- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062579575
作品紹介・あらすじ
実は「謎だらけの海」だった!
独自の海水と循環構造をもち、厳寒の冬にだけ起動する“造水装置”をも備える。
調査航海歴40年の第一人者が謎解きに挑む。
なぜ、世界中の海洋学者が注目しているのか?
わずか8000年前まで“死の海”だった日本海。
生命の宝庫へと変貌した背景には、最下層にひそむ、厚さ1000メートルにおよぶ「謎の水」の存在があった。
この海特有の海水は、なぜ生まれたのか?
そして、環境変化を先取りする「ミニ海洋」の異名をもつこの海に、いま生じつつある大きな異変とは?
「母なる海」の知られざる姿を解き明かす、海洋科学ミステリー。
感想・レビュー・書評
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2016.6.8 延長 2016.6.29あゆ美に返却依頼再度5/28 期限5/28 返却6/2
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同じ著者の「太平洋」が面白かったので、「日本海」も読んでみた。やっぱり、わかりやすくて面白かった。
この本が出る前に、著者は日本海の面白さ・重要さを2カ所の中学校の授業で説明したそうだ(あとがきに書いてある)。その授業をわかりやすいものにするために行われた準備が、この本の持つ、語りかけるような文章とわかりやすさにつながっていると感じる。 -
同じ著者のブルーバックス「太平洋」が良かったので、こちらも読みました。4章までは自然科学で深層の海水の話や日本海の成り立ちは、なるほどと思って読めました。ですが5章から先の文化面は、それは日本海ではなく日本の日本海岸の話では?日本海の話なら同じような特徴が朝鮮半島やロシア沿海州にあっても良いと思うのですが、そこへの指摘がないのが不満でした。
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★3.5。
何が一番新鮮だったかと言われれば、日本地図の示し方。
富山県、凄いじゃないですか、この発想。日本列島がどういう形なのか、むしろこの方が分かりやすいくらいかも。
いやいや、こちらも面白い本でした。 -
海水が沈み込み、酸素や栄養を深海に届けるというのは興味深い
海水だから沈んでいるというイメージがないが、表層面が重くなると沈むと言われると納得
日本海は循環が内部で完結しているミニ海洋で、この先の世界の海の先行モデルたりうる
地球温暖化の影響が海水の循環にどのような影響が出るのか不安になってくる
過去の核実験で出たトリチウムが海水が沈んだ時期を特定するのに役立つというのも面白い -
memo:
平均水深 最大水深
日本海 1667m 10920m(マリアナ海溝)
全海洋 3800m 3796m(日本海盆)
黄海・東シナ海 272m
オホーツク海 973m
大和海盆 3000m 対馬海盆 2600m 大和堆 236m
海峡 間宮10m 宗谷50m 津軽130m 対馬130m
~海峡の浅さ、強い閉鎖性
干満の差 八戸130cm 深浦20cm
(P37)
「ブロッカーのコンベアーベルト」
北大西洋深層水(冷却され塩分の高い北部北大西洋で沈み込んだ高密度水)→大西洋を南下 →南極底層水 →(地球の自転の動きで西へ)→太平洋 暖かい表層の流れとなり、北大西洋へ還流(一巡に1000~2000年)
日本海は一巡100~200年
海水の年齢調査 放射性炭素C14やトリチウム含有
◇C14による年代測定
大気中の窒素原子N14が宇宙線由来の熱中性子nによって核反応を起こしC14を生成。C14はCO2となって大気中に均一に拡がり、その一部は大気から海洋表面水に溶け込む。C14がどのぐらい減少(半減期5730年)しているかを調べることで、経過時間(年代)を算出できる。
木片の場合、樹木中のセルロースは生育中は大気中のC14を取り込んでいる。切り倒されると、大気との接続が断たれてC14の供給がなくなることから算出できる。
◇トリチウム(半減期12.3年) 1960年代 大気中核実験で生成
H2Oの中にTHOとして紛れ込む -
日本海が、構造的に世界の海洋システムのミニチュアのようになっており、その変化を観察することが、気候変動が世界の海洋に及ぼす影響を考える上で、非常に示唆に富むということが分かった。
海の水はその場所によっても、その深さによっても異なっており、それらの循環システムが、海の生態系を作りだす役割を担っている。
中でも日本海は、そのシステムの独立性が高く、かつ非常にコンパクトな形で成立しているということに、大きな特徴がある。
著者の研究は、その実態を明らかにする意味で非常に有意義なものであると感じた。 -
日本海は地球の海の縮小モデル
海峡は浅い
急激に深くなる
太陽系における地球の奇跡と同じ、日本の気候の奇跡
大陸からの風が日本海で水分を吸い上げ、冷やされ、列島の日本海側に雪を降らせる
雪は多量の水を蓄積する
流れやすい雨と違う -
日本海の構造,歴史,日本の気候に及ぼす影響,環境変化のカナリヤ的位置付けであること,など。
直接潜ってどうこういった違いがわかるような深さではないけど,次に日本海に相見える時にはそうかこの中は……とにやにやしそう。