道長と宮廷社会 (日本の歴史)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (408ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062689069

作品紹介・あらすじ

『源氏物語』や『枕草子』など秀れた古典がなぜ生まれたのか。栄華を誇った藤原道長は、どのようにして権力を掌握したか。宮廷を支えた古代国家のシステムを解明し、中国文明との交流の中で宮廷貴族が生み出した日本の古典文化を鮮やかに描く。

感想・レビュー・書評

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  • この巻では、平安時代中期頃の朝廷内部の権力闘争やその中で花開く一歩前の話です。

  • 藤原道長期を中心に、摂関政治における官僚制度、地方制度、徴税制度から文化の側面まで網羅的に解説したもの。個人的には、摂関政治における官僚制度・徴税制度はほぼ初見であり、有益であった。当たり前のことだが、摂関期においても徴税制度など政治は機能していなければならないのであり、源氏物語や伊勢物語にあるようなきらびやかな男女関係等の文化面に止まるものではない。が、ともすれば、そのような文化面に光が当たる中、本書のような地道な制度分析は意味があり、研究者でない者にも読みやすい点でも意義深い書籍と思える。

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  • 1965年、中学の時に中央公論社の「日本の歴史(王朝の貴族)」が出版され、楽しく読んで歴史が更に好きになったことがありました。その本は未だに名著とされていることがこの本の中でも何回か紹介され、意識していると思ったら、その弟子による本だそうです。同じ時代を描くのに随分難しさがあったのではないかと思います。この本では前著とは異なり、当時の婿入り婚の実態などはあまり詳しくなく、道長などの貴族が一方で官僚として極めて優秀な人達であったことを詳しく書いています。印象深かったのは、藤原公任、藤原行成などの文化人。公任は和歌、漢詩ほか幅広いマルチ能力人間であった、行成は書で有名だが、和歌は全くだめだった、とのこと。しかしいずれも優秀な官僚だったとは確かにあまり知らない事実です。とにかくこの本ではとかく興味を持ってしまいがちな、藤原北家の権力確立までの権謀術数ではなく、政治経済に力をおいて解説しようとした姿勢が伝わってきます。印象的なのは道長、頼経の墓が宇治市の無名の寺にあり、どの墓かが特定できず、寂れているとのこと。権力を握り、未だに摂関家の子孫が続く中で、無常観を感じます。

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著者プロフィール

1960年東京生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科教授。主要な著書に『日本の歴史06 道長と宮廷社会』(講談社学術文庫、2009年)、『律令国家と隋唐文明』(岩波新書、2020年)、『藤原道長 摂関期の政治と文化』(山川出版社、2022年)など。

「2023年 『藤原道長』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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