紙魚家崩壊 九つの謎 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062765954

作品紹介・あらすじ

日常のふとした裂け目に入りこみ心が壊れていく女性、
秘められた想いのたどり着く場所、
ミステリの中に生きる人間たちの覚悟、
生活の中に潜むささやかな謎を解きほぐす軽やかな推理、
オトギ国を震撼させた「カチカチ山」の“おばあさん殺害事件”の真相とは?
優美なたくらみに満ちた九つの謎を描く傑作ミステリ短編集。

感想・レビュー・書評

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  • 北村薫氏の、初期の頃の短編集。
    ごく短いものも、割と長めのものもあり、味わいもさまざま。
    スッパリ謎が解けないような(私だけ?)ものもあり、真実は幾重にも折り畳まれた文章の中に隠れているのかも。

    『溶けていく』
    サイコホラー?
    実際に溶けているのはアイスクリームだが、最後は画面もヒロインも何もかもドロドロに溶けて流れ落ちているような感じがする。

    『紙魚家崩壊』と『死と密室』は、同じ探偵と助手の女性が扱った事件簿。
    当事者たちの心理を負えば追うほど、一筋縄ではいかなくなる。

    『白い朝』
    一番好きな話。
    娘夫婦に子供が産まれることになって、懐かしい時代を回想する。

    『サイコロ、コロコロ』と『おにぎり、ぎりぎり』は、園芸関係の出版社に就職した千春(ちはる)さんの身の回りのこと。
    先生たちの、ちょっとかわいい謎と、残念だけどほほえましい謎解き失敗。

    『蝶』
    これは、何を描こうとしたのか私の鈍い感性では分からなかった。

    『俺の席』
    ホラーでもなんでもなく、日常の違和感を描いてゾッとする話。
    オチが・・・よくオチてる。

    『新釈おとぎばなし』
    パロディは、元ネタがよく知られたものでなくては多くの人が楽しめない。
    その点、おとぎ話は適任である。
    「カチカチ山」を、「おばあさん殺害事件」として、ウサギ探偵が捜査する傑作!

  • 2010-00-00

  • ミステリ短編集。ということで、油断して読み始めたら1篇目の「溶けていく」が想定外にホラーちっくだったのでどぎまぎ。
    好きなのは、まず「サイコロ、コロコロ」「おにぎり、ぎりぎり」。推理したがりの先生がいいキャラしていて好き。
    「白い朝」これも好き。ほのぼの老夫婦。
    「新釈おとぎばなし」カチカチ山をミステリ仕立てで描いた作品。
    ホラーっぽいものからメタミステリ、コミカルな作品までわりとバラエティ豊かな短編がそろっている感でなかなかお得な気持ち。

  • 20180427

  • 9編のうち唯一、新釈おとぎ話「カチカチ山」だけは楽しめましたが・・

  • 2017/08/03

  • 北村氏の作品といえば、美しく落ち着いた表現と男性作家とは思えない女心の機微を捉えた内容だという印象がありましたが、本書は少し毛色が異なった短編集。
    ホラー的なもの、ブラックなものなどは好みでなかったし、両の手が恋し合う女性探偵の話はもう少し広がりが欲しかった。最後の中編「新釈おとぎばなし」は本格ミステリの立場から分析しているものの、やはり少し意地悪さが感じられて北村氏らしくないと思った。

  • 短編集。
    だめだった、新釈おとぎばなしで手が止まってそれ以上読めなかった。

  • 2016/11/27(日曜日)

  • 表題作をはじめとする、9つの短編集。繋がっている作品もありますが、9編通しての関連性はありません。連作ではなく、カラーも文量もまちまち。好みは人それぞれかと思います。

    なんと言っても「溶けていく」が怖い。静かな、しかしハッキリとした狂気に身がすくみました。一方で、「カチカチ山」パロディは、いかにも推理雑誌への寄稿文らしい洒落が効いており随所でクスクスと笑わされます。

    ただ、本の性格上、1冊通しての印象が薄いのは事実。やっぱり北村さんは長編向きなのかなあ、という想いで解説を読んでいたら、思わぬサプライズがありました。ううむ、こういう微笑ましい仕込みを織り込んでくる辺り、やはりさすがと言わざるを得ません。

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著者プロフィール

1949年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。大学時代はミステリ・クラブに所属。母校埼玉県立春日部高校で国語を教えるかたわら、89年、「覆面作家」として『空飛ぶ馬』でデビュー。91年『夜の蝉』で日本推理作家協会賞を受賞。著作に『ニッポン硬貨の謎』(本格ミステリ大賞評論・研究部門受賞)『鷺と雪』(直木三十五賞受賞)などがある。読書家として知られ、評論やエッセイ、アンソロジーなど幅広い分野で活躍を続けている。2016年日本ミステリー文学大賞受賞。

「2021年 『盤上の敵 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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