- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062752633
作品紹介・あらすじ
40代が分別盛りなんて、誰が言った?見た目は中年、中身はいまだ少年……。直木賞作家がユーモアたっぷりに描く新オフィス小説集。四十にして、大いに惑う。
解説=酒井順子
人事異動で新しい部下がやってきた。入社4年目の彼女は、素直で有能、その上、まずいことに好みのタイプ。苦しい片思いが始まってしまった(表題作)ほか40代・課長達の毎日をユーモアとペーソス溢れる筆致で描く短編5編を収録。上司の事、お父さんの事、夫の事を知りたいあなたにもぴったりの1冊です。
感想・レビュー・書評
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40代課長職の男性が主役の、
5つの短編集。
どの話も、初めて読むんだけど、
なんか知ってるというか、
どこか共感出来る話だったなと思います。
中でもラストの話が心に残る話で、
短編の順番も良かったです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
奥田さんファンとしては物足りなくもあったけれど、やっぱり面白かった。
「マドンナ」は奥さんとの会話にハラハラして、最後のオチにほっとした。男って勝手だなぁ〜と思いつつ笑
「ダンス」は酔って息子の部屋に怒鳴り込む?ところが好き。真っ当なことを語りつつ、浅野のことまで混同して息子に言っちゃう酔っ払いぶりが好き。
「総務は女房」は残念だけれど、会社を生きるサラリーマンとして仕方がないのかも。でも現代でもこういうことって、本当にあるのかなぁ。私は民間企業のことはよく知らないから分からない。
「ボス」もね、オチは可愛らしくて良いよね。
「パティオ」はやっぱり、おひょいさんが好きだし。
ほんと、奥田さんの描く人物は魅力的。 -
働くおじさんの心のうち なかなか面白かった。
共感できることが多くて、男も女も同じだなという感覚でした。
短編集なので読みやすく、さすが奥田英朗さんならではのユーモアでした。 -
「ガール」が働く女性側の話であるのに対して、
この「マドンナ」は働く男性側の話
まるで対のようであった
男性は男性で、家のローンを抱え、子供の教育に頭を悩ませ、親を看取る心積もりもしなくてはならない
(これらは、何も男性に限ったことではないが)
会社では、上司と部下の狭間で気を使い、同期の行方も気になる
いろんなものを背負わなくてはならなくなる40代の男性
みんな大変なんだ、男性も女性も生きていくのは大変だ
などと思いつつ、人事異動で自分の課に入ってきた女性社員に胸を躍らせ、寝ても覚めても心を奪われる春彦をみて
あーあ、男って馬鹿だなと笑うしかなかった
「マドンナ」
私的には、最後の「パティオ」が好きだな
会社が再開発した港パーク、当初の思惑が外れすっかり寂れている
その一角のパティオと呼ばれる中庭で、一人静かに読書する老人に故郷で妻に先立たれ一人暮らしをする自分の父親の姿を重ね合わせ、心を通い合わせていくという話
昨年末に亡くなった父を思い出し、無性に父が恋しくなった
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自分と同じく40代サラリーマンの職場での問題を皮肉をまじえた短編集。営業職の話が多く自分の職種とは違ったが、女性社員への恋心、女性上司との折り合い、年老いた親との関係など身に迫るテーマで、のめり込んて読めました。
「パティオ」
登場する、おひょいさんは達観し毅然とした雰囲気があり自分もこういう歳の重ね方をしたいと思いました。
全編を通して感じた事は、アラフィフ世代で歳を取ったなあと思っていましたが、まだまだ子供だと突きつけられているようでした。頑張ろう。
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凝り固まった中年男性達の働き方の話。
「マドンナ」奮闘する主人公と最後の展開。面白かったです。
「ダンス」は最後の芳雄と息子のやりとりが笑えた。
「総務は女房」うーん…この終わり方は正しいのかなぁ。
「パティオ」おじいさんが好きでした。
新鮮で面白い内容でした。 -
働き盛りの四十代男性が、会社で、家庭で痛めつけられている姿は何とも気の毒で。。。
しかし、テンポがよく、最後まで一気に読めてしまいました(*^_^*) -
面白かった。
ガールが面白かったからこれも期待していたけれど
予想通り好みでした。
こういう自分の知らない世界、見ぬ世界、
でも興味ある世界に小説を読むと触れられたりなりきれた気分になる本好きですね。
サラリーマンはまさにそれ。
現代社会をよく理解されているなあ、と感心しました。
(15年ほど前の作品ですが)
また、それと同じく心情を捉えるのが上手です。
サラリーマンの方の気持ちが手に取るようにわかりました。
というか、サラリーマンの仕事がイメージできました。
サラリーマンになるってどういうこと?っていうのが再認識できました。企業に活かされ、社会にもまれ、出世レースに参加し…。競争社会を実感しました。
また、男の人も悩むんだなあと思いました。
なんせ、男の人って私をはじめ女の人みたく悩みが少なそうだし悩みを悩みと認識しないというか。ポジティブなイメージがあるのです。
でも、出てくる主人公はみんな何かに悩みを持つサラリーマン。
まっとうな人生を歩みいい大学、いい企業に入った方。
そんな人たちは出世、人間関係、組織といった彼らならではの悩みを抱えているんだなぁと。
彼らは思慮深いので、私の周りにいる男の人とは一味違うなあと、新鮮でした。そんな彼らのような悩める男性に魅力を感じました。
世のサラリーマンの方にいつもお疲れ様ですとこの場を借りて申し上げます。
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遠いような近いような二つの空間でそれぞれ主人公が ゆったり揺れ動いたり畳み込むように慌てふためいたり。奥田英朗さんはやっぱりすごい!
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軽やかに読み進められて、面白おかしくて、さいごはとても清々しい。
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奥田英朗さんのこういう作品、大好き。『ガール』は働く女性が主人公だったのに対して、こちらは働く40代男性が主人公。一回り以上歳下の部下の女の子に恋しちゃうオジサンに、海外帰りの女性が上司になって葛藤するオジサン、会社では上司に抵抗してみたり、家では妻に言い負かされたり。20年近く前に刊行された作品なので今の時代にこんなオジサンは少なくなっているだろうなぁと思いつつ、ここに登場するオジサンはそれぞれの立場で奮闘していてかわいいな、と思えました。
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日本を支えているのは
間違いなく、はたらくおじさま達であります。
彼らをもっと好きになりたい方へ。
ぜひ読んで、そして、わらってあげてください。
そして、愛すべき勤労者達に優しくなって下さい。 -
きっっっっっしょ。
一作目キツすぎない?これに、あるある、とか分かるとか言ってるオッサンもいて余計キツいわ。
基本ずっときしょいオッサンが出てくる。
マドンナと総務は女房のオッサンが本当に無理。
後者の結論も無理。
主婦のへそくりと賄賂・横領を同列に語るなよ。
ダンス、ボス、パティオはまぁ面白かったので星3 -
既婚者でも、油断すると、すぐ人を好きになってしまいます。
生活の張りというか。
あるんですね。誰にでもこんなことが。
表題作の「マドンナ」をはじめ、家族を養うために、身を粉にして働くお父さんたちの苦悩の日々が、ユーモアを交えて綴られています。
世のお父さんたちの、知られざる世界が覗けて楽しかったです。 -
『ガール』とは違い、40代中間管理職サラリーマンが主人公の5編が収められた短編集。主人公は昭和か平成初期の大企業に勤めるそこそこの高給取りばかりなので、妻はもちろん専業主婦で自分が食わせてやっているという感覚を持っている。昔はそれがステレオタイプで、そういう風に教えられ育ってきたから仕方ないとは思いつつも、プライドばかり高くて辟易する。『ボス』『パティオ』は良かったが、前半3つは嫌な気持ちになることが多かった。特に、表題作はただただ気持ち悪かった。『総務は女房』も折れずに頑張ってほしかった。半沢ならスカッと成敗してくれたはず。
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勧善懲悪。白黒つける。って言うのとは違う大人の折り合いの付け方。気持ちの落とし所。スッキリしない様で、する。
そんな、中年男子?の気持ちが明るく描かれている快作。
40代中盤から50代のサラリーマンにはツボなはず。
「パティオ」が特によかった。 -
初版2000年頃の作品を集めたものなので、20年近く経過した今読むと、旧来のジェンダーバイアスがきつめだなぁと率直な感想。
現実的にはまだこういうタイプの男女観は多数なのは百も承知ながら、あらまあという印象。
纏う服装などで人物の輪郭を作り上げる技術は、さすが奥田さん。 -
会社の女の子を狙ってみたり、子供に対して、部下に対しての対応など40代のお父さんが、ちょっとどきっとするような、チクリと痛い所を突かれてるような話ばかり。乗り越えないとダメな壁が次々と。でも最後には少し折れて丸くなってる所が少し許せたかな←妻目線(笑)
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短編からなる話。
最後のおひょいさん、自分の父母たちが寂しくなかろうか、心配することがあるのだろう。近くなく。会社員としても、どの話もおもしろかった! -
いろんな立場の人間の葛藤が描かれてると感じた。特に一般的な日本の会社における葛藤。集団に従わない人間が自分という個性を大事にすることの限界。結局、従わなかった人間もどこかで折り合いをつけるしかないっていう現実を描いていて、なんだか悔しい気分にもなった。でも、現実はこんなものなんだとも素直に腑に落ちた。集団の中でも「異質な存在」それはもともとのキャラクターであったり、自分が特別な思いを抱いてるだけであったり様々な意味でだけれど、とにかくそういう人間がいるだけでこんなにも人間の生が活性化されるのだとも思える。奥田さんの文章を読むといつも、憎むべき人などいなくて皆同じなんだと思わされる。人ってこんなにも影響されやすく頼りなく面白いものなんだなぁと。
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40代働き盛りのおっさんが主人公の短編集。
主人公のおっさんの共通点はとにかく熱い!悩ましげ!
状況描写がとにかく いちいち面白くて (ここは適当に読んじゃえ的な)捨ての所がない。
おっさんが読んでもいいし、おっさんを父に持つ子が読んでもいいし、私みたいな素敵女子が読んでもいい、まぁ 誰が読んでもオモロイ話だと思う。日本のおっさんにエールを送りたくなる1冊。 -
奥田英朗、6冊目。
ガールと並んで好きになった。
奥田さんは、ホントに人を観察するのが上手な人だ。
何だかよくわかんないけど、この本を読むと
ありふれたオフィス環境で起こるドラマを想像してしまう。
実際、自分の職場ではあんまり聞いたことがないけれど、
どこかの職場では「こういうの、あるあるっ~」って
なってるんだろうなぁ。。
この本を読めば、オトコとオンナのことが
よくわかる!?かもしれません。 -
五編からなる短編集。どのストーリーも40代の男性課長が主人公。今となっては過去の遺物かもな主人公たちですが、改めて読んでみると、拒絶反応を示す方もいらっしゃるかもですが、愛らしさすら感じられ、なんだかホンワカしました。
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昭和を引き摺る頭の硬いおじさんたちにイライラ。いたよ、こういう上司。いや、いまだにたまに見かけるよ。最近じゃ口ではリベラル気取って、頭は硬いままで余計始末に負えない。…って、ちょっと熱くなってしまった。そんな中「パティオ」は凄く良かった。実家の両親のこと、自分たち夫婦のこと、色々と考えてしまった。「アローンとロンリーは似て非なるもの」
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奥田英朗の「ガール」と対をなす会社員シリーズの男版。会社と家庭の板挟みの悩める中間管理職の心情を痛快に描いている。一気に読んだ。
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なんでこんなにこの人は、
女心も男心もわかるの?
20代女子でも“おっさん”の
ださくて、
子どもで、
でもやっぱりかっこいい男心がのぞけて
愛しくなる魔法の一冊。 -
20141109
奥田さんのサラリーマンを主役にした作品は、どれも本当にリアルで、主人公たちと非常に近い立場の自分も全く違和感無く楽しめた。
きっと、しっかりとした取材もしているだろうが、作者自体の社会経験が無ければ出せないリアルさを感じさせられる。
こういう説得力のある作者の本を読むと、若手や、引きこもりのような作者が逞しすぎる妄想力だけで書く本には、全く同感出来無くなる。
5編とも、特に強いメーセージ性があるわけでも無く、お涙頂戴、殺人事件も無く、肩の力を抜いて楽しめる作品ばかりだった。
自分自身、40代の中間管理職という家庭、職場でも悲哀ある立場ではあるが、どうせなら今の状況をあまり神経質にならず、自然体で過ごそうと思えた。 -
20年前のサラリーマンはこんな体育会系な世界で生きていたのか。「ガール」に比べると、ジェネレーションギャップがすごい(そもそも「ガール」か世に出たのは大分後だが)。
競争社会でシノギを削ってきたおじさん達は今の世の中をどう思っているのだろうか。
会社を盛り上げてきたというのに歳下から化石のように扱われ、何かにつけ「パワハラ」の一言で切り捨てられる。家族を養う為に頑張ってきたのに家庭を顧みなかった代償に妻から熟年離婚を切り出される。そう考えるとすごく可哀想だ。
このおじさん達だってそういうゴリゴリの時代に生まれただけであって、現代に生まれれば残業もしないし嫌になったら退職代行使ってさっさと辞めるよね。