい。この題字の1番上の文字をつなげて行くと、ある言葉が浮き上がるとか」
「ばへね、たよかきつふは、おなかあしすかほごおたぞは」妻が読み上げる。
「ほれほれ、まるで和歌みたいじゃないか!」
「意味は?」妻が聞いてくる。
「わからない。だから、これから調べてみよう」
それから夫は、大学院文学科に入り直し、古代文字の研究を始めた。そうすると、この歌の意味が解明される前に、幾つもの新発見古代文字を発見し、退職後の老年世代が羨む遅咲きの准教授になったのである。
「それで意味はわかった?」妻は再度聞いた。
「わかったよ」夫は自信満々に答えた。「まあね、つまらない梅雨は、とっても面白い本読むに限る。‥‥つまり、本は愉しんだ者勝ちって意味だよ」どうやらかなり強引な解釈だったらしく、誤魔化すように夫は呵呵と笑った。
講談社さま、プレゼントありがとうございました。とっても愉しませて貰いました!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ショートショート集なので、短い時間で話のオチまで行けるのがいいですね。最初の「バッハの時間」がそうきたか!と思えて面白かったです。最後の青のショートショートはうるっときました。
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ショートショート集。初めて読む作家さんだと思ったけれど、「バッハの時間」と「ふられ薬」に読んだ覚えがあるぞ。しかも面白かった記憶もあるので、これは他の作品も期待大だよね。「白」ということなので、こちらはユーモラスでほのぼの路線が多いのかな。
お気に入りは「鳴らないで」。とってもシンプルで、だけど不可解で印象が強いです。面白いのだけれど。実際に起こったら嫌だなあ、こんなの。 -
黒より面白かった。最初の「バッハの時間」が良い意味で゛いかにも゛な作品で、そのままよいテンポで読み進められた。