髻塚不首尾一件始末 半次捕物控 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062766999

作品紹介・あらすじ

大名家同士の意地の張り合いに、増山家に雇われた蟋蟀小三郎。一方の奥平家についた風鈴狂四郎とは古い因縁で互いの手強さを熟知する仲。ちよや半次も巻き込みあの手この手で裏を掻いて対決を避けようとする。収まらない奥平の若殿が謀議をめぐらせて仕組んだ御前仕合で、とうとう真剣勝負に臨むことに。(講談社文庫)

感想・レビュー・書評

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  • 目次
    ・ちよ殿の知恵
    ・助五郎の大手柄
    ・強請(ゆす)りの報酬
    ・銘水江戸乃水出入一件
    ・鬼の目にも涙
    ・髻塚不首尾一件始末
    ・小三郎岡惚れのとばっちり
    ・命あっての物種

    剣の腕はめっぽう立つのに、自分勝手でお金と酒に汚いコマッタちゃんこと蟋蟀小三郎とまったくそっくりなキャラクター風鈴狂四郎が登場。
    あらら、小三郎が二人?ってな感じで、半次も次から次へと面倒くさい話に巻き込まれる。

    各方面に迷惑をかけ倒して、ようやく妻と離縁、藩から暇をもらってちよと所帯を持ったと思ったら、若い娘に岡惚れしてしまう小三郎。
    挙句の果てに、娘に持ちこまれた縁談の相手が胡散臭いから調べるように半次に頼みこむ。

    何の問題もない、実にまっとうな好青年だったのだけど、過去につかえていた殿さまが自分の不祥事の口封じのために彼を亡き者にする。
    小三郎に悪気はないことはわかるけど、自分の気持ちに正直すぎて、他人の事情に無頓着すぎる彼に、少々うんざりしてきたぞ。

  • 蟋蟀さんが、ちよさんと結婚して道場を開く。
    はちゃめちゃだった言動がまともにやってきて、半次じゃないけど、それがちょっと寂しくもある。

  • 蟋蟀さんがとよさんと一緒になって大人しくなったかと思えば、相変わらず^_^

  • 第1話 ちよ殿の知恵
    第2話 助五郎の大手柄
    第3話 強請りの報酬
    第4話 銘水江戸乃水出入一件
    第5話 鬼の目にも涙
    第6話 髻塚不首尾一件始末
    第7話 小三郎岡惚れのとばっちり
    第8話 命あっての物種

    解説より
    第1話 築地の旗本・内田威一郎の敷地の半分を借りて住んだいる、中津奥平家のお抱え医師、桑原橘仙をどうやって追い出すか
    第2話人別長をめぐる物語で、二人の彦兵衛なる男が登場。人物を売って他人に成り代わって生きていく
    第3話 母子の面会をタネに薩摩藩下屋敷を強請り続けた仙蔵の末路
    第4話 土地転がしの実際
    第5話 目安箱に訴える
    第6話 町火消の収入源のひとつであるどぶ浚いをめぐって植木職人との揉め事
    第8話 将軍家御前仕合をめぐって一組の剣客の遺恨仕合が勃発

    解説にない第7話が一番記憶に残った。小三郎が岡惚れしている"きく"にお見合いの話が持ち上がり、相手の新助の素性を調べたために、旗本の隠居が岡っ引きに探られている新助を過去の悪事を暴かれないようにと殺害してしまう。普通の時代小説なら、すんでの所で新助は助かり旗本ご隠居が御用!となるが、佐藤雅美の場合は、あっさり殺されて、とばっちり...という話になってしまう。

    岡っ引きが活躍せずに、むしろ余計なことをして"きく"を不幸にしてしまうという流れが、主人公を強引に英雄にしなくて面白い。

  • 大名家同士の意地の張り合いに、増山家に雇われた蟋蟀小三郎。一方の奥平家についた風鈴狂四郎とは古い因縁で互いの手強さを熟知する仲。ちよや半次も巻き込みあの手この手で裏を掻いて対決を避けようとする。収まらない奥平の若殿が謀議をめぐらせて仕組んだ御前仕合で、とうとう真剣勝負に臨むことに。

  •  髻塚ねえ、髻などという字は読めないよ。
     安心して読める佐藤雅美のシリーズもののひとつ半次捕物控の文庫新刊。だけどこうなってくるとマンネリ化は避けられないか。たしかに蟋蟀小三郎のキャラクターは上出来だったけど、それでつないでいても限度があるので、今回は新たに風鈴狂四郎なる強敵が登場。だけど所詮は二番煎じというかキャラが重なるというか、今ひとつな気が。
     それと、話のひとつひとつは面白いし他の著者に比べれば水準を抜いているとは思うけど、今回特に感じるのは結末の性急さだ。収まりがつかなくなってどうなるのかというところで無理やり幕を引いてしまう強引さが目立つ。なので幕切れがあっけない。短篇だからといえばそれまでだけど、短篇だからこそなるほどと思わせる落とし所が重要なのでは。

  • 半次捕物控シリーズ
    主人公は岡引の親分です
    時代モノではよくあるパターンですね
    やっぱり半次も 性格も男前で私は好きだなぁー (^o^)

    佐藤雅美さんの作品には いくつかシリーズがありますが
    このシリーズも結構続いてるようです
    確か私はこのシリーズを最初に読んだような気がします^^

  • 半次捕物控の6作目。前作まで蟋蟀小三郎に手を焼いていた半次だったのに、さらに風鈴狂四郎まで現れて、なんだか大変そう。江戸時代のお話なのに、勤め人の悲哀が感じられて身につまされます。時代が移り変わっても、人間の本性みたいなものはあまり変わらないのかもしれませんね。だからこそ、時代小説に感情移入できるのでしょうし。

  • このシリーズは蟋蟀小三郎が乗っ取ってしまったようなものだ。著者も楽しんでいるか、あるいは困っているか、どちらかだろうな。
    読了。この著者のシリーズは時代の知識の面白さとどうなるのかと盛り上げておいてストンと落とす人を食った様なストーリー展開が絶妙。
    小三郎が相変わらず魅力的。

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著者プロフィール

佐藤 雅美(さとう・まさよし)
1941年兵庫県生まれ。早稲田大学法学部卒。デビュー作『大君の通貨』で第四回新田次郎文学賞を受賞。1994年『恵比寿屋喜兵衛手控え』で第110回直木賞を受賞する。著作に『御奉行の頭の火照り 物書同心居眠り紋蔵』『頼みある仲の酒宴かな 縮尻鏡三郎』『関所破り定次郎目籠のお練り 八州廻り桑山十兵衛』『知の巨人 荻生徂徠伝』などがある。2019年7月逝去。

「2021年 『恵比寿屋喜兵衛手控え 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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