鏡の影 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 32
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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062764728

作品紹介・あらすじ

世界は何によって、どんな風にできているのか?百姓の小倅であるヨハネスは、ふいに彼を襲った疑問に憑かれて旅に出る。折しも異端審問やペスト、農民一揆に揺れる十六世紀初頭。ヨハネスは、美少年シュピーゲルグランツを伴って、迷い多き道を辿るのだった-。圧倒的筆力で話題を攫った傑作長編小説。

感想・レビュー・書評

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  • 面白い!結構置いてけぼりだけど面白い。
    なんだろうね、この説明不足なのに面白い感じ。

  • シュピーゲルグランツが最高。

  • 「世界を変えるには、ある一点を変えるだけでいい」
    そのような考えにとりつかれた主人公ヨハネスは
    科学とも魔術ともつかない神秘主義の世界をさまよい始める
    要するに自分が世界の神になりたいのである
    神の存在なんか信じてもないくせに
    ヨハネスは、悪魔のような美少年につきまとわれながら
    似たような願望を持つ人々に出会ってゆく
    粗暴な騎士フィヒテンガウアーは
    祖母から受け継いだ領地のケガレを取り除くべく
    「妖術師」ヨハネスを追跡する
    偽名を使って医者をやっているグァネリウスは
    自らが異端者であるにもかかわらず
    神がかりとなった恋人を自らの手で処刑するハメになった
    説教師マールテンは、若かりしころ神にそむいた過ちを悔いつつ
    死にきれず年老いて
    ボーレンメントの住人にも同じ罪を背負わせようとする
    ……
    善なる神の創りし世界に、なぜ悪は存在するか?
    それは、善と悪が相対的なものであり
    ワンセットでしか存在しえないものであるからだろう
    そして神の作った人間は、まさに善も悪も超越しうる存在に違いない
    しかし、そのことに自覚的であろうとするならば
    彼はもはや自他の区別がつかない人だ
    鏡に影の無い世界
    それはつまり、エゴと博愛と世界が溶け合ったグレーゾーンである

    カバラに伝えられるところによると
    世界というものは
    22文字のヘブライ語アルファベットによって
    成り立ってるんだとか
    よくわからないけど、それでプログラミングされてるらしい
    だから、そいつをこねくり回して
    ある完璧な図形を手に入れれば神になれるわけだ
    という
    ばかげた思い込みに突き動かされて
    図形を完成させたとしても
    それでどう世界にコミットするつもりなのか
    出版するにしても、異端審問されて火あぶりがオチだ
    なんにもなりゃしない
    無駄に歳を重ねて、気がつけば残ってるのは追憶の中の栄光のみ
    そのことに気づいたヨハネスが
    みずから箱のなかに引きこもったとき
    まったく思いがけないところで奇跡が起こるのだった

  • ここまでテーマが神学的とは思わなかった。テーマも文体もクラシカルなのに痛快でカジュアルで読みやすい。

  • 「天使」や「バルタザールの遍歴」に比べると大分読みやすいけど、
    佐藤亜紀言葉選びのセンスは健在で流石。
    神学者くずれのヨハネスと一緒に中世ヨーロッパを旅して豊饒な言葉の世界に耽溺しました。
    キリスト教を題材に取った物語だけど、文字通り悪魔的な美少年シュピーゲルグランツがそこにいるだけでファンタジーの味付けをしてて、その匙加減が絶妙。

  • ケレンの帝王が書くケレン味たっぷりの神学論争。
    はっきり言って、神学的な話の意味はさっぱりわかりません。
    でもフィヒテンガウアーさんがとってもラブリーでした。
    意味はよくわからなかったけど、面白かったのでいいや。
    とりあえず、宗教ってめんどくさいけど魅力的だよね、という結論です。

  • だらだら読み進めてたけど、全ての役者が揃った後半からは一気に読んでしまった。シュピーゲルグランツのチートっぷり最高。

  • 2009-00-00

  • うーん・・・ちょっとわからなかった・・・。

  • うん。私には難解。キリスト教の教義や背景の知識があればまだ理解できたかな。所々、可笑しみは感じたけれど。鏡の影というタイトルの意味も、姫の処女受胎の意味も分からなかった。誰か教えて~。

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著者プロフィール

1962年、新潟に生まれる。1991年『バルタザールの遍歴』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞。2002年『天使』で芸術選奨新人賞を、2007年刊行『ミノタウロス』は吉川英治文学新人賞を受賞した。著書に『鏡の影』『モンティニーの狼男爵』『雲雀』『激しく、速やかな死』『醜聞の作法』『金の仔牛』『吸血鬼』などがある。

「2022年 『吸血鬼』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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