- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062752596
感想・レビュー・書評
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2人の男が、破滅の道を歩んでいく。
彼らの破滅の先を、真っ暗闇でなく照柿と表現するのが、ニクい。
お気に入りのシーンはP166、P192
高校生・大学生のときは理解出来なかったが
年を重ねる毎に心にじんわりと染みる作品。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
最後のほうまで本当につらい。
でもようやく色の名前を手に入れ、わずかに光が射した気がする。
と思ってたら、最後の加納祐介の一言でまた波紋を広げられて終わる。 -
四章に入るまでは重くてなかなか進まなかった。
合田刑事の違った一面を見れた気がする。 -
佐野美穂子という女を引き金に、刑事の合田と工場勤務の達夫の
男ふたりの運命が、奈落の底へと落ちてゆく話。
熟れた柿が西日に照らされた色。【照柿】が
達夫や合田の精神に狂気、失望等の変化を及ぼす描写が美しかった。
また青とのコントラストもよかった。
工場の暑さやアトリエの床の木屑など、まるでその場にいる錯覚に陥る
ほどの表現力に驚かされた。 -
上巻から感じたこの感じ。
ようやく気づいた。
そうだ、ロシアなんかの寒い国で、社会主義国家の昔の文学に似てる。
抑圧された労働者の日常と劣悪な職場環境。
上下関係の階級社会。
苦悩しっぱなしの主人公。
最後の書簡に至るまで、主人公を始め、およそどの登場人物にも同調できない苛立ち。
特に極悪人が描かれるわけでもないし、奇抜な設定でもないのに、
何十年も前の設定の話を読むかのように自己投影ができない。
自己憐憫と自己欺瞞と鬱屈された嫉妬と抑圧された欲望が、
そこここにぽっかり、口を開けている。
重さが耐えられるのかいなか、筆者が読者を選ぶようなスタンスがそこに。
筆者の渾身の、という評価に十分値する力作。
・・・ただし、ミステリを期待した私にはやや荷が重かった。
桐野夏生の、ミロシリーズの堕ち方を思って、ちょっと怖くなったというのが正直な感想。
・・紹介文を読み、現代の罪と罰、というコピーに少しナットク。 -
話進まないなーと思ってましたが、合田がアパートを訪ね、野田がいかに画家の血を引いてたのかがわかる辺りからゾクゾクした
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熱い、暑い、しかし最後の雷雨で鳥肌が立つ。あぁまた泣かされてしまう。単行本版とは読んだ時期も違うけど、かなり改編されている印象。記憶が新しい内に、単行本をちらっとのぞいてみようっと。
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単細胞が高村さんを読むには、勢いと開き直りが必要と改めて実感しました。
ずっしりとした印象ですが、そんなに難しいことが書いてあるわけじゃないんですね。
なんというか、じりじり焼かれて境界線が曖昧になっていくさまが説得力をもって書かれていて、暑さで頭が沸くと笑いながら言ったりしますが、それは言い得ているのかもしれぬとおもいました。来年の夏は「照柿」という色をこの目で見られたらいいかもとおもいましたが、いやいや、ちょっと気が滅入るからやめておけ、ともおもいました。
http://beautifulone.jugem.jp/?eid=255 -
090921(n 091103)
100110(s 100215)
100119(n 100303)
100512(n) -
物語が生む圧倒的な質量と熱は最後まで衰える事無く、
読む者を打ちのめす。
寸での所で踏み止まった合田が受けた罰は
この先の彼の人生にどのような影を落とすのか。
正に現代の「罪と罰」。