眠り姫とバンパイア (MYSTERY LAND)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 180
感想 : 37
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  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062705882

感想・レビュー・書評

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  • ミステリーランド作品。

    小学五年生の女の子、優希。
    優希の家庭教師をしている男子学生、歩実。
    この二人の視点で物語は進んでいく。
    三年前に事故で死んだはずの優希の父親が、優希と連絡を取ったり会ったりしている様子で、しかも父はバンパイアだという。歩実はそれを不審に思う…。
    近所では小学生女児を狙った不審者事件も起きていて…。

    ラストはもう一捻りあるのかなと思っていたけど、なくて残念。
    すべて説明はついたけど、ミステリーの醍醐味である「全く関係なさそうなものが繋がった」ということはない。
    登場人物それぞれに問題があり、その結果として不思議な事象っぽく見えていただけ、というあっけないものだった。

    個人的に、「某ハンバーガーショップのハンバーグは犬猫の肉」という都市伝説についての歩実の解説がすごく分かりやすかった。
    私が中学生の時にもこのうわさあったんだよね。当時私の周りではネズミの肉でしたが。
    ネズミの肉ですよね?ってその店の店員に言えば、口止め料として一万円もらえる…という、尾ヒレ背ビレまでついた噂だった。
    今となってはあり得ない話だとわかってるけど、歩実の説明で合理的に納得できたわ。良い先生だ。


    この本「ミステリーランド作品」は、少年少女向けということで書き下ろした本だが、もう一つのターゲットである「かつて少年少女だった大人達」には、少し物足りないだろうなと思ってしまった。
    でも作者あとがきにて、子どもたちへの優しげなメッセージがあり。子どもにはこれで良いよね、と思い直した。
    作者は子どもの時から本読むのが好きで、小説を書いてみようとしたけどどれも未完で終わったこと、それから四十年くらいして自分の本を出してもらえるようになったことを語った後で、子ども達がずっと好きでいられる何かに出会ってほしい、という言葉。とても説得力があると思った。

  • 「かまいたちの夜」で、我孫子さんのことは知っていたけど、こんなに素敵な小説を書く人とは知らなかった

    優希の、小学校高学年らしさに溢れてるかんじが自分の過去を思い出させて、なんだか懐かしくなった
    あと、最後の一段落に穏やかな微笑みを貰えました

  • ミステリー・ランド・シリーズの超久々の新作。
    賢くて、ちょっと大人びた小学5年生の女の子「優希」
    の元に新たに現れた家庭教師「歩実」が打ち明けられた、
    優希を取り巻く不思議な出来事...事故で亡くなったはずの
    優希の父親がヴァンパイアとなって現れるという。
    その不思議な出来事にまつわる、「優希」の家庭環境を
    第三者の「歩実」が、彼女の事を心から心配するが故に
    紐解いていく事で明らかになる事実は...優しくも哀しくて...
    それでいて、寒い冬の中に見つけた日だまりの様な
    暖かなもので...。

    主人公の「優希」のような少し大人びていて、聡明で
    多感な女子が背伸びして読む光景が微笑ましい様な
    作品で、かつ、我孫子さんらしく、しっかりミステリ作品
    にもなっていますね。
    流石の屈指のジュブナイルシリーズです。

  • 児童書みたいな装丁で女子小学生の一人称、更に吸血鬼という題材ってことで子ども向けだと思ってたらがっつりミステリーじゃん!!!
    歩実が「パパ」を目視したあたりから本当に一気に読んでしまった。

    「パパ」が生きてたことも、本当におかしくなってたのは感受性の強い優希じゃなくてママの方だったのもやられたー!って感じ。
    初対面時で歩実が母親に持った印象の「生活に疲れていて十歳くらい老けて見える」が伏線だったとは…

    いやもうほんと気持ちよく騙されたし、ハッピーエンドで良かった!

  • 読みやすく丁度いいミステリー。ミステリーランドは大人が読んでも面白い。

  • ミステリーだろうか、ミステリィだろうか、と思いながら読み進めてしまった。。。
    (ミステリーランドシリーズ、過去いくつか摩訶不思議現象ものがあったので。。。)

    ハッピーエンド、なのだろうが
    お母さんの受けた衝撃の辛さを思うと、親子3人仲直り、とすんなりいくかな、と。。。

    あっという間の展開だったので
    もう少し読んでいたかった。家庭教師の先生の魅力はまだまだありそうなので。

  • Sleeping princess and vampire
    「3年ぶりに会ったパパ」の重大な秘密は?

    母とふたり暮らしの小学5年生・相原優希(あいはらゆうき)は、居眠りばかりしてしまうので、子供の頃から「眠り姫」と呼ばれていた。居眠り癖もあり学校になじめない優希を心配した母はお姉さん代わりの家庭教師をつけていたが、大好きだった美沙先生はアメリカへ留学することに。その代わりの新しい家庭教師・荻野歩実に、優希は大切な秘密を打ち明ける。その秘密とは、父親が3年ぶりに会いに来てくれた、というものだった。母とふたりで暮らしている理由を知らなかった歩実は、前任の美沙に事情を聞いてみるのだが……。父は本当に戻ってきたのか? 家族に秘められた謎とは?
    2013/09/20

  • 家庭教師の荻野は、小学5年生の優希から「死んだはずの父親と3年ぶりに会った」「父親はバンパイアだ」と告白されます。夢と現実とが区別がつかなくなっているのでは、と荻野は優希を疑い始めます。
    ファンタジー色が強いミステリーなのかなと想像していたのですが、意外に正統派だったので楽しく読めました。
    ラストはいくらでも嫌なパターンが考えられる中、最終的には良い方向で終わったので好印象でした。

  • 私的さよなら子ども図書館フェア、第4弾は、ミステリ作家による子ども向け書き下ろしシリーズの1冊。
    3年前に死んだはずの父親がバンパイアとなって会いに来る・・・内向的だけど頭のいい女の子が抱える妄想を、家庭教師としてやってきた大きな青年がほぐしていく。家族の中で不安をかかえる女の子を、年上のお兄さんとお姉さんが、大人の一歩をふみだすように励ましてくれる、という基本的な構図がとってもいいし、けっこう本格的なミステリになってます。
    外箱つきの凝った装丁、きれいなイラストもふんだんに使われていて、本好きな10代の女の子にはうれしいプレゼントとなることまちがいなし。

  • 大好きな家庭教師の先生がこれなくなった代わりでやってきたのは
    大きな体格の『男』の先生だった。

    難しい、というよりも、子供じゃない、と背伸びしたいけれど
    まだ思考回路が伴わないお年頃。
    色々空想して楽しんでいたような記憶もあります、確かにw
    しかし父親をバンパイアだと思うのは…最後まで読んで
    なるほど、と納得しました。
    イメージだけが、やたらに鮮明に残りますから。

    大人と子供、くるくると変わって行く視点。
    大人だからこそ、子供だからこそ、の思考回路。
    どちらに関しても、そうそう、と思う所が多々ありました。
    懐かしい時間に帰ったり、今の時間に返ってきたり。

    こういう病気があるのか、という知識も増えました。

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著者プロフィール

1962年、兵庫県生まれ。京都大学文学部中退。在学中は推理小説研究会に所属する。89年、『8の殺人』で作家デビュー。主な作品に、『人形はこたつで推理する』にはじまる「人形」シリーズほか、『殺戮にいたる病』『ディプロトドンティア・マクロプス』『弥勒の掌』『眠り姫とバンパイア』『警視庁特捜班ドットジェイピー』『さよならのためだけに』『狼と兎のゲーム』『裁く眼』『怪盗不思議紳士』『凜の弦音』『修羅の家』などがある。小説の枠を越えマルチに活躍し、ゲームソフト「かまいたちの夜」シリーズの制作でも知られる。

「2022年 『監禁探偵』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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