- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062639934
感想・レビュー・書評
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「昨日のニューヨーク市場では、また例のDファンドが派手にやってくれましたよ。全く手が付けられない」50兆円の投機資金を操るヘッジファンドが、日本市場に狙いをつけた。だが手口は巧妙を極め、ボスの動きも闇に包まれている。国際金融の妖怪の実態をリアルタイムで描く経済小説。
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ヘッジファンドの実態が知りたいと思い、読んでみた。
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やりたいことが多い。
そして、お金がかかる(笑)
別に物欲があって、お金がかかるわけではないのだけれど。
65歳までに2億にチャレンジ、
老後の資金が必要だ。
お金を使うためにお金が必要なのではなく
お金を貯めるためにお金が必要なのです。
株もやってみたい、為替もやってみたい、債券はどうなんだ、ファンドはどうなんだ、不動産はどないな、等々
やりたいことは多いのだけど、資金がないんだよね。
お金があればエンジェルにもなってみたいな。
趣味のお金は、、、まぁなくてもよいだろう。
有る範囲で楽しめばよいから。 -
外資系ヘッジファンドを舞台にした経済小説
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普段は小説を読まないが、幸田真音を始め経済小説については読むようにしている。
本のタイトル通り「ヘッジファンド」についての小説。
世間体としては、その実態を知られていないヘッジファンド・・・それは当たり前の事で、儲けの実態とかどういう運用をしているかなど最近になって少しづつ知られるようになってきている。
この小説の初版が出版されてのが1999年・・・その頃にこれだけリアリティ溢れる内容の小説が書けるのは、元ディーラーの幸田真音ならではかと感じた。
「ヘッジファンド」「マーケット」「金の価値」「金を儲ける意味・意義」「日本とは」「金融機関とは」
これらについてスピード感あふれる濃い内容で楽しめる1冊。 -
幸田真音の本には、いろんな思いがある。
自分で生きてきた世界を描写していく。
その中に、日本の金融行政に対して、批判をする。
急速な円高が進むことによって、
輸出を基本としている会社が、壊れていく。
しかし、このことに、
日本の政府が、何ら対策を立てるわけではない。
ディーラーに対して
1 自分のたてた理論はまちがっていないのだけど、
現実の方に何かひずみがある場合。
→「ひずみ」を分析する。
2 自分の理論そのものがまちがっている場合。
→白紙に戻して再構築する。
○一歩を踏み込めない何かがあるとしたら、
それは自分の中に迷いがあるからよ。
その迷いをごまかさないで、それが何なのかを徹底的に追及しなさい。
「マーケットのことは、マーケットに聞け」
理論と現実。
近距離からの緻密な視点と俯瞰。
緊張と弛緩。
リスクとリターン。
「投資を仰ぐなら、投資家の利益も考えなくては、いけない。」 -
50兆円 (国家予算クラス?!!) もの資金を運用する謎の投機集団 「Dファンド」。最新知識や高度な手法を駆使して、世界中で荒稼ぎするこのファンドを率いるのは、謎に包まれた四十才そこそこの日本人女性。彼女は東京市場に巨大な投機チャンスを見いだし、虎視眈々とタイミングを計ります。本書は、小規模の銀行からいきなり 「Dファンド」 に引き抜かれた新人為替ディーラーの岡田が、厳しい投資の世界でプロとして腕を磨いていくお話です。
見せ場はやはり、ファンド存続を賭けた後半の大勝負。Dファンドはタイミングを見計らってドルを売り浴びせ、運用資産どころか保有資産まで総動員して、日銀の介入 (ドルの買い支え) を振り切り、円高を進めます。ドルが大暴落となったところで、短期金利の下げを見越して短期債券を買い漁り、同時に円高でダメージを受ける輸出産業関連の株は売り払って暴落させ、そこで全て買い戻す、というシナリオ。←そんなに上手くいくのか、という質問は無粋ですよ。フィクションです。
ポンド危機で暗躍した George Soros しかり、サブプライムローンの破綻に賭けた「逆張り」でボロ儲けした John Paulson や Andrew Lahde しかり。市場がパニックに陥っている間にも勝利をおさめる人は必ずいます。サブプライム危機の後に米国で成立した金融安定化法が良い例ですが、その場を取り繕うばかりで後手後手になりがちな政府の金融規制が、過去の経済危機でどのように変化してきたのかが気になりました。
スピーディーな展開に後半まで夢中で読んでいたものの、日本の産業はもうおしまいだという限界まで円高が進んだクライマックスで唐突に、何の脈略も根拠もなく「日本市場の自浄作用」とやらが働き、「強い危機感を抱いた民間人たちがついに立ち上がった!」という結末が安直すぎてがっかりでした。
「これまでにない強固な姿勢で一般人が政府に進言を始めた」 「経済を担ってきた実力のある人間こそが、日本の指揮をとるべきだとする人々が集まった」 「積極的で、実体をともなった規制緩和に乗り出そうと、日本社会の立て直しが始まった」 って、こんな曖昧なキャンペーンは新聞のヘッドラインにもなりません。希望をもったトーンで書かれているものの、立ち上がった人々が民間団体を作ったとか、新たな金融自由化法案が可決したとか、財界の著名人が次の選挙に立候補するとか、そういったディテールなしに勧善懲悪で片付けようとしても、読者は納得できないと思います。 -
債券トレーダーに従事した著者の相場格言は興味深かったのですが、ストーリー展開が安っぽいドラマ(何でもうまくいきすぎる)。また、1995年に初版のため金融の内容もやや古く感じました。
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金融業界の小説ですが、爽やかで、格好良すぎます。
仕事にしろ、私生活にしろ何かを得るためには何かをペイしなくてはいけません。
しかし、社会や会社など規模が大きくなるとその中で、自分が何をペイして何を得ているかが少しづつ不明瞭になっていく物だと思います。
当然、そうなるとそれに伴うリスクも見えなくなってくる。きっと、その先にはただだらだらと生きていく生活があるのではないでしょうか。
反じて、この小説の舞台に、なっている金融業界では、金を取り扱っているため、何を得て何をペイしているかがとても分かりやすい構造になっている気がします。そこで生きる人達は当然、イキイキしてくる。
そりゃ、格好良いよな。 -
記入の世界をリアルに描くと専門用語や多かったり仕組みが複雑すぎて何が起きているのか分からなくなってしまうが、この小説はそのごちゃごちゃとしたところをスッキリとさせて、分かりやすさを追求している。
ディーラーはこういうことを打ち合わせで話すのか、為替が動くとディーラーはこう行動するんだな、ポジションをああいう風に持っているときに相場が動くと反対売買でヘッジするんだな、というような行動の契機を知ることができる。
刑事モノも探偵モノもリアリティを追求すると「ありえない」となるように、この物語もリアリティに目を向けると「ありえない」のだろうが、物語の中での真実味のある嘘、は失われていない。