海の教科書 波の不思議から海洋大循環まで (ブルーバックス)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062579742

作品紹介・あらすじ

身近なのに意外と知らない「海」を最新科学で解き明かす!

【海のさまざまな現象を知ると、地球の素顔が見えてくる】
海水はなぜ塩辛い?
波はどうして起きるのか?
月が潮の満ち引きを起こしているって本当?
親潮や黒潮はどこからやってくる?
熱帯で起こるエルニーニョ現象が、なぜ日本の気候に影響する?
数千年もかかって海水が地球をめぐる「海洋大循環」とは?

あなたの知らない海の姿を、最新科学で徹底解説。
目に見える海の現象から、目に見えない地球規模の活動まで、
海をまるごと解説する、海洋学の入門書です。

感想・レビュー・書評

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  •  今分かっていることを一通り詰め込んだ感じ。読み物として書いた、とのことだが、たしかに読みやすかった。波、潮汐や海流の仕組み、北極や南極になぜ氷があるのかなど海の疑問に一通り答えてくれる作りになっていた。特に潮汐は単純に月の引力だけが原因というわけではないことだけでなく、地球が月の周りをまわっていることで生じる遠心力によるものというのは驚きだった。

  • 学問的な内容。すなわち専門的すぎる。
    例えば海洋探査船で用いられる測定器具を詳細に紹介されても、一般読者には響かない。

    読了35分

  • 関連講義@夢ナビ:
    海洋の息吹「南極深層水」を追え
    https://douga.yumenavi.info/Lecture/PublishDetail/2021000960

  • [鹿大図書館・冊子体所蔵はコチラ]
    https://catalog.lib.kagoshima-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB21399882

  • 開発目標14:海の豊かさを守ろう
    摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB50004636

  • ↓利用状況はこちらから↓
    https://mlib3.nit.ac.jp/webopac/BB00536835

  • ●海の教科書というだけあって、波や海流、海水の性質、エルニーニョ現象など豊富なテーマを解説している。

  • 地球環境と海洋研究を専門とする著者による海の話。海について、全般的によくまとまっておりわかりやすい。勉強になった。
    「日本は、6852もの島からなっており、これだけの多くの島からなる国は、世界では他にインドネシア、フィリピン以外にはありません」p25
    「(海洋地球研究船 みらい)前身は原子力船「むつ」です。「みらい」は、「むつ」の船体の後部と原子炉を取り除き、新造された後部と「むつ」の前部とを接合して作られました」p58
    「(4℃で密度最大)湖の淡水が冷たい空気で冷やされると、4℃に冷えるまでは湖面で冷やされた水は重くなって、対流により沈んで底のほうにたまります。さらに4℃より冷えると、冷やされた水の密度は4℃の密度より小さいため底に沈まずに、湖面で結氷します。海水の場合は、密度が最大になる温度も海水が凍る温度も、塩分の増加に伴い下がる傾向があります。通常の塩分値では、氷ができる温度で密度が最大になります。海水は冷やされるとどんどん重くなり、その密度に釣り合う海水が存在する深さまで沈みます。このため、海を冷やして氷を作るには海面の水だけを冷やせばよいのではなく、海面よりもっと下の水まで結氷温度に冷やさなければなりません。つまり、海は淡水の湖に比べて大変凍りにくいのです」p92
    「(黒潮の左右で海水温が違う)密度が小さいということは同じ質量であれば体積が大きいことから、黒潮をはさんで南側では北側に比べ海が膨らんでいる、すなわち海面高度が高くなっています。実際、黒潮を越えて南に行くと、海面高度が約1m高くなっています。この海面の高さの違いは人工衛星の海面高度観測で検出できることから、海面高度の変化を観測すれば黒潮の流れている位置やその強さをモニタリングできます」p128
    「(潮汐)起潮力は地球外天体(月、太陽)の引力と地球が月(太陽)との共通重心の周りを回転していることによる遠心力(地球と月との共通重心は、地球の内部)」p226
    「太陽の起潮力は月の0.46倍で平均25cm」p231
    「最大の潮汐周期は、主太陰半日周潮(M2)」p232
    「満潮と干潮の潮位が1日で異なっている日潮不等は、月の公転面と地球の赤道面が一致していないために起こる」p233
    「日本で最も潮差が大きいのは有明海の奥で、最大6mもあります。世界ではカナダのファンディ湾で15mにもなる(湾の固有振動とM2との共鳴が原因)」p243
    「(エルニーニョ)平均0.5℃以上高い状態が6ヶ月以上続いた場合」p258
    「エルニーニョ現象が起こると日本では冬は暖冬、夏は冷夏となる傾向があります」p272
    「南極周極流は世界最強の海流で、その流量は黒潮の3倍近い」p309
    「(海氷と氷山)よく間違われるのですが、南極で見られる氷山は海が凍ってできたのではなく、大陸の氷床が海にはみ出して棚氷となり、それがちぎれて海に流れ出たものです」p311
    「南極周辺では海氷が作られますが、海氷ができる際に塩分のすべてを氷の中に取り込むことはできません。海水は凍る際、2~3割程度の塩分を氷に取り込みますが、残りの塩分は海に排出されるのです。この排出された塩分により濃縮された密度の大きい海水は、海底に沈み込んでいきます」p311
    「長期的な観測の結果によれば、南極全体では海氷の面積はわずかながら増加傾向となっています」p315

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著者プロフィール

1963年北海道生まれ。博士(地球環境科学)。現在、国立研究開発法人海洋研究開発機構地球情報基盤センター技術主幹。1988年北海道大学大学院理学研究科修士課程修了、2000年北海道大学大学院地球環境科学研究科にて博士号取得。気象予報士。2008年~2009年防衛大学校非常勤講師。2010年~2016年山口大学非常勤講師(海洋・大気力学特論)。主な研究内容は、西部熱帯太平洋における海洋循環とその変動。海洋地球研究船「みらい」に首席研究員として10回乗船するなど、計20航海、600日以上海洋観測船に乗船して海洋観測を行った。写真が趣味で、観測のかたわら熱帯の空と海の写真を多数撮影し、科学技術団体連合主催「科学技術の『美』パネル展」にて、2011年から3年連続最優秀賞受賞。著書に『海洋地球研究船「みらい」 とっておきの空と海』(幻冬舎)がある。

「2016年 『海の教科書 波の不思議から海洋大循環まで』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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