文庫版 姑獲鳥の夏 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (630ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062638876

作品紹介・あらすじ

この世には不思議なことなど何もないのだよ-古本屋にして陰陽師が憑物を落とし事件を解きほぐす人気シリーズ第一弾。東京・雑司ケ谷の医院に奇怪な噂が流れる。娘は二十箇月も身籠ったままで、その夫は密室から失踪したという。文士・関口や探偵・榎木津らの推理を超え噂は意外な結末へ。

感想・レビュー・書評

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  • とうとうこの世界にきてしまいました。
    魑魅魍魎の世界?

    京極先生はこのお話がデビュー作で、お名前の由来はここから取ってるのでしょうか。

    恐い話が苦手で、装丁もオドロオドロしいし。今まで京極さんの本はどれをとっても分厚いイメージでなかなか手が出ませんでしたが、最後まで読むことが出来ました。

    よくわかってないのに書きますが、京極堂さんが出てくるのはシリーズ化してるようで、好きな人にはたまらないでしょうね!だって好きな人物が登場する本なら何冊でも読みたいから、あればあるほど嬉しいし終わって欲しくないですから。

    本を日常的に読むようになってから歴史にも興味がでてきてるのですが、安倍晴明気になってました。陰陽師が活躍する小説、面白いですね。人気あるのもわかりました。でも私がぐんぐんのめり込む感じになれなかったのは、登場人物たちが最後にたどる運命にあります。

  • 「この世には不思議なことなど何もないのだよ-古本屋にして陰陽師が憑物を落とし事件を解きほぐす人気シリーズ第一弾。東京・雑司ケ谷の医院に奇怪な噂が流れる。娘は二十箇月も身籠ったままで、その夫は密室から失踪したという。文士・関口や探偵・榎木津らの推理を超え噂は意外な結末へ。」

    「京極夏彦ワールドの出発点!ハマるとぬけだせない面白さ。不気味で不思議な世界を体験してみませんか?」
    (未来屋書店 本屋従業員によるおススメ本の紹介 2023 の紹介より

  • 処女作でこれって、、
    京極夏彦の言葉に対する考え方が伝わってくる。
    想像妊娠とは思ったけど、多重人格、脳の認知機能のところまでは及ばなかった。
    もっと怖い話になると思ったけど、人間臭い話で理論立っていて面白かった。

  • 遂に…いつか読もうと思っていた”読める鈍器”と揶揄されるほど大ボリュームが定番の巨匠、京極夏彦を読んでしまいました。
    怪異、妖怪、信仰、民間伝承、そして言語。
    最近ちょうど興味のある分野の知的好奇心を擽る圧倒的知識量としっかりミステリーとして楽しませてくれる娯楽性。
    そして個性の強すぎるキャラ達…と自分が大好きになる要素しかなかった。なんでみんなもっと早く教えてくれなかったの(怒)

  • これまで2作京極作品を読んできたが、このデビュー作もまた強烈な世界観。妊婦の腹が裂けるだとか子供を石で殴り殺すだとかグロテスクで破茶滅茶で非現実的な要素、見えるものが見えないだとか超能力を持っているだとか推理小説の概念を抜本から崩すような在らざるべき要素が多分に盛り込まれて、その上それにも関わらず全体としては極めて現実的で理路整然と、何ら矛盾点無く、いやそれどころか読者が納得させるを得ない様に描かれている。この世界に不思議なことなど何も無いらしい。こんな読書体験は矢っ張り他では味わえない。また別の作品も読んでみる。

  • 終盤の流れは面白い。
    全体としては序盤で主体と客体、事実は見るものによって変わる、と提示され、この小説の視点となる関口氏が事件の当事者と密接な関係を匂わせ度重なる出来事に私的で倒錯的な印象を与えておりこれが事実を覆い隠すギミックであることには早々に勘付いたので関口氏の語り口はノイズとしか受け取れず楽しみながら読めなかったし、死体の場所が判明した時もどうでもよかった。(私は妊婦の膨らんだ腹は実は雑に死体を隠しておりバレバレだったと思ったがそのまま転がっているとは)

    それでも、妊婦と死体、置き場所の関係、事件と登場人物との関係、とりわけ妖怪譚を絡めながら徐々に犯人一族が受け継いできた呪いを炙り出し事件に繋げていく展開には舌を巻いた。最期に不謹慎ながら一族が絶えることによって物語が終結するのも後味を残さず美しい。

  • ・4月1日に読み始め、18日に読み終えました。
    ・面白かった!!!!!すごい。

    ・愛用しているブックカバーにギリギリ入るくらいの厚みだったので、私のブックカバーの許容範囲が『姑獲鳥の夏』までだと判明して、それも嬉しいです(?)。


    ・最初はほんとに厚いな〜と思ってたんだけど、読んでくうちに気にならなくなったというか、長いな〜って全然思わなかったからすごいなと。

    ・前々から、ミステリって苦手ではないんだけど上手く読めないんだよな〜(推理ができない)と思ってたので、ミステリっぽい入りしたからオ、これは……?と身構えてしまったんだけど、これ…… 一般的なミステリと全く違うじゃん……


    ・京極堂と関口くんのかけあいがまた可愛らしくキャラクターが立ちに立ちまくっててよかった。序盤のロジカルロジカルのターン、さすがに読み始めだったから(あとふつうに私が新しい職場で勤務し始めた日に読み始めたから)このターンいつまで続くんかいとちょっと難しくなっちゃったんだけど、めちゃくちゃ意味ある会話で、バッッチシ話の中枢に関わってくるから読んでて気持ちよかったな〜。

    ・そう。読んでて気持ちよかったです!! すごい月並みなんだけど、バラバラだった出来事が京極堂の手で一気に収束していく感じがキモチエ〜〜。


    ・あと、話がものすごい湿っぽいというか、季節は夏でカラッとしてて舞台の病院はひんやりとしていて湿気も全く無い感じなのに、終盤の土砂降りの雨といい惨劇に至るまでの生々しさといい、その辺りのギャップから生まれる嫌な湿り気がまたよかったですね。

    ・藤牧はじめ、久遠寺の女たちだったりの行動原理がどんどんわかっていくうちに、なんか、色々すごすぎてちょっとニヤ…としながら読んでしまいました。もしかしてこれホラーも入ってる?

    ・失踪した藤牧が見つかって(?)そのあとの真相究明パート、面白かったな。自分…推理苦手だから…言ってくれると助かるっていうか……。


    ・京極夏彦さんのデビューエピソードはもうだいぶ有名な話になってると思うし私も何回か聞いたことあるけど、これがドンと送られてくるの恐ろしすぎるだろ。すごいな。

    ・続き読むの楽しみだ。シリーズものは一気に読みたいタイプなんだけど、本屋さんで見てみたらこれ一気に読むとどうなるんだよっていう厚みばっかりだったので、まあ……ゆっくり進めていきたいです……

  • ちりん、となる風鈴の音。
    じっとりと暑い夏が併せもつ陰影を物語全体で感じた。
    京極堂が現代の陰陽師としての独特のイメージを形成し、存在そのものが妖しくていい。
    不思議なことは何もない、というのが響く。

    京極堂の講釈は長いが、事件自体はあれよあれよと進み怒涛のように読める。戦後という、なんでもありの時代背景で、幻惑的な出来事ながらリアリティがあった。

  • 面白いけど分厚すぎてたくさんの本と出会いたい私はこのシリーズを集める事を断念する。
    本来ならこのシリーズを購入して、他は手放した方がいいのだろうが、持って満足じゃなく読んで満足を選ぶ。

  • 新刊を読むにあたって、死体が見えてないんじゃないかくらい記憶が無いので流し読み。再読…のはず。
    ようも高校時代に読んだな。この見えるべきものが見えてない、記憶を封印する、という仕掛けがとっても新鮮だったのだ。たぶん。
    関口君の形を留めているのは紛れもなく京極堂で、関わり方がほとんど主治医。私だったら重すぎて恐ろしくて出来ないな…能力的にも無理だろうけど。
    その人それぞれの精神的な背骨の素材を見抜き、的確に手術、あるいは矯正を施す。信仰かポリシーか科学かそれが何であれ、必ず持っているもの。そう言えば、この作品で気づいたのかもしれない。自分に背骨があることに。

    生理中の少女をひょろひょろして気弱な少年がどうにかいたせるかは非常に疑問。それとも後から来たのかな。
    民俗的なものにもともとあった役割を解きほぐして、「何となく忌避する」の「何となく」の部分の由来が分かるのが面白い。それを見抜く力を持つ人が畏怖された人々だったり、リーダーだったりしたのだろうな。放っておくと大きな過ちを犯したり、取り返しの付かない事態を招く「何となく」を探ることは大切な事だと教えてくれた初めての作品でありました。グロテスクではあるけれど。

    続けて流し読みしないと新刊に太刀打ちできなそうなので、ぼちぼち進めたい。間に合え〜〜〜。

  • 前から興味はあったものの文庫本の分厚さに気圧されて手が出なかった本。読んでみたら、登場人物が個性的で面白いだけでなく、世界の見方そのものを変えられた気がした。生きている人の強い感情や願望が絡み合うことで見えるようになるものがある、という視点が面白い。最初の100ページくらいが鬼門だったものの、そこで苦しんでなんとか理解した後に読む後半がすごくよかった。


  • 既視感があるが、それだけ色んな作品に影響を与えたということなのかもしれない。

  • ここ最近読んだ本の中で一番面白かった。
    怪異譚、宗教、地域伝承のような、一見不思議なオカルトなものも全て科学や心理学で合理的に説明される。
    科学が発展した現代にも差別や陰謀論は蔓延っているし、自分は比較的科学的素養を持った、合理的な人間だと思っていたけど、非合理的な差別意識や偏見も0ではないと思った。

  • 京極堂、榎木津、木場
    3人の探偵たちがいいキャラクターだった。
    特に榎木津が好き。

    いろんな知識、学問の話が出てきて難しかった。
    なんだか頭が疲れる本でした。
    理解しようとするのに必死で
    謎解きしながら読むみたいなことができなかった。

    次作の魍魎の匣は、まず映像作品みてから
    読んでみようかな。

  • トリックが難しすぎてわからんかった、、、。

  • この世には不思議なことなどは何もない、見ようと思えば見えるし、見ようと思わなければ見えない。頭ごなしに世の中の理解できないことを不思議なこと、と片付けてしまったり、一般常識に当てはめてしまう観念を序盤から崩され、京極夏彦の超現実主義的な思想と豊富な知識に浸かっていきました。初めて京極夏彦を読んだのですが、ページの割にとても読みやすく、ぐんぐん読めました。百鬼夜行シリーズの一作目からしてエグい内容でした。次作も読みたいです…。

  • 信頼できない語り手すぎるだろう。

  • ミステリとしては、そんなオチある?というような肩透かしを食らった感じだが、作者の広範な知識が600ページくらいに散りばめられていて読み応えがある。タイパはともかくコスパは良い作品かと。本自体が重たいので、鈍器として使用出来る点もGOOD

  • ミステリを好きになり始めた頃、おすすめの推理小説としてあげられる事が多かったこの作品を読め始めた時は、衒学的な雰囲気に胃もたれをしていました。
    しかし、民俗学や妖怪、量子力学など様々な分野の知識を元に展開される京極堂の弁は、不思議とすらすら読めました。
    憑き物落としが始まる直前から味わった、胸の高鳴りが最高潮に達しようとするあの感覚は、それまでの読書体験にはないものでした。

    予想だにしない結末。それまでに語られた、蛇足とも思えた語りすべての要素がつながり、収束してクライマックスへ。
    小説とは、こんなにも衝撃を与えられるのかと、本が好きになるきっかけになった作品です。間違いなく、私の人生に必要な作品でした。

    百鬼夜行シリーズの中で、思い出補正もあるかもしれませんが、一番好きな作品です。

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著者プロフィール

1963年、北海道生まれ。小説家、意匠家。94年、『姑獲鳥の夏』でデビュー。96年『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞、97年『嗤う伊右衛門』で泉鏡花文学賞、2003年『覘き小平次』で山本周五郎賞、04年『後巷説百物語』で直木賞、11年『西巷説百物語』で柴田錬三郎賞、22年『遠巷説百物語』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『死ねばいいのに』『数えずの井戸』『オジいサン』『ヒトごろし』『書楼弔堂 破暁』『遠野物語Remix』『虚実妖怪百物語 序/破/急』 ほか多数。

「2023年 『遠巷説百物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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