- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062630535
感想・レビュー・書評
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味が濃い捕物帳、深くもある。
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以前から古本屋で見つけて居たのですが「捕物控」という名前が気になって(ミステリーは読まないようにしているので)。ついに佐藤雅美の名前に負けて購入しました。
やっぱり良いですね。確かに捕り物帳なのですがしっかりした出来です。特に「引合を抜く」と呼ばれる制度、これが岡引の主な収入源になっているのですが、そこらがキッチリ書き込まれ、又それが事件の発端になっているところなど、安出来な捕り物帳とは一線を画します。
結末も佐藤さんらしいというか、なんとも言えない終わり方です(これは異論も多いと思いますが、私は肯定派です)。
そういえば、途中で別シリーズの主人公・桑山十兵衛の名前が出てきたのは面白かったです。ひょっとしたら桑山十兵衛の方でも半次が出てたかしらん。
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半次捕物控の第一弾
岡っ引きとは、盗人を捕まえて被害者を調べ上げ、被害者が奉行所に行かないで済むように取り計らう事が主な収入の手段であるときっぱり説明している。現代の私たちの感覚でいえば、被害者からお金を巻き上げている何とも酷い仕事となる。
こういう家業が存在していて、街の人も普段から岡っ引きに袖の下を渡し、それで街の治安が保たれている時代の話であるということを、つまり現代の私たちの正義の感覚とは違う価値観の時代だと読者にきちんと認識させた上で物語を進めているのが、この小説の気に入っているところである。
なので主人公の半次は、もちろん正義の為に働いてはいない。正義の為に働いたら岡っ引家業など続けられないからだ。じゃあ、何の為となると、当然食うための収入を得ることと、おのれ自身の恩とか義理で働いている。お世話になった人の頼みが断れないとか、自分のせいで被害を受けた人への詫びとか、メンツがたたないとかである。よくある捕物小説のように、正義感に満ち溢れた品行方正な岡っ引きが悪人を捕まえる話ではなく、意地だけがあって、失敗したり間違えながら進んでいく。そもそも後家と良い仲になるもの主人公らしからない。が、それもまた泥臭くていい。
先が楽しみな小説である。 -
出だしから全く頭に入ってこず、そのままだらだらと終わってしまった。
解説を読むとストーリーテリングに富んでいるとのことだが、本当かいな?
他作品でも感じたが、この作家とはどうやら相性が悪い。 -
若い半次親分ですね
世の中、作家が都合よく書くような
甘いもんじゃないといわんばかりの
佐藤雅美先生の世界
なるようにしかならないってことが
思い知らされます・・・
半次の思いつめる様子が良い! -
生っぽい人間のひしめいている、生活感のあるところが、おもしろかった。ドラマの時代劇チャンバラっぽくなっている時代小説もいいけど、江戸時代の舞台で人間の姿があるっていうのも、いいな。