東日本大震災 石巻災害医療の全記録―「最大被災地」を医療崩壊から救った医師の7カ月 (ブルーバックス)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062577588

感想・レビュー・書評

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  • ☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです☆http://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB08340750

  • 石井先生が救護チームを動かし、多くの被災者の医療を支えることができたのは
    絶妙なタイミングだったとこの本を読んで思った。
    もし彼が真剣に災害対策をしていなかったら・・
    従来通りのリアリティのないマニュアルだけだったら・・
    被災地はどうなっていたのか。

    あの混乱の中ここまで記録を残すことができたことが凄い

  • 先の震災で最大の犠牲者を出した石巻。地区の医療コーディネーターとして医療のみならず保健衛生・介護・食料・水の調達まで、その指揮統括にあたった著者(石巻赤十字病院)の7ヶ月間の記録。

  • 石巻のモデルは今後の災害医療の一つのgood exampleになるのだろう.困難に直面した時に生きたのは, それまでに作り上げてきた人とのつながりだというのが最も印象的であった.
    災害は日本という国から切っても切れないものである. 今後どんな道に進むことになっても, 災害医療に貢献できるような準備だけは怠らないようにしたい.

  • 石井先生は医師だが、傑出した一人ないし数名によって支えられている自治体は意外と多くあるようで、震災の局地的な対応を中心に書かれたこの本は多いに学ぶべきところのある本なのではと思う。

  • 被災地での緊急医療現場のトップに立った医師のお話。
    内容は、自分にとって何かの参考になるようなことはすぐにはなさそう。でも、危機管理というPRにつながるものは勉強になった。しっかりと卓上に留まらない、リアルなシュミレーションと対応マニュアルの必要性。早い意思決定の必要性。企業の危機管理の為にここから学ぶことは大きいと思う。

  •  著者の石井正氏は、石巻赤十字病院医師。東日本大震災で最大の被災地となった石巻の災害医療の中心人物である。本書は、震災直後の同病院における医療スタッフの奮闘の実話である。私は、東北応援のため仙台に赴任した際に石井氏の講演を聴く機会に恵まれた。未曾有の大災害という究極の状況の中で、全国からの応援を受けながら多数のスタッフ・関係者を統率した指揮官の話は実に迫力のあるものであった。
     本書で書かれた石巻における災害医療におけるノウハウや考え方は、医療のみならず、あらゆる分野での組織経営、危機管理に応用できるものであると感じた。以下にその一端を記す。
    ●平常時から関係者と「顔が見えるネットワーク」を構築しておく。
    ●「リアルなマニュアル」と「リアルな訓練」により本番を想定して備える。
    ●情報は自ら取りに行く。向こうからはやってこない。
    ●非常時の現場に「評論家」は要らない。「こうあるべき」ではなく、「どうしたらできるか」を考えて、素早く動く。
    ●協働するすべての相手に敬意を払う。
    ●現状把握→現状分析→解決案立案→実行→検証→改善 というPDCA (Plan-Do-Check-Action)を回す。

     

  • 震災が発生してからその半年後にチームを解散するまで、
    石巻圏合同救護チームを率いた石巻の日石の石井先生が
    当時を思い出して書かれた本です。

    著者は震災1カ月前、宮城県の災害医療コーディネーターに就任。
    その直後に発災。石巻の日赤は拠点病院としては唯一石巻圏で
    被災していない病院だったので、即時臨戦態勢へ。
    全国から派遣されてくる3633チーム、1万5000人をとりまとめ、
    避難所に派遣し、被災者5万人超の診察にこぎつけました。
    時には機能停止している石巻市に代わって医療以外の分野まで
    サポートしながら活動を行い、半年後の9月に活動終了。

    震災が起きてからのことだけではなく、
    いつか来ると言われていた三陸沖の地震に備えて、
    それまで日赤や自治体、警察、自衛隊とどう連携を結んだか、
    人脈を繋げることによって民間企業とも自主協定を結んでいたことなど、
    日ごろの取り組みについても細かく記されています。
    実際に現場でどういう問題が起き、どう解決していったのか、
    なども細かく書かれているので、全体を見渡す上で大変タメになります。

    私のような小さなボランティア団体を率いていた人間でも
    同じような経験をしたり、深く共感できたところがあります。

    こういう大規模災害の救援に携わる立場の人、
    とくにコーディネートの仕事をする人や、企業、役場、NPOの担当者、
    医療従事者、ボランティアのリーダーなど、
    各立場の取りまとめをする人には、この本は必読の書だと思います。

  • 資料番号:011459401
    請求記号:498.8/イ

  •  東日本大震災において莫大な被害を被った石巻にある石巻赤十字病院の、震災時の出来事と対応をまとめた本。「災害医療コーディネーター」による緊急時のマネジメントが、当時の状況と統計によって淡々と語られている。たった数ヶ月の間にこれほどの事が起きた中で、よく記憶することができたなと思うばかりである。
     私は当時ボランティアとして災害支援をしたが、5月中頃であったため医療業界は何をしていたを直接見ていたわけではない。ただ、目の前でクギが刺さって破傷風トキソイドの感染の恐れがある友人に対して、ストックもそうないはずの予防薬をすぐに打ってくれた医療人に対しては本当に感謝しきれなく、また多くの人の命を救ったのだと思う。
     震災において自分には何ができるか。本書によると各々の分野に捉われず、情報収集を行いながら臨機応変に動く事であるという。震災からもうすぐ2年が経ついま、当時の対応を再評価し、次の大震災について備えるにはどうするかを考えさせられる本だった。

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