夜かかる虹 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 477
感想 : 57
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062749251

作品紹介・あらすじ

あなたをいちばんわかっているのは誰?

ひとり暮らしの私を突然男連れで訪ね、男を置いて帰ってしまった妹リカコ。外見はそっくりで性格は正反対、甘い声で喋り、男に囲まれ、私を慕いながら、一方で恋人まで奪おうとする妹。痛くて切ない姉妹関係をリアルに描く表題作をはじめ、人とのつながり、自分の居場所を誠実に問う作品集。(『草の巣』を改題)

感想・レビュー・書評

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  • 標題作はフキコの感情がリアルで胸に迫る。少なからず同じような思いを抱いていたあの頃を思い出す。2編目は、なかなかつかみどころのない展開だが、蟻地獄に落ちてもがいているような感じ。いいよ、生きてて、と言われている気がした。

  • なんだろう。読み進めるのが大変だった。主人公の虚無感が伝わってくる。だからこそ、読み進めるのが困難だった。
    退屈で、自分の軸がぶれてしまっていて、彼女の見ている世界は歪む。
    陥る可能性は皆、秘めているのかもしれない。
    今を自分らしく生きている人達には、ただただ理解出来ない世界感なのかもしれない。でも、私はどこかでこうゆう世界に陥るのも紙一重と思ってしまう。
    今はすごく、読みづらかった。と、思えたのは満たされているということなのかもしれない。

  • 「ほら、人のこととやかく言うくせに、人のこと傷つけても全然平気で、それが正しかったんだとか言えちゃう人。私、そういう人が大嫌いなんだけど、」

    と妹は言う。

    そうだよね、あなたも私もみんな同じだよね。

    ひとに傷つけられたことは大きな痛みとしていつまでも忘れず、ひとを傷つけたことは「仕方がなかった」と言い切り忘れる。または気づきもしない。

    ひとに尽くしたことは「やってあげた」といつまでも忘れず、そのくせひとにしてもらったことは当然のように受け取りあっという間に忘れてしまう。または気づきもしない。

    とくに自身に正義を信じる場合、ひとはひとに対してどれだけでも残酷に無頓着になれるようです。

  • 表題作と『草の巣』の二篇。どちらも、誰しも持っているけれど普通は誰にも隠している暗い部分をさらけ出してしまう女性が主人公。ああ何でそうしちゃうかなぁという方向に、角田光代の描く女たちはふらふらと行ってしまう。

  • 再読?
    外見は似ているのに性格は正反対の妹。彼氏まで奪おうとする痛くて切ない姉妹関係を描く表題作と「草の巣」収録。

  • 中編二本。幼少期に妹をいじめる姉のエピソードがなかなか怖い。
    昔の本なので今ほどの達者さはまだ無く、二本目は読み通すのが若干苦痛だった。

  • 草の巣は登場人物が考えてることがわからなくて難しかった。今更男から逃げて普通の生活に戻れるのかなぁ。
    夜かかる虹は愛情を同等にあげる難しさとそれによって曲がってしまった姉妹がお互いの思いを内と外でぶつけあっていくところがリアル。

  • 表題作の登場人物フキコとリカコはお互い気づいていないだけで根本は似たもの同士なんだと思う。相手のせいにして自分の行動を正当化する。

  • 顔はそっくり、でも性格は正反対な姉妹の物語。

    もどかしかったり、イライラしたり、恐ろしくなったり。
    でもどれも自分が誰かに抱いたことのある感情があった。

    私を含め、めんどくさい、ひねくれた、ねじれた人間が多い。

  • この作者らしい、生き方が不器用な主人公が出てくる。私の方がましかも、と思えるからか読み終わるとホッと?するのです。

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著者プロフィール

1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒業。90年『幸福な遊戯』で「海燕新人文学賞」を受賞し、デビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で、「野間文芸新人賞」、2003年『空中庭園』で「婦人公論文芸賞」、05年『対岸の彼女』で「直木賞」、07年『八日目の蝉』で「中央公論文芸賞」、11年『ツリーハウス』で「伊藤整文学賞」、12年『かなたの子』で「泉鏡花文学賞」、『紙の月』で「柴田錬三郎賞」、14年『私のなかの彼女』で「河合隼雄物語賞」、21年『源氏物語』の完全新訳で「読売文学賞」を受賞する。他の著書に、『月と雷』『坂の途中の家』『銀の夜』『タラント』、エッセイ集『世界は終わりそうにない』『月夜の散歩』等がある。

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