平清盛 福原の夢 (講談社選書メチエ)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 50
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062584005

作品紹介・あらすじ

平氏系新王朝を夢見てあらゆる手段を尽くした男、清盛。なぜ福原でなければならなかったのか?『源氏物語』須磨・明石巻との相似性、六波羅幕府と鎌倉幕府成立との連続・不連続、福原の地形的意味、遷都の政治的意味と抵抗勢力との角逐など、第一人者ならではの多角的アプローチで、誰も書かなかった大いなる野望に迫る。

感想・レビュー・書評

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  • 以前この方の書かれた本(新書)を読んだ時にとても面白かったので同じノリで読んだら、バリバリの学術書だったので結構難しかったです。が、読むのに時間はかかっても、系図や絵、写真、参考文献が細かく載っているのでイメージしやすいものでした。色んな角度から見た清盛の生涯や政策、立場、考え等が面白い。個人的に池殿についてもそれなりに触れてくれていたのが嬉しかったです。清盛や後白河と「源氏物語」との相似性の話は初めて聞くものでしたが、なるほど、と思えるくらいには興味深いものでした。やっぱりあの「物語」は当時からスゴいものなのだなぁと思いました…。参考文献についても、細かく説明が載っていたのが嬉しい、次に何を読もうかと繋げることができた。人物索引もとても親切。難しかったけど読んでよかった!

  • (2012.09.21読了)(2012.09.14借入)
    【9月のテーマ・[平清盛を読む]その③】
    平清盛は、福原に都を築いたのだと思っていましたが、天皇や一部公卿を福原につれてゆくことはできたのですが、恒久的な天皇の居場所や公卿たちの居場所をつくることができず、170日で、京都に戻ってしまった、ということでした。
    福原に都を築いてから天皇をお迎えするという、時間的・精神的余裕がなかったのでしょうか。
    歴史家の書いた本ですので、残された史料を駆使して、平清盛の生涯をたどってくれています。残念ながら、清盛本人の書いたものや清盛の身内の書いたものはないようですので、清盛は何をやりたかったのかは、皆目わかりません。
    一番知りたかった、福原で清盛は何をしたかったのかもわかりませんでした。
    大河ドラマ「平清盛」を見ているだけでは、よくわからなかった点については、この本で分かったことはいくつかあるので、その点は、よかったと思います。

    【目次】
    序章 皇胤
    第1章 権力への道
    第2章 太政大臣から福原禅門へ
    第3章 日宋貿易と徳子の入内
    第4章 六波羅幕府
    第5章 平氏系新王朝の誕生
    第6章 福原遷都
    終章 遷都その後

    あとがき
    人名索引

    ●後白河法皇(7頁)
    「政争の修羅場において酷薄と謀略、行動において遍歴・漂泊と神出鬼没、気質において癇癖と躁性、芸道精神において真摯と偏執、美意識において新規とバロックを本領とした」
    ●院政(9頁)
    当時王家の家長を治天と呼び、治天が現役の天皇の場合を天皇親政、彼が退位しても政治に積極的に関与し、その実際を動かすような政治のあり方を院政という。
    退位した元天皇を上皇(太上天皇の略称、出家した場合は法皇と呼ばれる)といい、複数人いる場合がある
    ●太政大臣(69頁)
    太政大臣は律令制発足当初は最高の権力をともなう官と考えられた。しかし平安中期以降になると、それ自体に具体的な職務がないため、別に摂政・関白や内覧の宣旨を賜らない限り、実権を有しない官職、摂政家以外の高位の長老貴族が最後に就く名誉的な官職になっていた。だから、辞任後前太政大臣とか前大相国(大相国は太政大臣の中国風の呼び名)の名で、政界に隠然たる力を振るうことの方がむしろ重視されていた。
    ●素白(70頁)
    素白(すばく)とは、さなだむし(条虫)など寄生虫のせいで、貧血・浮腫・腹痛などの症状をともなう病である。
    ●『太平御覧』(197頁)
    『太平御覧』は、宋初の太平興国二(977)年、太宗の勅命をうけて編纂、全体を天・時序・地・皇王・偏覇(一方の旗頭)・皇親・州郡など五五部門一千巻に分け、あらゆる事類を網羅しようとした、いわば一大百科事典である。
    ●福原遷都(225頁)
    福原への行幸は一般に遷都といわれ、同時代の史料にもそう書かれているが、新都が出来あがった上での天皇の移動ではない。まず平安京を出、その上で新都建設の具体的な検討を始めるという、まことに乱暴・唐突なそれであった。また福原自体も遷都先ではない。福原は当座の逗留地にすぎず、造都の候補地として「和田の松原の西の野」があった。
    ●清盛の死(278頁)
    『平家物語』が伝えるところによれば、清盛は、発病の日から水も喉を通らず、身の内の熱いことはさながら火でもたいているようである。

    ☆関連図書(既読)
    「清盛」三田誠広著、集英社、2000.12.20
    「海国記(上)」服部真澄著、新潮文庫、2008.01.01
    「海国記(下)」服部真澄著、新潮文庫、2008.01.01
    「平清盛-「武家の世」を切り開いた政治家-」上杉和彦著、山川出版社、2011.05.20
    「平清盛 1」藤本有紀作・青木邦子著、NHK出版、2011.11.25
    「平清盛 2」藤本有紀原作・青木邦子著、NHK出版、2012.03.30
    「西行」高橋英夫著、岩波新書、1993.04.20
    (2012年9月27日・記)

  • 『平清盛』関連ブックガイド

  • 数年前に読んだのだが、大河ドラマをきっかけに読み直した。

  • 清盛の詳細な通じて、鎌倉幕府が最初の幕府ではなかったという展開が印象深いです。
    非常に良作なので、何度も読みたいです。

  • 平家物語の学術的解説書と言えばいいでしょうか?
    作品そのものではなく、物語となった歴史の解説。
    平清盛の為人、栄達の過程、貴族社会と平家一門との関わり、寺社勢力との対立構図など、史実を基に解説しています。
    特に藤原氏については、摂関家だけでなく閑院流(後の三条・徳大寺・西園寺など)や師実流(後の大炊御門・花山院)、そして平家と最も親密だったはずの藤原成親の一族など、婚姻関係まで記された詳細な系図が幾つも掲載れていて判りやすく、誰がどの藤原氏か?という疑問がすぐに解けますw
    皇室についても同様に、後白河院や高倉院、その家族である八条院や上西門院、そして婚姻・閨閥関係まで系図で知ることができます。
    福原は、実は遷都の真の候補地ではなかった!?
    京都や福原の地図も掲載され、屋敷の建て方や位置などから、平家の力関係を読み出すのも面白いですw

    もう一つのサプライズとして、史実の裏に潜む『源氏物語』への憧憬も。
    2012年の大河ドラマの予習に読むのもいいでしょう(*^m^)
    反面、日宋貿易についての記述が少なかったのが残念でしたね(>_<)

    ニン、トン♪

  • 2009.11.19読了

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