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- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062765442
感想・レビュー・書評
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ただの怪談ではない。
また、江戸時代の怪奇譚を紹介しているだけでもない。
怪奇譚を現代的に分析している点が斬新。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
江戸時代に起こった怪事件や怪異譚(風聞含む)を、当時の資料や著書を通して解釈し、同時に著者の現代的な視点から解き明かそうとしたもの。「神隠し」「天狗の人攫い」を児童虐待や僧侶による少年愛、「河童」をストリートチルドレンとして解釈する見方は興味深い。だが怪異を須らく合理的解釈に結び付けたり、当時の人間の迷信として否定していないところには好感が持てる。
「本書で紹介された幾つかの残酷シーンに無邪気で陰湿な興味を抱く読者がいるかもしれない点だが、そんな『子供』や『未熟な大人』にこの本はお勧めできない。これは他人が何と言おうと学術書(の一種9であり、彼らの渇を癒すにはいささか内容が複雑すぎるからだ」
とのあとがきでの著者の言葉に、この本の性格と著者の態度(矜持)がよく表れているように思う。であればこそ、帯の煽りがいささかセンセーショナルというか、文字通り“煽り”となってしまっているようにも思えるのだが。