日本は世界4位の海洋大国 (講談社+α新書)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062726818

作品紹介・あらすじ

技術革新で資源問題と食料危機が完全解決!国内消費量94年分のメタンガスをはじめ、海中ウラン、レアメタルの採掘が確実に。

感想・レビュー・書評

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  •  日本は確かに島国で、狭いというイメージでとらえがちだが、三次元的に海水体積によると、世界第4位(排他的経済水域と領海だけでも世界第六位)となる。ここから話しを始めて、海底資源、海洋資源、水産資源と至り、離島・領土問題にまでつながるのは、必然と言うべきか。(肥前鳥島の排他的経済水域の基点設定については興味深い)
     2010年に書かれたものであるが、国際情勢がさらに複雑化している(ロシアプーチン大統領が5選可能ともなると領土問題交渉は確実に硬化すると思料される等)中で、果たしてどの程度共同開発を含め、実現可能なのかがこれからの課題である。個人的にはバイオエタノールはどうかと思われるが、それでも将来的にそれが必須となるのかは判断が難しい。
     一つ思うのは、世界第四位の海洋大国であるにもかかわらず、果たしてどこまで活用できているのかが甚だ疑問である。
     それは将来像を描けない日本の政治の弱さであり、私自身そうであるが、事なかれ主義を『和』と勘違いして、他国に何も言えない現代日本人に起因するのではないか。
     本書をきっかけとして考えることは多々ある。確実に言えることは、日本は古来から海の恵みに生かされてきて、これからも海に感謝して生きていかなければならないということは、日本の宿命である。

  • 著者は、東海大学海洋学部教授で、海洋資源から国境問題まで幅広い海洋問題関連の著書を持つ。
    本書における著者の海洋の権益や資源についての説明は、概ね以下の通りである。
    ◆領海(沿岸から12海里)と排他的経済水域(沿岸から200海里)を合計した面積は、日本は世界で第6位。それに深さを勘案した海水の体積(海水量)は、世界で第4位。
    ◆排他的経済水域では、1.海底の資源を調査し、開発する権利、2.海中を調査し、海水中に浮遊する資源などを利用する権利、3.漁業の管轄権の権益が認められている。
    ◆尖閣諸島周辺にはイラクに匹敵する埋蔵量の油田があり、日本の排他的経済水域には、日本の天然ガス消費の94年分相当のメタンハイドレード、海底熱水鉱床などにあるレアメタルを含む多数の鉱物、海水に溶け込んだ莫大な量のウランなどのエネルギー資源がある。また、海洋を利用した発電としては、洋上風力発電、波力発電(波の力を利用した発電)、海洋温度差発電(表層の温かい海水と深層の冷たい海水の温度差を利用した発電)、潮位差発電(潮の満ち引きを利用した発電)などの可能性もある。
    ◆日本沿岸部は、寒流(親潮)と暖流(黒潮)がぶつかる世界三大漁場のひとつであり、世界の28,000種の魚類のうち3,800種が生息する水産資源に恵まれた海域である。
    日本は、かつてランドパワーを重視した時代もあったものの、陸上の様々な資源の取得・利用に限界が見えつつある中で、今後シーパワーを重視し、海洋権益に基づき海洋資源を有効に活用していくことが、国力の維持・強化のために極めて重要なポイントとなることは論を俟たないであろう。領土や海洋権益を巡る周辺各国との緊張の高まりは決して望むところではないものの、日本にとっての海洋の可能性・重要性を再認識するために、有用な一冊である
    (2010年11月了)

  • 第一章 偉大な力を持つ「日本の海」
    第二章 「日本の海」に眠るエネルギーと鉱物資源
    第三章 水産資源と先進技術が生む高度成長
    第四章 「日本の海」の大チャンス
    ------------------------
    日本の排他的経済水域の面積は世界6位
    (1.アメリカ 2.オーストラリア 3.インドネシア 4.ニュージーランド 5.カナダ)
    これを3次元的にとらえて体積でみると日本は世界4位
    (1.アメリカ 2.オーストラリア 3.キリバス 5.インドネシア 6.チリ)

    かねてから資源としてのメタンハイドレードに興味があり、手に取った一冊だった。
    本書にあるとおり、もう少し海洋資源に着目し国家としての投資・開発を進めていくべきと考える。
    そして、資源国への転換を図ることが、日本という国が生き残っていく術ではないかと思う。

    • シゲさん
      日経ビジネス8月8・15日合併号
      突入、「資源力」時代
      においても、日本の海洋資源の可能性について議論されている。
      日経ビジネス8月8・15日合併号
      突入、「資源力」時代
      においても、日本の海洋資源の可能性について議論されている。
      2011/08/08
  • [甘味読書]


    今回は、
    ブックプラザ小野原店で、
    本を購入しました。


    「中国の5倍の海!
      今資源大国になる日本のすごい未来!!」


    帯に、
    このような文字が躍っていました。


    最近、いろいろと外交で問題がありますが、
    ちょっとでも希望になる情報があればと、
    購入しました。


    この本を読んで、
    日本を囲む海が、
    大きな資源であることを改めて実感しました。



    日本独自の文化や言葉。


    サラリーの語源や、
    お清めの塩の話などは、
    とても興味深いものがありました。


    この本では、
    歴史上の人物に対して、
    改めて敬意を表したくなる人たちについても述べています。


    遣唐使

    フラシスコザビエル

    鑑真


    どの人も、
    交通が不便な中で命がけで海を渡った人たち。


    私たちが、
    今当たり前に思っていることが、
    命がけの人の行動によって存在することを、
    実感します。


    そのほかにも、

    ・メタンハイドレードの商用化
    ・洋上発電
    ・波力発電
    ・ドコサヘキサエン酸(一時流行りましたね)
    ・魚文化と日本人の体質との関係性
    ・漁業に雇用創出の希望
    ・九時五時で1,000万の年収
    ・パヤオ漁とは
    ・海資源からバイオエタノール
    ・離島を守る

    など、
    興味深い記述が盛りだくさんです。


    海洋資源は、
    自然体災害の鉱脈であるとの記述がありました。


    かつてのテレビ番組の、
    活断層がある場所においしい水があるとの
    内容を思い出しました。


    地震が多い地域には、
    酒蔵があり、湧水があります。


    灘、伏見、越後など・・・。


    しかしながら、
    その地域は、過去に大地震が多く発生しています。


    その話が陸の話なだけであって、
    海も同じ。


    人は、
    自然体災害から、
    資源を提供してもらっているのだと感じました。


    最後のあとがきに、
    清水港についての記述がありますが、
    それもとても興味深いものです。


    とりとめのない内容になりましたが、
    少し難しい内容もありますが、
    とても興味深い本なので、
    ぜひ読んでください。


    読んだ後、
    日本の恵まれた環境に、
    感謝の思いでいっぱいになりました。

  • ちょっと過ぎるだけで更に悪化してる世界の状態が怖いというかこの著者ですら楽観的だったなと。

  • 日本が持つ海洋面積は世界で6番目の広さなのだが、海水の体積で見ると世界4位であると主張するのは、東海大学の海洋学部で教授を務める一方で、海をテーマとした文学作品でも知られる海洋問題研究家の山田氏。四方を海に囲まれた日本が海と共に繁栄した歴史的背景に始まり、海水に含まれるウランやチタンなどの天然資源やマグロなどの水産資源、さらには波や海流などを利用したエネルギー開発など、海が与えてくれる大きな可能性について考える。その一方で中国が尖閣諸島を、韓国が竹島を、ロシアが北方領土をと、「狙われる」日本の海を守るための方策を提案する。韓国での学会に出席して、反日の活動家から罵声を浴びながらも竹島の日本領有を主張した山田氏の勇気ある行動に拍手を送りたい。

  • 1月6日付「マーキュリー通信」「公共事業が日本を救う」に続き、今回は「日本は世界第4位の海洋大国」(山田吉彦著 講談社アルファ新書880円)をご紹介します。

    日本は島国の資源小国というイメージが強いですが、実は海の面積を考慮すると世界第6位(447万?)、海の深さも考慮した体積で計算すると世界第4位(1580万立米)の海洋国家となります。

    この海には膨大な海底資源が眠っており、大半が手つかずの状態で、産業界もやっとその重要性に気づき、企業化調査を開始したところです。

    BRICSを始めとする新興国の経済成長と人口増加は世界的資源不足と高騰を引き起こしていますが、一方で海底資源も経済的に確保できる段階となって来ました。

    昨年中国が尖閣諸島事件を起こしましたが、尖閣諸島周辺にはイラクの原油埋蔵量に匹敵する1000億バーレル、700兆円の膨大な石油資源が埋蔵されていると見られている。
    もしこれが事実なら日本は世界有数の石油産出国となります。

    だから、日本政府としては、国家の安全保障と石油資源確保の為に、全力で尖閣諸島を守る必要があるわけです。

    さて、日本は世界第6位の海洋国家ですが、海洋資源には3種類あります。

    第1の海洋資源は海底資源です。
    前述の原油以外に、日本の天然ガス消費量100年分に相当するメタンハイドレートが埋蔵されていると言われています。

    第2の海洋資源は海洋資源です。
    最大のものは塩素であり、次いでナトリウム、マグネシウムです。
    それ以外に、金、ウラン、レアメタルが海洋中に存在しています。

    第3の海洋資源は一番ポピュラーな水産資源です。しかし、最近日本の経済的排他水域に中国を始めとする海外の漁船が違法操業しており、日本の漁民の死活問題となっています。

    さて、これまで日本は資源小国ということで国防には無関心でした。しかし、昨年の中国の尖閣諸島事件により、国防の重要性に気づかされました。

    資源大国の場合、国防は自国の経済権益を確保する為に、国家戦略の最重要事項の1つと位置づけられています。
    今後日本が資源大国化していくに際し、政府も経済界もこの点をしっかりと肝に銘じた国家運営をしていく必要があると言えます。

    著者は、尖閣諸島油田開発を巡り、中国との関係で最後に日中台+欧米企業の共同開発を提案をしています。もちろん日本の尖閣諸島の石油開発としてです。

    オイルメジャーの力を借りて掘削した原油を尖閣諸島から一番近い台湾の基隆(キールン)までパイプライン輸送する。その距離は170kmです。日本の受け皿としたら鹿児島から長崎となるが、その距離は1000kmにもなるので、これが一番現実的と言える。
    そこからはタンカーで運べばよい。

    これが米国の力も借りながら、経済的に一番メリットのある方法と言えますが、それには日本の軍事力の強化を背景にした発言力の強化も重要です。
    今のような弱腰外交では、中国に尖閣諸島を乗っ取られるのは、目に見えています。

  • すばらく、まじめな解説書であるか。
    前から思ってたけど、マグロにこだわりすぎ。
    あれのどこがおいしいねん。
    はなはだ疑問を呈する。

    領土問題にも触れている。
    はやく解決しないかな。
    無理かなー

  • 海洋政策・国境問題等を専門とする著者が、国境問題・海洋資源問題等「日本の海」に関する問題を平易に解説したもの。科学技術(養殖技術・エネルギー資源開発等)面は、実現見込・費用対効果の指摘が不十分で、著者が言うバラ色の将来像を描けるかは不透明と思わざるを得なかった。他方、国境問題は鋭く、北方領土3.5島返還論、竹島問題における肥前鳥島の活用法、非理性的にしか対応しない韓国国民とは韓国インテリゲンチャーは異なる等興味深い記述が満載(第4章)。なお、富栄養化を除去しうる海藻類のバイオ燃料化は興味深い。

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著者プロフィール

1962 年、千葉県生まれ。学習院大学経済学卒業後、金融機関勤務
などを経て、1991年より日本財団(日本船舶振興会)に勤務。現在、
広報チームリーダー。東海大学海洋学部非常勤講師。海上保安体制、
現代海賊問題などに詳しい。著作に『天気で読む日本地図』『海の
テロリズム』『日本の国境』など。

「2021年 『新世界 海賊の作法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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