耳すます部屋 (講談社文庫 お 63-14)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 27
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  • Amazon.co.jp ・本 (325ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062736589

感想・レビュー・書評

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  • 短編なのでスラスラ読み進めることが出来るが、ホラー要素は合わなかった

  • 「肝だめし」と「目撃者」が良い。

  • 「Mの犯罪」みたいな実在の事件と絡めて書く内容が好き。
    折原さんの作品は、いつもつい最初から叙述トリックだとかかって読むから、犯人も別角度から出てくるのではとひねって読んでしまう…

  • ○ 耳すます部屋
     ゆかりという母子家庭の子どもを預かった久恵が,ゆかりを殺害してしまったように思わせておいて,実際は,ゆかりの母がゆかりを殺してしまったというオチ。久恵とゆかりの母である八重子が電話をしており,久恵が電話を切らずに話していたので,ゆかりと久恵の会話が全て八重子に筒抜けになっており,話を聴いて,娘が盗みをしたことを知った八重子がゆかりを殺してしまうという話である。「耳すます部屋」というタイトルは,八重子が電話でゆかりと久恵の会話を聴いていたことを示している。

    ○ 五十像
     少年が犯人と見せかけて,五人組の大人が,少女を誘拐した誘拐犯だったという話。しかし,少年が単なる善人ではなく,最後の最後で少女に対し「付き合ってくれるかい」と問いかけ,少女の全身に鳥肌が立ったという描写で終わる。何とも言えない読後感の作品

    ○ のぞいた顔
     夏美という自殺した娘の話を出し,房子という少女が,教師を脅そうとした話…と見せかけて実際はホラー?リドルストーリーのような結末だが,やや練不足か。

    ○ 真夏の誘拐者
     誘拐。ただしメイントリックは母親がパチンコをしている間に,車ごと誘拐されたが,誘拐された段階で子どもが死んでいたという点。母親は自らの罪がバレないように,誘拐犯を殺害するが,勘の鋭い刑事が子どもの解剖をし,母親の罪を見抜いたような終わり方をする。なかなかの作品。

    ○ 肝だめし
     ホラー。肝だめしで「死ぬほど驚かされ」,死んでしまった少年が,翌年の肝だめしで幽霊として驚かすという話。ショートショートらしいショートショート。

    ○ 眠れない夜のために
     折原一らしい短篇。週間雑誌の読書投稿欄において,騒音についての投書がされるという話。読者コーナーの担当者が一方当事者だったという展開は,途中で読めてしまうが関係者が次々死んでいくというブラックな展開も折原一らしい。

    ○ Mの犯罪
     連続幼女殺人事件の被害者のひとりと思われた少女が,実は殺人者であり,彼女の犯した殺人を目撃し,Mという男性に罪を押し付けた変質者を最終的に殺害するという話。折原一の作品に登場する女性は,なかなかの曲者ぞろいである。作品のレベルとしては中の下くらいか。

    ○ 誤解
     猟銃による誤射殺人がテーマ。自分の息子が,いじめにより自殺してしまったことから,藤岡という男の依頼し,いじめをしていた少年を誤射殺人に見せかけ,殺人するように依頼した男の話。藤岡が脅迫をしてきたので,いじめをしていた男の父に手紙を書き,藤岡を殺させようとした。なかなか込み入った話。考えオチという感じ。でも,これは結構いい作品と思う。

    ○ 鬼
     「ひろし」が行方不明になる話から始まる怪談話。百物語として怪談を続けるうちに,「ひろし」は存在し,「敏樹」という少年がいなくなる世界になってしまうという話。世にも奇妙な物語系の作品。デキは普通かな。

    ○ 目撃者
     亭主を殺した妻が,目撃者を殺害するために,目撃者に懸賞金を払うとして目撃者探しをする話。目撃者が出てきたところで,目撃者を殺害するがその殺人を別の目撃者が目撃していて…と続く作品。あらすじだけ聞くと結構面白そうだが,実際は,それほど面白くない…。

    連作でもなく,折原一っぽい底意地の悪い作品が10作ある。ここの作品のデキはそこそこだが,折原一好きなら十分楽しめるデキ。寝る前に読む小説向きではなさそうだけど…★3で。

  • 他の方のレビューにもあるように、私も折原一には短編の方が合っているように思う。
    人間の狂気を書かせたら天下一品。

  • 2014/2/11 読了

  • 折原作品は、短編で次々驚かされる方が個人的には満足できる気がします。

  • 折原一の短編集。
    個人的にはこの人の作品は短編のが好みだと感じた。
    無理矢理でも最後にわかりやすくひっくり返してくれる
    作風は読みやすさもあってか実に爽快。

  • 表題の耳すます部屋と、真夏の誘拐者が叙述系でおもしろかった。
    あとはなんだこれみたいなのもあった。
    眠れない夜のためには半分ギャグ漫画みたいなところもあった。
    短いページの中に書かないといけないんでどうしてもそうなるでしょうけどね。

    短編集なのでちょっと時間の空いたときに読むのに適してるかな。

  • うまいんだよなー。


    こうかな?こうかな?と思わせてぎりぎりまで引っ張って、
    思い切りその予想の斜め上を行くのがこの人。

    タイトルにもなっている作品もそう。
    もうそれしかないでしょう?っていう思わせぶりな描写に、
    いやきっと何か別に?と読み進み、
    見事に技ありになるカイカン!

    長編もいいけど本当に短編も、贅沢に堪能しました。
    これも本棚に残し、決定。捨てられないや。

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著者プロフィール

埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。編集者を経て1988年に『五つの棺』でデビュー。1995年『沈黙の教室』で日本推理作家協会賞(長編部門)を受賞。叙述トリックを駆使した本格ミステリーには定評がある。『倒錯のロンド』『倒錯の死角』『倒錯の帰結』など「倒錯」シリーズのほか『叔母殺人事件』『叔父殺人事件』『模倣密室』『被告A』『黙の部屋』『冤罪者』『侵入者 自称小説家』『赤い森』『タイムカプセル』『クラスルーム』『グランドマンション』など著書多数。

「2021年 『倒錯のロンド 完成版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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