叔母殺人事件<偽りの館> (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
3.22
  • (5)
  • (17)
  • (30)
  • (9)
  • (2)
本棚登録 : 184
感想 : 21
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062758291

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 折原氏のいつもの叙述ミステリー。もう後ろに叙述って書いてあります。洋館で叔母殺しを企む男の手記と、その事件をノンフィクションに記録しようとし、事件のあった洋館に住み込む作家の記録が交わり合う。
    いつもの展開なのですが、伏線が周到でとても楽しめるわりに、意外と真相に気づきにくいのは熟練の技でしょうか。
    ただ、実際に起きた事件だけを時系列で考えると、犯人がポンコツというか、結構なバカミスな感じがします。

  • 驚かされる場面もあったが、登場人物が嫌な人ばかりで読んでいて楽しくない

  • 解説にあるほどの「驚愕の真相」ではなかった。仕掛けられた謎の半分くらいは想像通りだったし。この手の作品で読者をおおぅっと驚かせる手法はまだ残っているのだろうか。本作は、スマホ普及前夜のため、監視カメラの大きさに成約がありそうな感じだけど、今や、スマホ普及のおかげでカメラが小型化して、作品内での監視カメラの配置は自由自在になったのだと思う。媒体を回収しなくても無線で動画データ飛ばせそうだし。時代の変化ですね。

  • なるほどね。ややこしい話。ちょっと鬱陶しかった

  • 中盤を過ぎたあたりで結末が見えてしまったことに驚いた。
    折原さんの物語はいつも最後まで楽しませてくれていたからだ。
    登場人物が限られた設定だと、どうしても重なる部分をまったく書かないわけにはいかなくなる。
    年齢もそうだし、話し方もそうだ。
    折原さんの物語の場合、二重、三重の仕掛けがしてあることを前提として読んでいるので、この人物とこの人物は同一だなと気づいてしまったら結末が見えてしまう。
    登場人物はみな欲望を胸に秘めている。
    何人かの人間が犠牲となり、何人かが生き残った。
    結局、強烈な個性と生命力のある清瀬富子の毒気にあてられ、その手のひらの上で転がされていただけのような気がしてきた。
    彼女の退屈をまぎらわすための余興…。
    もしもそうだとしたら、富子という人物そのものが一番ミステリーなのかもしれない。

  • おもしろかった。

  • ふーむ。

    そっちに来たんだ!
    というカイカンと喝采はあるが、ストーリーと組み方は、
    前日に読んだ「沈黙の教室」には遠く及ばないので★3つ評価で。

    さすがにここまで同じ作家の作品を読むと、
    目も厳しくなるものね。

    でも、作品を書くだけでもたいへんなのに、
    職業作家やゴーストライターと言った、ほとんど外に出て行かない主人公に
    ここまでいろいろな話を乗っけるのはやっぱりさすが。

    講談社文庫の在庫(あくまで自分の書庫の)がつきて来たので、
    そろそろ文春文庫に手を出すか。

  •  実際、妙に好きらしい、折原一。
     どこかどうで、どのくらい好きなのかと問われると、うーーーーん、と考え込んでしまうんだが、新刊出てると「お、買わなきゃ」と思うし、なんか読む本がないなぁと思ってるときには、つい手に取ってしまう。
     多分、なんちゃらの館っていうのが、結構あって、建築フェチ心を満足させてくれるからだと、想像はしてるんだけどね。

     で、リチャード・ハルの「伯母殺人事件」の多分、リスペクトである本作。期待は裏切りません。

     大金持ちの叔母を殺した犯人の独白の文と、その館に移り住んだ自称ノンフィクションライターの視点での話が交錯していく。
     この叔母が、とんでもない人で、殺したくなった甥っ子の気持ちもわからないでもない。ないが、やっぱりこの甥っ子も随分歪んでるわけで…。
     でもって、甥っ子の歪みに目がいってると、ノンフィクションライターのなんだかなっぷりがあぶり出しのように浮かんできてくるわけだ。
     上手いぞ、折原一。

     リスペクトであろう部分は、完璧って感じでした。
     できたら、ハルを読んでから読んだほうが、3倍は楽しめる。

     しかし、出てくる人間がどれもこれもろくでもなくて、だんだん悲しくなったよ。
     なんかへこんでるのって人は、へこみがなくなってから読んだほうがいいかもよ。

  • 叔母を殺害した男の手記を探すために事件のあった屋敷に住み込む男。
    家政婦として雇った女。犯人の母親。精神鑑定の為精神病院に入院する犯人。そして病院から抜け出したという作家の母親の正体。

    市川図書館
     2010年3月10日読了

  • 本当にあった殺人事件を元に小説を書こうとする男と
    殺人を犯すまでの男の日常が交互に出てきます。
    よくあるパターン? と思っていたのですが
    最後の最後には「は? え? へ??」になってました。

    小説を書くのを目的にするなら、別にノンフィクションにこだわらなくても…と
    主人公の事を不思議に思ったのが最初です。
    材料はあるんだし、それを組み立ててフィクションにすれば
    終わる話なのにな~と。
    そんな可愛い状態で終わっていたら、この小説できてませんねw

    あまりの事に、頭が混乱してきましたが
    まさか…と気づく部分もあり。
    騙された、という気分いっぱいいっぱいでした。
    が、構図がややこしすぎるかとw

全21件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。編集者を経て1988年に『五つの棺』でデビュー。1995年『沈黙の教室』で日本推理作家協会賞(長編部門)を受賞。叙述トリックを駆使した本格ミステリーには定評がある。『倒錯のロンド』『倒錯の死角』『倒錯の帰結』など「倒錯」シリーズのほか『叔母殺人事件』『叔父殺人事件』『模倣密室』『被告A』『黙の部屋』『冤罪者』『侵入者 自称小説家』『赤い森』『タイムカプセル』『クラスルーム』『グランドマンション』など著書多数。

「2021年 『倒錯のロンド 完成版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

折原一の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×