猫丸先輩の推測 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (456ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062751834

感想・レビュー・書評

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  • 解決ではない。猫丸先輩の解釈である。
    それが真実かは確かめない。(確かめる話もあるが。)
    納得できればそれで良いのである。

  • 子猫みたいなビジュアルに、本格ミステリにふさわしいロジカルな頭脳に腹黒さ、というギャップがたまりません。「一つの解釈ってだけの話で」とか言いながら、猫丸先輩の「推測」は、筋が通りすぎています。

  • ※2006/4/8のblogより転載

     倉知淳という作家の名前だけで買った一冊。
     倉知先生の作品は「星降り山荘の殺人」のイメージしかないので、もっと本格的な作品かと思っていたのですが、全体的にコミカルな作品でした。
     しかし、内容はなるほどと思わせられるモノばかりで、凝った本格作品ばかり読んでいる時の合間に読むには最適かも。

     猫のような風体と、幼児的な行動、べらんめい口調で年齢不詳な猫丸先輩が、身の回りで起きる不思議な出来事を、文字通り推測していく。
    推理ではなく推測(^^)


    「夜届く」
     夜毎届く不可解な電報。
     心当たりの無い怪しい電報は、自分だけではなく近所の家にも届いていることが分かった。謎の電報の意味する所は!?
     復讐には色々な方法があるんだなあ、と感じた話。

    「桜の森の七分咲きの下」
     会社の花見の場所取りを仰せつかった新入社員の下に、次々と訪れるおかしな訪問者たち。彼らの真の目的とは一体・・・・・・
     そらあ確かに必死になって新入社員を口説くわなぁ。でも実際そんなことあるんかいな!?

    「失踪当時の肉球は」
     ペット専門の探偵が、失踪した猫の捜索依頼を受ける。
     ただちに捜査を開始するが、次々と妨害工作が発生する。そして意外な所に、意外な理由があった。
     これは、途中でわかりました。いくら推理が全く出来ないわたしでも(^^)

    「たわしと真夏とスパイ」
     新興スーパーに押される老舗の商店街が、起死回生にと思案した縁日とのコラボレーション。だが縁日の屋台に嫌がらせと思われる悪戯が2件、3件と続く。
     敵意剥き出しの商店街店主たちは、スーパーからの妨害だと信じ込む。
     人間の思い込みって怖いし、正常な思考回路で考えることは不可能なのね。そういう状態の時って。

    「カラスの動物園」
     動物園内での窃盗事件に巻き込まれるデザイナーと猫丸先輩。
     犯人は濡れ衣だと主張し、身体検査をしても盗んだ財布は見つからない。本当にその男が犯人なのか!?
     自分では見ているつもりでも、見えていないものって一杯あるんですね。

    「クリスマスの猫丸」
     クリスマス当日。待ち合わせの喫茶店の窓越しに、全力疾走するサンタの姿が、しかも時間をおいて3人も同じようにサンタ姿で疾走する。彼らが走る本当の理由とは?
     人が全力疾走するシチュエーションって、どの位あるんだろう!?


     全編を通じて、物事には色々な側面がある事、そして一方から見ているだけでは見ることの出来ない部分が、世の中にはたくさんあるということを、猫丸先輩は教えてくれる。そんな一冊でした。

  • 猫丸の頭脳に、日常の謎が追い付いていない
     推理ではなく、あくまで推測なのですが、だからと言ってすっきりしないという訳ではありません。猫丸の推測は一応説得力がありますし、事件は解決したように思えるからです。
     ただ「夜届く」は良作だと思いますが、後は正直言って微妙です。特に後ろの2作は、取り上げるほどの謎でもないと思います。愛嬌ある猫顔探偵は勿論、挿絵のイラストも可愛らしく、ほのぼのミステリを演出していますが、猫丸以外はむしろイライラする箇所が多いです。猫パンチしたい気分。

  • 印象としては、「隅の老人」と「ブラウン神父」を足して2で割り、そして倉知さんの柔らかながらも皮肉の効いた雰囲気でコーティングした感じ。

  • やっぱり日常の謎ものですごく好きな本!とはならないな

    日常でこんな不思議な事が起こった時、猫丸先輩のように柔軟に落とし所のある答えを見つけられたらとても楽しそう
    解決一つ一つは分かりそうで分からない、なるほどな!という感じ

    この絵は好きじゃないなぁ

  • タイトル通り「推理」ではなく「推測」なので解決には至りませんが、猫丸先輩の解答が良い感じにぶっ飛んでいて楽しめました。
    ベストは【失踪当時の肉球は】。逆説的解決が鮮やかですし、コテコテのハードボイルド探偵がちくわを持って猫捜しするというギャップがツボにハマりました。
    その他【桜の森の七分咲きの下】は序盤の余談が最後に繋がってくるところが、【たわしと真夏とスパイ】は細かい伏線を回収しながら論理的な解決がなされているところが良く出来ていると思いました。

  • だいぶ間を開けてしまいましたが猫丸先輩シリーズであります。講談社文庫に移り、挿し絵がついております。個人的に雰囲気は創元推理文庫の方がすきですが(苦笑)
    短編は全て日常の謎系。正直、結論にもう一捻り欲しいかな、といった感じです。解説にもありましたが、ゆえに『推測』なんだと。確かにこの発端が全ての日常の謎系の下地にあるようにも思うので、価値あるものだとも思います。

  • 短編集
    最後に2作は、何処かで読んだ記憶がある
    何処で読んだのかな
    雑誌にでも連載していたのかな
    思い出せない

  • 猫丸先輩が好きを。
    どんどんかっこいい要素や事件性はなくなってきたけれども。

  • 好きです、猫丸先輩。

  • 一応、『安楽椅子探偵』の系譜に入るのかな?
    事件といえるかどうかわからない不思議な事象を、猫丸先輩がことごとく説明を付けていくという物語。
    この手の小説では、自分の問題に解決を与えてくれるのだから、猫丸先輩に尊敬の念を抱いてもよいはずなのだが・・・自分がその立場になった場合に、ちょっと疎ましく感じるかもしれない。問題が解決されてうれしいのだが、別のもやもやが胸に残ってしまう。
    むしろ、傍観者の立場で、問題を抱えた人と猫丸先輩のやりとりを、第三者として眺めるのは、おもしろいのかもしれない。
    本書では6編を収録した短編集。

  • 4
    「夜届く」は出色の出来。面白い。
    それにしても半分ぐらい読みとばしても、話の筋は何故かしっかり頭に入っているのが不思議。

  • 友達にはなりたくないけどちょっと離れた位置で観察してたいです。(笑)
    http://feelingbooks.blog56.fc2.com/blog-entry-826.html

  • 軽く読めるけど、侮れない。楽しく読めました。

  • いやー、いいねぇ。 猫丸先輩のキャラは。
    ミステリーといっても、死体も殺人も出てきません。日常の謎を猫丸先輩がぬるっと解決します。あ、いや、違うな、推測します。
    「一つの解釈」と言っても何となく納得させられます。 
    短編集なんで、読みやすく楽しい本です。
    ストーリーは「夜届く」が好きですが、探偵の郷原さんとデザイナーの葉月のキャラが好き。

  • シリーズ短編集。
    軽くミステリが読みたいときに。

  • 図書館より。

    挿絵が可愛いなあ、可愛いなあと思っていたら、なんと絵本作家の唐沢なをき氏の筆だった。そりゃかわいいはずだわ。好きだもの。

    内容は、日常の謎系。
    本格ミステリのような壮大なトリックはなし、殺人なし。
    正直最初は物足りなさを感じる予感がしていたが、推理小説に求めるものを「鮮やかで大がかりな謎」ではなく「個性的なキャラクターの活躍」というところに転じてみれば、猫丸先輩のキャラクターのたちっぷりは申し分ない。
    ちんまり小さくって少年のような細ッこい体躯をしているくせにスモーカー、というギャップが、個人的にはつぼだった。
    わたしの考える「名探偵の素質=人間愛」という構図には当てはまらないものの、時折見せる冷たい表情から、「犯罪(ほとんどがいたずらとか町内お騒がせレベルだけど…)のからくりを見抜く力がある=自分の中にも犯罪者と同じような意地の悪い発想回路がある」とみられる。好奇心が強くて人生を隅から隅まで楽しもうとする楽天的性格を持つかたわら、底意地の悪い一面も持ち合わせているところが気に入った。

    「失踪当時の肉球は」の私立探偵が、しょっちゅうちくわをぶらぶらさせている描写が出てきて、それが何ともお間抜けに見えて笑ってしまった。

    にゃんこの鳴き声の描き方も多彩。ほんとうに猫が好きなんだなあ。「ぶるにゃん」って…!

  • 題名通り推測が述べられてるだけ。
    見方を変えればこうなるなぁと確かに思うけれども、見方を変えるためのきっかけとその推測にたどり着くまでのぐだぐだ感がぬぐえない。ちょっと読み進めるのがきつかった。

  • 猫丸先輩のキャラが大好きです。
    どんな容姿なのか色々想像してしまいます(笑)

  • 旅行用に文庫本を。夜勤で読んでんだけど。猫丸先輩の短編集。特に印象には残らないな。日もたったし、何も覚えてない・・・

  • 猫丸先輩の奇人っぷりと、八木沢の憐れさは健在です。
    日常を側面からみたような謎と解決は笑えて楽しいものばかりでした。
    古典名作をもじっているのであろう各編のタイトルもおもしろいです。

  • 『家火災、至急連絡されたし。』夜な夜な届く不審な電報、花見の場所取りをする新入社員を次々襲う誘惑と試練、行方知れずの迷い猫...。平和だった毎日を突然かき乱す小さな「大事件」を、神出鬼没&ほのぼの系の名探偵・猫丸先輩が鋭い推理でずばり解決!これぞ本格ミステリの精粋といえる6編を収録。

  • いわゆる「日常の謎」系ミステリーの短編シリーズです。
    猫丸先輩の、可愛いのに毒舌というキャラがいいのだ♪

  • [加納朋子さんが解説を書いている]
    解説……ではなくて怪説 加納朋子

  •  猫丸先輩シリーズ。
     子供の頃によんだときは猫丸先輩かっこいいとおもったのだけれど、大人になって読んでみれば、なんかすごいえたいが知れない人だった。すごいなぁ。

     猫丸先輩がほんわかしてるけど、話の内容自体は癒し系という訳ではない。

  • 神出鬼没・ほのぼの系探偵・猫丸先輩の推測

    読了日:2007.07.20
    分 類:連作短編
    ページ:500P
    価 格:667円
    発行日:2002年9月講談社
    ノベルス2005年9月発行
    出版社:講談社文庫
    評 定:★★★+


    ●作品データ●
    ----------------------------
    主人公 : 猫丸先輩の周辺にいる人
    語り口 : 3人称
    ジャンル: ミステリ
    対 象 : 一般向け
    雰囲気 : 新本格系ほのぼの
    結 末 : 大体解決
    カバー装画:唐沢 なをき
    カバーデザイン:柳川 昭治
    本文イラスト:唐沢 なをき
    解 説 : 加納 朋子
    ---------------------------

    ---【100字紹介】-------------------
    夜な夜な届く不審な電報、
    花見の席取り中の新入社員を次々と襲う誘惑と試練、
    行方知れずの迷い猫…平和だった毎日を突然かき乱す
    小さな大事件を、神出鬼没なほのぼの系探偵の猫丸先輩が、
    推理ならぬ「推測」で解決!
    --------------------------------------

    倉知淳、初読みです。

    主人公は各話異なる人物で、彼らが謎に困惑しているところに
    猫丸先輩がふいっと現れて、何だか人をおちょくるようなことを言いながら、
    好き勝手な推測をべらべらとしゃべり…、それが意外にも
    「あ、それってほんとっぽい!」という種明かしに思えてしまうというストーリー。

    猫丸先輩の推理は、確かに面白くて、真相に見えるのですが、
    基本的に猫丸先輩は他の可能性をつぶしたりはしません。
    つまり、唯一無二の解答ではないのです。
    だから猫丸先輩自身、言うのです。

     「それが本当に真実かどうかは僕には判らないけど、
      僕なりの解釈でいいなら聞かせてやるよ」
                      (本文より)

    そして本書のタイトルも「猫丸先輩の推測」。
    つまりはそういうこと。
    だから新本格系のパズルっぽいお話なのですが、
    ちょっと他のものと毛色が違うというわけです。
    また、こうすることで楽しい謎が小話になってくれて、
    連作短編として成立する、ということもあります。
    ネタ自体が小ネタであるというのもありますけれど。

    そう、ひとつひとつのお話が小ネタです。
    しかもこんなにほのぼのとしているのは、取り扱う謎の性質上でもあるでしょう。
    殺人とか誘拐とか、血腥いお話は一切抜き。
    平穏な日常をいきなり壊すのは確かにその通りですが、
    世間を騒がす大ニュースになるようなものではなくて、
    自分にとっては大事件なんだけど、な「小さな大事件」ばかり。
    軽くて、でも大きな。

    主人公が1話ごとに変わりますが、その主人公の立場などについては
    かなり細かく書き込まれています。舞台づくりが好きな著者ですね。

    のんびりとした雰囲気で、
    ちょっとした「あー、そっか!」が読んでみたくなったら、お勧めの一品です。


    ---------------------------------
    文章・描写 :★★★★
    展開・結末 :★★★★
    キャラクタ :★★★+
    独 自 性 :★★★
    読 後 感 :★★★
    ---------------------------------


    菜の花の一押しキャラ…扇屋の婿養子


    「それが本当に真実かどうかは僕には判らないけど、
     僕なりの解釈でいいなら聞かせてやるよ」  
                    (猫丸先輩)

  • ほんわか日常ミステリ。おすすめはひよこ売りの猫丸先輩です。

  • 猫丸先輩ったら。

  • 『夜届く』夜に届く電報の謎(笑)八木沢君は傲慢だそうだ(笑)
    『桜の森の七分咲きの下』花見の場所とりの社員をどかそうとする人々の謎(笑)
    『失踪当時の肉球は』疾走した猫を探しハードボイルドな探偵(笑)猫探しのポスターが傷つけられる謎(笑)
    『たわしと真夏とスパイ』大型スーパーの進出で危機にたたされた商店街。北の工作員って(笑)祭りの夜に猫丸先輩の推論(笑)
    『カラスの動物園』デザインに行き詰まった葉月が訪れた動物園でのひったくり事件。使い捨てカメラの使い方がわからない猫丸先輩(笑)
    『クリスマスの猫丸』全力疾走するサンタクロースの謎。八木沢君と猫丸先輩のクリスマス(笑)

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著者プロフィール

一九六二年静岡県生まれ。日本大学藝術学部卒。九三年「競作 五十円玉二十枚の謎」に応募し、若竹賞を受賞、九四年『日曜の夜は出たくない』で本格的に作家デビュー。二〇〇一年『壺中の天国』で第一回本格ミステリ大賞を受賞。著書に『星降り山荘の殺人』『片桐大三郎とXYZの悲劇』『皇帝と拳銃と』『豆腐の角に頭ぶつけて死んでしまえ事件』『月下美人を待つ庭で猫丸先輩の妄言』などがある。

「2021年 『作家の人たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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