十津川警部 帰郷・会津若松 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062748810

作品紹介・あらすじ

代議士をめった刺しにした男が出所した。12年間動機について黙秘を貫いた男が向かったのは故郷・会津若松。だがそこで彼を待っていたのは度重なる脅迫と尾行。刑務所に唯一手紙を寄越した女と喜多方に行けば同じSL列車内で殺人が。「いよいよ始まったな」十津川は事件の鍵を白虎隊と会津娘子隊に見出した。

感想・レビュー・書評

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  • 2022/02/09 18読了

  • ○出所した男は本当に悪かったのか。会津旅情も感じる義理・義憤ミステリー

    12年前に衆議院議員の水谷を殺害した高木が出所した。しかし郷里の会津へ向かい泊まった宿では脅迫状のようなものが置かれる。すると刑期中に手紙をくれた女の佐々木が現れ、一緒に福島市内や喜多方を回ることになるが、共に乗車したSLで尾行していた男と思われる人物が殺されたと聞き…!?
    出所や、当時殺害した動機を吐かなかったことを気にしていた十津川はじめ捜査一課は高木が関係していることに色めき立ち、高木の出自や行動から会津出身の中野竹子が関係していることに気づく。同様の雰囲気を持つ女性を探していると、今度は高木が失踪してしまうが、いったいどこへ。

    この本を読むと、とにかく会津若松の地へ赴いて名所を回りたくなる。とりわけ、この本には広範囲図の他に会津若松駅の周辺にある、本誌に登場する名所の地図まで載せてある。この本を手に観光せよ、言わんばかりだ(笑)
    ともあれ、会津は歴史的にも転換時期の象徴的な場所であり、それにまつわるエピソードもこのミステリーを解く鍵の一つである。
    「ならぬものはならぬ」と明快に主張するところからもわかるように、会津人は義理や正義に厚い、そんな性格なのかもしれない。高木や中野竹子たちもその象徴として書かれ、そんな彼らを応援したくなると同時に、欲にまみれて汚ならしい犯人たちへは大人にもなっていったい何をやっているんだ、と主張したいのである。

  • ネタバレ。なぜ彼女が彼らに協力したのか、動機が不明。

  • 解説に西村京太郎の理想の女性像の話があった。
    会津の中野竹子の話があった。
    凛とした女性だそうだ。

    本編は、中野竹子を崇拝する男の、中野竹子のような女性を思う気持ちを持った男性の殺人事件の動機をめぐる事件になっている。

    著者の思いが重なり合っているだけあって、終盤まで興味深い展開になっている。
    最後に、盗聴があったのは十津川警部らしい。
    佐々木綾と池田多江子の結末への関与がないのが残念。

  • 最後の十津川マジックが素晴らしかった。また最後まで確証がない結末は読者の想像に任せる形でおもしろかった。

  • 白虎隊・会津娘子隊のことがうかがい知れおもしろいです。
    しかし、黒幕へのカマのかけ方がよく分からなかったなあ。
    終盤、警部がゲームをしている感じになるのがちょっと。

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著者プロフィール

一九三〇(昭和五)年、東京生れ。鉄道ミステリ、トラベルミステリの立役者で、二〇二二年に亡くなるまで六〇〇冊以上の書籍が刊行されている。オール讀物推理小説新人賞、江戸川乱歩賞、日本推理作家協会賞など、数多くの賞を受賞。

「2022年 『十津川警部と七枚の切符』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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