笑わない数学者 MATHEMATICAL GOODBYE (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
3.60
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本棚登録 : 10207
感想 : 843
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  • Amazon.co.jp ・本 (486ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062646147

感想・レビュー・書評

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  • アメリカ出張のお供に、S&Mシリーズを全巻Kindleにて購入。本シリーズを久しぶりに読みましたが、本作はシンプルでテンポの良いお話だったのかなと思います。

    主人公たちが今回立ち向かう謎は消失トリック。天才数学者から与えられた謎を解き明かそうとする中で、遺産相続をめぐり、殺人事件が起こってしまうというストーリー。

    刊行された当時からすると結構、斬新な印象を受けるトリックだったのかなとも思いますが、現代のさまざまなミステリーのことを考えると、割とトリック自体は珍しくはないように感じました。

  • 犀川助教授と萌絵がもう少し早く気づくのでは?と思ったトリックだった為この評価に

    今作の気に入ったセリフは
    素朴と単純って、どこが違うのかしら?
    現象としては同じだ。まぁ、違いといえば、観察者の先入観かな

  • さすがにトリックはすぐに分かったが、世界観はシリーズの中で一番自分好みだった。まだ3冊目だけど!

  • みなさん書いておられるけど、オリオン像のトリックは簡単で、萌絵が気が付かないわけないでしょう
    そのことにモヤモヤしてストーリーにイマイチ集中出来なかった

  • 一度シリーズ通して読んでいるからどこから読んでもかわらないだろうと思ったけれど、やっぱあれだ。順番に読むと面白さは際立つもんだ。誘われた(むしろ押しかけた)パーティで、消えたオリオン像と発見された2つの死体。何度読んでも思うが、犀川と萌絵の周りはコナン君ばりに物騒だ。それはそれとして、真賀田博士とはタイプの違う偉大な数学者・天王寺博士。屁理屈おじさんでケム巻き大博士。偏屈さも貫き通せばキャラとして確立する。そこに、実績さえあれば案外「自由」に生きることができるのだろう。

  • 数学者・天王寺翔蔵博士の住む「三ツ星館」。そこで開かれたパーティで、博士は庭にある巨大なオリオン像を消して見せた。しかし、翌朝になって像が再び出現した時、そこには死体があって──。

    犀川と萌絵が活躍するS&Mシリーズ第三弾。偏屈な博士が住む星座を模した館!唆るぜこれは!という設定。そこに加わる、巨大な像はなぜ消えたのか!現れる二つの死体と些末だが奇妙な謎!十二年前の不可解な事故!これらの点が結ばれた先に浮かび上がるもの。それをいかに読み解くのか。どの星を繋げて、そこに何を見るのか。すべては自分で決めるしかない。それが人間の持つ自由なんだろう。

    トリック自体は簡単でも、その意味付けはユニークだった。事件の謎よりも先に、本当の問いがある趣向になっている。哲学性が強い作品。主人公二人の会話劇などが楽しめる方にはお薦めしたい。一作目のようにもっと圧倒的な天才でもよかった。語り口は天才風なのに、良くも悪くも人間的でちぐはぐ感がある。提示された哲学に対して、人間ドラマが弱いのが残念。こうなった素地を深掘りしてくれたらもっと読ませてくれる話だったかも。テーマもテーマなので、余計に曖昧さがあって決定力不足が否めない。館の造形やコンセプトなどの雰囲気は好き。

    p.85
    「よいか、あらゆる課題は、現実と理想、あるいは事実と理論の間のギャップにある。それを自覚することだ。しかし、現実や事実は、常に真実とはいえない。それは、あくまでも、お前たちの目が観察したものだ。お前たちの頭が認識したものだ。それを自問するのだ。見ないものを考えるのが人間の思考なのだ。お前たちは、自分の姿が見えなくても、自分の存在を知っている。それが人間の能力ではないか」

    p.86
    人類史上最大のトリック……?
    (それは、人々に神がいると信じさせたことだ)

    p.173
    「先生、素朴と単純って、どこが違うのかしら?」
    「現象としては同じだ。まあ、違いといえば、観察者の先入観かな」

    p.193,194
    人間は自分の生き様を見せること以外に、他人に教えることなど、何もないのだ。一般に使われている教育という言葉は、ありもしない幻想でしかない。

    p.364
    「実際には複雑な問題を簡単に扱うために数学が生まれたんですけどね、人間はそれだけでは満足しなかったんです。実際の問題よりはるかに複雑なものまで、考えたくなった」

    p.386
    「負け方がわからなかったんだよ、君は」犀川が言う。「勝つことばかり考えていた。どうやって負けたら良いのかも、考えなくちゃ。それが名人というものさ。僕なんかね、あらゆる勝負に負けてばっかりだからね、そういった苦労は皆無だ」犀川は微笑んだ。

  • 不定だ

  • 再読。読み始める前まではオリオン像を消したトリックは覚えていても犯人までは思い出せなかったのだが館の見取り図を見た瞬間に犯人を思い出せた。何故オリオン像のトリックだけ覚えていたのかはたぶん最初に読んだ時はミステリ初心者でこういうトリックにまだあまり触れていなかったからだろうなぁと思う。新鮮だったんだろうね。最後の方の天王寺翔蔵博士と犀川先生のやり取りは鳥肌もの。

  • トリックはすぐ分かります。ただこの小説は読み込んでいくと面白い。タイトルの「笑わない数学者」とは一体誰なのか…。はっとさせられます。

  • 哲学というか屁理屈というかその辺の記述も結構面白かった
    定義するものが存在するもの
    トリックもなかなか理解できるもので良かったと思う

著者プロフィール

工学博士。1996年『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞しデビュー。怜悧で知的な作風で人気を博する。「S&Mシリーズ」「Vシリーズ」(ともに講談社文庫)などのミステリィのほか「Wシリーズ」(講談社タイガ)や『スカイ・クロラ』(中公文庫)などのSF作品、エッセィ、新書も多数刊行。

「2023年 『馬鹿と嘘の弓 Fool Lie Bow』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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