法月綸太郎の功績 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (456ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062751018

作品紹介・あらすじ

殺人事件の被害者が残した「=Y」の文字は、はたして何を意味するのか!?エラリイ・クイーンへのオマージュである、ダイイング・メッセージものの傑作「イコールYの悲劇」、第55回日本推理作家協会賞受賞作「都市伝説パズル」など、ロジカルな推理が堪能できる本格ミステリ五編を収録した、ファン待望の作品集。

感想・レビュー・書評

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  • 法月警視の作家の息子綸太郎(作者と同じ名前)が探偵役になって殺人事件の謎を解く短編集。ちょっぴり行動することもあるが、安楽椅子探偵の形かな。父親が難航している事件を息子に相談するのだが、ああでもないこうでもないと推理しているうちに、ぱっと解決の糸口が閃くというもの。無茶苦茶な状況でもなく、正攻法の論理的な進め方で、文章も読み易く結構面白かった。
    「イコールYの悲劇」ダイイングメッセージという古典的な道具立てがかえって新鮮だった。
    「中国蝸牛の謎」鍵のトリックも、筋自体もつまらない。
    「都市伝説パズル」都市伝説という目の付け所がいいし、上手く生かしている。論理的な進め方も納得できる。
    「ABCD包囲網」へんてこな事件だが、いかにもありそうに思わされる。
    「縊心伝心」トリックはなるほどと思う。

  • 都市伝説パズルが秀逸。
    ラストが、ホラーの要素も含まれていて気に入りました。

  • 2時間ドラマにできそうな短編集。
    法月綸太郎ってこういう話が多かったのね(読まず嫌いしてた人)。

  • 「都市伝説パズル」が頭一つ抜きんでている印象。次いで「イコールYの悲劇」。残りの3編、特に「中国蝸牛の謎」は凡作と言ってよいと思う。それでも全作品に本格愛が貫かれていることは間違いなく、自作解説もともなうことで、本格に取り組む作者の苦労が読者に伝わってくるような部分もある。
    次作を首を長くして待ちたい。

  • 第5回本格ミステリ大賞への序曲
    論理が漲る傑作推理集!
    〈法月綸太郎シリーズ〉第9作(シリーズ第3短編集)。
    2000年春から02年春までに発表された5つの短編を収録。

    ■イコールYの悲劇(2000.7)
    殺人事件の被害者が残した「=Y」の文字は、はたして何を意味するのか!?
    エラリイ・クイーンへのリスペクト。となればダイイング・メッセージに挑戦。
    (余談ながら競作集で他の著者もみなダイイング・メッセージに取り組んでしまう笑)
    メッセージに使用されたボールペンに残っていた手掛かりから意図を正しく読み取って、登場人物の裏の顔を暴く
    ――プロットには文句なし!なのだが……
    もっと簡単にメッセージを残せるハズだという気はする。
    例えばあの人物の名前を〇する、とか……しかしそうなるとダイイング・メッセージにも成り得ないので難しいところ。

    ■中国蝸牛の謎(2000.5,9)
    作家が密室状態の場所から消失、その後階下で首つり死体となって見つかる、という事件を扱ったもの。
    ある意味バカミスといえるかもしれない。
    蝸牛に関する蘊蓄はすごいし、もうちょっと上手い処理もできそうなものだが……。

    ■都市伝説パズル(2001.9)
    「電気をつけなくて命拾いしたな」
    ――深夜、友人宅に忘れ物を取りに行ったその少しの間、まさしく事件に居合わせていた……。
    現代の怪談、都市伝説をテーマに、そのまま模倣したかのような事件が発生する。
    この都市伝説を背景に真犯人は関係者の証言を上手く利用しアリバイを確保する。著者の構図の反転が見事な作品。
    第55回日本推理作家協会賞受賞作。

    ■ABCD包囲網(2001.11)
    冒頭の『イコールYの悲劇』同様の競作。
    今作もクリスティ『ABC殺人事件』へのリスペクトである。
    俗に言う、ミッシング・リンクの作品。
    ネタバレしてしまうと連続殺人事件の中に本命を紛れ込ませる、というやつである。
    再三明らかにやってもいない殺人事件で自首しに来る男。
    鵜呑みにもできないが無視するわけにもいかず。
    その後の調査で、4件目として男の妻が狙われていることを突き止める。
    3つの事件は直線上にあり、男の家もその延長線上に存在したのだった。
    そこから本作は急転直下のひねりがある。

    ■縊心伝心(2002.5)
    OLが不倫相手に自殺を仄めかした電話をかけ、その1時間後遺体で見つかった。
    不倫相手のアリバイは完璧で、遺体にも偽装の疑いが生まれたため、捜査に臨む法月警視は綸太郎に協力を仰ぐ。
    カーペットの電源に見受けられた違和感から一気に脳細胞が活性化する綸太郎に注目の作品。

    ミステリ  :☆☆☆☆☆
    ストーリー :☆☆☆☆
    人物    :☆☆☆☆
    文章    :☆☆☆☆

  • 久々に再読。一番好きなのは『都市伝説パズル』かな。短編ののりりんはパズラーに徹してて、読みやすいなー。ちょっと物足りない気もするけど。

    法月親子の会話が面白すぎる。あと『ABCD包囲網』の久能警部はちょっとカワイイ。

  • 短篇5作。
    作家・法月綸太郎が推理するシリーズ。

    釈然としない部分があるのもあったけど、全編悪くはないと思います。
    「都市伝説パズル」が頭ひとつ抜けておもしろかったです。

  • ◆あらすじ◆
    殺人事件の被害者が残した「=Y」の文字は、はたして何を意味するのか!?
    エラリイ・クイーンへのオマージュである、ダイイング・メッセージものの傑作「イコールYの悲劇」、第55回日本推理作家協会受賞作「都市伝説パズル」など、ロジカルな推理が堪能できる本格ミステリ五編を収録した、ファン待望の作品集。

  • シリーズ第3短編集。面白かったのは「都市伝説パズル」。シンプルでうま味が活かされている。他には、本格ミステリアンソロジーの「イコールYの悲劇」「ABCD包囲網」など。

  • 推理がはずれる綸太郎がエラリー・クイーンのようで面白い。
    多分、キャラクター的には同じなんでしょう。
    都市伝説パズルが王道本格ミステリで好き。

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著者プロフィール

1964年島根県松江市生まれ。京都大学法学部卒業。88年『密閉教室』でデビュー。02年「都市伝説パズル」で第55回日本推理作家協会賞短編部門を受賞。05年『生首に聞いてみろ』が第5回本格ミステリ大賞を受賞し、「このミステリーがすごい! 2005年版」で国内編第1位に選ばれる。2013年『ノックス・マシン』が「このミステリーがすごい! 2014年版」「ミステリが読みたい! 2014年版」で国内編第1位に選ばれる。

「2023年 『赤い部屋異聞』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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