自己コントロールの檻 (講談社選書メチエ)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062581776

作品紹介・あらすじ

"感情は危険なものです""「感情の知性」を習得して、よりよいあなたに!"…。高度な合理化とセルフコントロールが支配する「心理主義化社会」の時代。携帯技能=「心の知識」が可能にしたソフトな「鉄の檻」。その新たな管理の現実とは?「人格崇拝」「マクドナルド化」をキーワードに、現代社会の息苦しさを解読する。

感想・レビュー・書評

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  • 20年前の本だが、今読んでも違和感が全くない。むしろ予言書だったような不気味さを感じるほど、ここで考察されてことが日本中津々浦々で起こっている。

  • 心理学やカウンセリングが普及し、個々人の「こころ」や「性格」を重視する現代社会。弱まるどころか、より高度な自己コントロールが日常的に行われている。マニュアル的な感情マネジメントも日常生活にまで入り込んでいる。

    処方箋や社会の対応ではなく、まずは、現況の事実として。書かれたのが2000年というのが、さすが学者だと思いました。

  • 合理化が心理的に良くないからストレスたまるよね、というような話。じゃあどうすればいいの、っていう話じゃない。が、観点が秀逸で、面白い。

  • ゼミの参考文献として読破。
    おもしろくはなかった。

    【私の選択の実現が他者による選択に依存し、その他者が心理学的な基準に沿って選択する場合、私はその心理学的基準に照らし合わせて自分を見つめ、解釈し、その基準からみてよりよい評価が得られるような方向に自分を導いていく可能性が高い】
    【心理主義化してきた現代人は、マクドナルド化した人々である。つまり、心理学的知識や技法を身につけて、生活のあらゆる場面でより合理的に振る舞い、スムーズに予想したとおりにものごとを進行させようとする】
    【たえず繊細な感受性を働かせ相互に相手の人格に敬意を払い、非礼を回避する努力は、自他の自尊心を満たすけれど、一方では自己の硬直化を招き、いつしか自分を窮屈に閉じ込める拘束衣になっていることもある】
    【乗客の失礼な態度の原因は、適切に接しなかったスチュワーデス側にあると定義づけられる。するとスチュワーデスは乗客に対して怒りの感情をもてなくなる。なぜなら、乗客がどんな失礼な態度を示そうとすべて自分に非があることになるからである】
    【職場と私生活との間で、自分自身の在り方を変えるのはたやすいことではない。家を出る前に家族とけんかしたなら、職場でもなんとなくイライラして仕事にも影響を及ぼすことがよくあります。】
    【自助マニュアルは社会的状況において行為を方向付ける規範を記述しているものである】
    【エチケットは感情生活にまで深く入り込んでいる。そしてマニュアルが記述している規範とは、心理学的知識を媒介にして自分の感情を正確には測り、マネージしていくことで、高度な人格崇拝と合理化にもとづく社会的状況を混乱させずに行為すべしという規範である】
    【個々人の道徳意識にズレが生じないほどに共同意識がより強力となり、人々のずれが僅少化する社会でもある。それゆえ、人々は相互に共同意識からの微妙なズレも見逃さずこれを非難する。そして共同意識からずれて非難されないように自分の感情や振る舞いを常時モニターし高度にコントロールする】
    【困った人、つまりものごとの効率的でスムーズな進行を妨げる人は合理化への傾向がより徹底してきたことの表れである。そして合理化規範の厳格化・高度化を推進しているのが、心理主義である。ウェーバーは一連の合理的なこうぞうに人々が閉じ込められる社会の到来を予想していた。その社会で生きる人々に残されているのは、ある合理的システムから別の合理的システムへ移動することである。合理化した教育制度から労働へと移動】
    【市場の多様化、変化、派遣社員の増加、ひとつの職場での環境変化が多い現代社会では、自己の感情を冷静に把握し制御し、目標に向かって自分を動機付け、他者へのきょうk何を通じて多様な人間関係を円滑に処理できる人になるることを仕向ける。感情の知性を備えた人を産出することは合理化としての個々人の移動分散にとっても合理的だから。なぜならだれにも管理されなくても自分で感情をモニターできるから】
    【個性尊重、自己実現 言説によって能力主義の強化と雇用の流動化は正当化される。かりに能力が発揮できないなら、それを個性の責任とできる】【】【】【】【】【】【】

  • 「もりしんいち」で思い出しましたが、おふくろさん騒動はどうなったのでしょうか?
    どなたか教えて下さい。
    面子とマネジメント検索で、サーフィンしたらたどり着きました。

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著者プロフィール

1962年、兵庫県神戸市生まれ。

神戸市外国語大学卒業後、関西学院大学社会学部卒業。同大学院社会学研究科博士課程修了。

博士(社会学)。

現在、皇學館大学文学部コミュニケーション学科教授。

専門は理論社会学、現代社会論、消費社会論。

現在は哲学を勉強中。

著書に『「お客様」がやかましい』『ほんとはこわい「やさしさ社会」』(以上、ちくまプリマー新書)、
『自己コントロールの檻―感情マネジメント社会の現実』(講談社選書メチエ)、
『日本はなぜ諍いの多い国になったのか―「マナー神経症」の時代』(中公新書ラクレ)、『かまわれたい人々』(中経出版)。

共著に『変身の社会学』、共訳に『自己論を学ぶ人のために』(以上、世界思潮社)
などがある。

(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


「2012年 『どうしてこの国は「無言社会」となったのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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