命みょうが 半次捕物控 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062751308

作品紹介・あらすじ

薬師様の門前で、町娘の尻をさわったとして番屋に連れ込まれた田舎侍。身元を明かさず、10日間だんまりを続ける男の身柄を半次が預かり、調べをはじめる。蟋蟀小三郎と名乗る、このめっぽう腕の立つ不遜な男は疫病神なのか。町娘の事件解決後も、小三郎の謎に迫る半次の身に、厄介事が次々と降りかかる。(講談社文庫)

感想・レビュー・書評

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  • 「佐藤雅美」の連作時代小説『命みょうが 半次捕物控』を読みました。
    ここのところ時代小説が続いていますね。

    -----story-------------
    薬師様の門前で、町娘の尻をさわったとして番屋に連れ込まれた田舎侍。
    身元を明かさず、10日間だんまりを続ける男の身柄を「半次」が預かり、調べをはじめる。
    「蟋蟀小三郎」と名乗る、このめっぽう腕の立つ不遜な男は疫病神なのか。
    町娘の事件解決後も、「小三郎」の謎に迫る「半次」の身に、厄介事が次々と降りかかる。

    江戸の名物男、疫病神「蟋蟀小三郎」が登場シリーズ待望の第三弾。
    疫病神の「蟋蟀小三郎」が初登場。
    圧倒的な剣の使い手にして、遠慮しらずの不遜な男が、江戸と「半次」をかきまわす。
    「半次」は「小三郎」の過去に迫る。
    -----------------------

    2002年(平成14年)に刊行された「半次」捕物控シリーズの第3作です。

     ■第一話 蟋蟀小三郎の新手
     ■第二話 博多の帯
     ■第三話 斬り落とされた腕
     ■第四話 関東の連れション
     ■第五話 命みょうが
     ■第六話 用人山川頼母の陰謀
     ■第七話 朧月夜血塗骨董
     ■第八話 世は太平、事もなし
     ■解説 末國嘉巳

    茅場町御旅所薬師様の縁日で、町娘「あゆ」が、田舎侍に尻を触られたと大騒ぎをし、五人連れでやってきていた町火消し人足たちと喧嘩になった… 番屋に留め置かれた田舎侍は身元を明かさず、十日間だんまりを続けた、、、

    岡っ引の「半次」が身柄を預かり、調べを始める… 田舎侍は「蟋蟀小三郎(こおろぎこさぶろう)」と名乗り、「半次」宅に居候することになる。

    浅葱裏だが顔は公家風… ずぼらに見えてめっぽう腕は立つ… この侍、何者なのか……。


    謎の浪人「蟋蟀小三郎」のキャラクターが強烈でしたねー 剣は凄腕、言動はハチャメチャ、「半次」の女房「志摩」に懸想していることを隠そうともしない、、、

    「半次」にとっては疫病神だが、徐々にその正体が明らかに… 「蟋蟀小三郎」は、何を考えているか理解できず好きにはなれないけど、気になるし興味深い存在で強く印象に残りましたね。

    短篇一話ずつをさらっと愉しめるだけでなく、それぞれの物語に「蟋蟀小三郎」の正体を明かすための仕掛け、伏線が巧みに散りばめられており、一つひとつの事件を解決するうちに、全体を貫く陰謀が明らかになり―― と、なかなか愉しめる作品でした。

    捕物帳の主人公と言えば、弱きを助け強きを挫く、庶民の味方の人情派ヒーローというイメージが強いですが、「半次」は、引合いを抜くことを主な収入源にしていたり、金にならない事件や奉行所の命令で事件を黙殺したりと、犯罪行為を揉み消すことを当たり前にやっていたりして、これまでの捕物帳の主人公とは少し違う印象… これが実情に近かったんだろうし、本シリーズの魅力でもあるんでしょうね、、、

    機会があれば、他の「半次」捕物控シリーズも読んでみたいですね。

  • 目次
    ・蟋蟀小三郎の新手
    ・博多の帯
    ・切り落とされた腕
    ・関東の連れション
    ・命みょうが
    ・用人山川頼母の陰謀
    ・朧月夜血塗骨董
    ・世は太平、事もなし

    解説を読んで短編集と知る。
    ずっと長編だと思って読んでいた。
    そのくらい、蟋蟀小三郎の物語としてストーリーが一貫していたのである。

    最初は痴漢の冤罪で捕まった小三郎を半次が面倒見たのだが、世渡りが下手というか不器用というか、でも遠慮を知らない図々しさを持ち、惚れっぽくて、自分勝手で、どうしようもないやつであることがだんだんわかってくる。
    世の中の裏も表も知っている半次が「殺すしかない」と思うほどの悪行三昧。
    いやこれも冤罪なのか?

    厄介なのはめっぽう剣の腕が立つということ。
    小三郎に係わりあったすべての人が、彼を持て余しているのだけど、これがまた何故か憎めないというか…。
    極悪人であることは間違いないのよ。
    人間性も、ゲス。
    でも、なぜかしら憎めない。
    これはもうキャラクターの勝ちですな。

  • この小説は主人公のキャラクターでしょうね。
    主人公・岡引の半次。いわゆる悪徳の岡引ではないのですが、自分に降りかかる火の粉を消すために、島抜けをかくまったり、捉えきれない悪人を”こっそり消しましょうか”などと言ったり。
    助演とも言うべき浪人は、やたらと腕は立つが、身勝手で倣岸で金にだらしなく。。。
    ですから、何となく読後感は良くないですね。面白くないかと言えば、そうも無いのですけど。
    正統派でもなく、ピカレスクでもない。何となく中途半端。確か第一集はそんな感じもしなかったのですが、どこかで主人公のキャラクターが変わって来ている気がします。

  • 単純に面白かった。

    岡っ引家業がリアルに記されている。
    岡っ引きがどうやって生活していたか、収入はどうしていたかがちゃんと描かれていて好感が持てる。私たちとは異なる時代の正義感がきちんと描かれている。社会において悪い人は殺した方がいいという正義感で人々が動いている。その価値観がきれい事ではなく、江戸でのリアルな生活を醸し出して興味深く読めた。

    この巻では、全く半次郎と異なる価値観の浪人蟋蟀小三郎が登場し、この蟋蟀小三郎も蟋蟀小三郎なりの正義感や価値観があり、半次郎と合わない様が面白い。

  • お志摩さんは、ちゃんとした岡っ引きのおかみさんになるのかしら?

  • おかしな二人

    半次 と 蟋蟀小三郎 の初顔合わせ(*^_^*)

    この作品のなかなか得難いところは、岡っ引きが.何処からお足を引き収入を得ていたかが、飾りなく描かれているかにつきます


    余り胸を張れる仕事じゃないですね

  • 初版本

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著者プロフィール

佐藤 雅美(さとう・まさよし)
1941年兵庫県生まれ。早稲田大学法学部卒。デビュー作『大君の通貨』で第四回新田次郎文学賞を受賞。1994年『恵比寿屋喜兵衛手控え』で第110回直木賞を受賞する。著作に『御奉行の頭の火照り 物書同心居眠り紋蔵』『頼みある仲の酒宴かな 縮尻鏡三郎』『関所破り定次郎目籠のお練り 八州廻り桑山十兵衛』『知の巨人 荻生徂徠伝』などがある。2019年7月逝去。

「2021年 『恵比寿屋喜兵衛手控え 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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