- Amazon.co.jp ・本 (592ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062757546
作品紹介・あらすじ
スコッチウィスキーの聖地スペイサイドへ週末旅行に出かけたジェマ。だが同行の友人には旅先で不倫相手との逢瀬をという隠れた目的があった。怪しい雲行きは何者かの殺意を呼び、美しい風景に一発の銃声が轟く。その頃、ロンドンに残ったジェマの恋人キンケイド警視の元には、家族の愛を脅かす知らせが-。
感想・レビュー・書評
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舞台はスコットランド。スコッチウィスキーの産地として有名な場所へ、かつての隣人でもあり、よき相談相手でもあるヘイゼルと共に、週末の旅行にやってきたジェマ。ロンドンの我が家では、二人の息子と、恋人のキンケイド警部に留守番を任せて、警察の仕事からも離れ、女二人、何もかもから解放されて、のんびり、羽を伸ばすつもりだった。だが、目的地が、実はヘイゼルの故郷であり、そこで待っていたのは、ヘイゼルのかつての婚約者だった。そして、翌朝、森に響き渡った銃声とともに、ジェマが見たのは・・・。◆キンケイド警視シリーズ9作目です。でも今回は、恋人でもある、ジェマが中心となる物語。「キンケイド警視シリーズ」というよりも、「キンケイド&ジェマシリーズ」と言うべきかも? 前の作品まで、ずっと、ジェマのお隣さんとして、あるときは精神科医として、あるときは親しい友人として、いつも、ジェマを助けてくれた良妻賢母の鑑のようなヘイゼル。そのヘイゼルの過去が絡んだ殺人事件に、ジェマは、ロンドンから遠く離れたスコットランドで、一人、巻き込まれることになります。不倫など、全く縁のない世界だったはずのヘイゼル。夫を愛し、娘を愛し、自分の家の中をとてもうまく切り盛りしているように見えたはずが・・・。女性の本質、というものは、案外、こういうものなのかも、と思わせてくれるというか、誰しも、家庭では良き妻であっても、心の内に、こういう面を秘めているのかも・・・とふと思ってしまいました。こういう所が、女性作家ならではの物語ゆえで、分かり合える気がするんですよね。
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警視キンケイド・シリーズ第9作。
親友ヘイゼルに誘われてスコットランドへ出かけたジェマ。そこでヘイゼルの意外な過去を知ることになり、さらにその過去が殺人事件を呼び寄せて……。
キンケイドの登場ページがめっきり減り、ジェマの視点で多くが語られるようになったこのシリーズ。今回も彼女の活躍が光っている。いつもながらの美しい風景描写にうっとり。スコットランドに行って美味しいウィスキーを飲みたくなった。 -
キンケイド&ジェマの警視シリーズの9作目。
友人とスコッチウイスキーの聖地へと週末旅行に出かけたジェマは、殺人事件に巻き込まれる。一方、ロンドンで留守を子供達を守っているキンケイドは、キットの養育権を争う訴訟を起こされる。
村上春樹の「もし僕らのことばがウィスキーであったなら」を読んで、スコッチウィスキーの世界にしびれていたので、もうそれだけで興味深く読んだ。いやあ、ワインも日本酒もそうだけど、酒の世界は深いです。でもって、妙にロマンと感傷がある。
そんな世界で、ジェマの友人は昔好きだった人と、あわや不倫?って状態になっているわけだ。
この辺りのバランスが、やっぱ上手いクロンビー。
探偵となる人物が、いつかカップルになって云々というのは、よくあるんだけど(フェイ・ケラーマンや、T・J・マグレガー等など)カップルになる過程は、それだけで緊迫していて、事件の緊張感をさらに高める。が、関係が落ち着くと、気に病むこととかがだんだん下世話になって緊張感なんて微塵もなくなってしまう。ま、いわゆるひとつのマンネリってやつですか。
で、キンケイドとジェマも、関係が安定していてどうするんだと思ってたら、こうきました。
警視シリーズなのに、キンケイドの出番はちょっとです。この大胆さ。評価できます。
そして、ウィスキーを語るバランスのよさ。あんまり薀蓄ばっかり並べられても、読んでるほうは呑めないのでおいおいって思うことが多いのだけど、おお、スコッチウィスキーってこんなに深いものなのか、今度買ってみようと、思わせるところで維持させるバランスがすごいです。
過去が交錯するんだけど、このあたりも技巧的になっていないようで、ものすごく考えられてる構成。
うむ。クロンビーって職人肌ですね。
そして、キットとキンケイドの複雑な関係。ま、ここは本編読んでくださいm(__)m
とにかく、上手いです。でもって、キットは絶対いい子に育つと思うよ。自信もってくれ、キンケイド。
ってことで、このシリーズ未読の方は、即読みましょう。
絶対損しませんよ。 -
親友のヘイゼルに誘われて週末旅行に出かけたジェマ。
旅先でヘイゼルが殺人事件の容疑者にされてしまい…。
警視とついているものの、ここのところジェマの活躍が目立つこのシリーズ。今回もジェマが話の中心になっている。
かと言ってキンケイドが軽んじられているわけではなく、彼は彼で息子キットとの関係に悩みながらしっかりとジェマをサポートしている。
週末離れ離れになったキンケイドと再開したジェマが胸を撫で下ろす様に、本当に彼を頼りにしているのがわかってなんだか微笑ましくなる。
出世に野心的で男に負けまいと頑張っているジェマが可愛く見えるのはこんなときだ。
今回の話では女性として母として妻として完璧だと思われていたヘイゼルが、実は悩みも間違いもある普通の人間だというのが描かれる。それを見ることによりジェマもまた成長していく。
他にも様々な形で人を愛する女性が出てくる。この話はぜひとも女性に読んでもらいたい1作だ。
このシリーズ、絶版になってしまったようだけど続きを出版して欲しいと切に切に願っている。 -
今回の舞台は、スコッチウィスキーで有名なスコットランドのまさにウィスキー蒸留所で心にくい感じ。イギリス好きのツボをついている。(わたしはお酒は飲まないんだけど)。過去と現在の話が交互に語られ、次第にその結びつきがわかってくるという手法はもうこのシリーズではおなじみで、驚くような展開もないんだけど、まったく飽きなくて読んでて楽しい。これがいわゆる「筆力」ってものなのかなーと。殺人事件の被害者とそのまわりの人々、たくさん登場人物がいるんだけれど、それぞれの背景もきっちり書き込まれていて。過去の話の、十九世紀の終わりのウィスキー蒸留所の人々も生き生きと描かれているし、そして主人公のキンケイド警視とジェマの話も新しい問題というか展開があって。読み飽きないのはそのあたりのバランスもいいんだろうな。スコットランドの風景や蒸留所の様子の描写がまた、目に浮かぶようで。いやー、このシリーズはほんとに好き。読むとほっとする。
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デボラ・クロンビーの「警視シリーズ」第9作目。
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ウィスキー!ウィー!
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スペイ川流域名門スコッチウィスキー蒸留所で発生した殺人事件。古典的作風でスコッチの歴史など学べる。
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キンケイドとジェマの<警視>シリーズ、9作目(いつの間に!?)。
今回はキンケイドが主役というより、ジェマが主役。友人のヘイゼルに誘われてスコットランドのB&Bがやっているという週末の料理教室に出かけたところ、それまで知らなかったヘイゼルの過去のこと、代々土地の名家に伝わるウィスキー蒸留所にまつわる秘密、いろんな人たちの愛憎が絡まりあって殺人事件が起こり、ヘイゼルが容疑者になってしまいます。
一方、ロンドンに残ったキンケイドは、一緒に暮らしている前妻の息子キットを巡る複雑な人間関係と、ヘイゼルとジェマの身に降りかかった災難とでこちらも心配が耐えません。
このシリーズ、今まで一冊も外れが無いし、事件だけでなく人間ドラマも濃密なので今後の展開が楽しみです。