- Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062767989
作品紹介・あらすじ
250万人が愛した、日本の小人(コロボックル)の物語、復刊!
久しぶりで本書を読んで感じたのは、これはなんと、純度の高いラヴストーリーそのものではないか、という驚きだった。――梨木香歩(解説より)
初版が出て51年、いつのまにか本は半世紀を越えて生き、作者の私は80歳を過ぎてしまった。いくつになろうと、私が作者であるのはまちがいないのだが、このごろはなんとなく自分も、読者の1人になっているような気がする。そして読者としての私も、この再文庫化を大いに喜んでいる。――佐藤さとる
これが、僕がコロボックルを描く最後になるかもしれない。――村上勉
びっくりするほど綺麗なつばきが咲き、美しい泉が湧き出る「ぼくの小山」。ここは、コロボックルと呼ばれる小人の伝説がある山だった。ある日小川を流れる靴の中で、小指ほどしかない小さな人たちがぼくに向かって手を振った。うわあ、この山を守らなきゃ! 日本初・本格的ファンタジーの傑作。
感想・レビュー・書評
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小学生の時、初めて自分のこずかいで買った思い入れのある本。
上橋菜穂子さんや荻野規子さんといった名だたるファンタジー作家の方々もこの本を読んで育ったとエッセイに書いておられているほどで、後世にとても影響を与えた本だと思う。
初版は1958年で、当初はなんと自費出版だったらしい。
講談社から文庫本で出版されていると知り、改めて読んでみた。
細かいストーリーはほとんど覚えていなかったのだけれど、自分が思い込んでいた内容とかなり違うところが多くてびっくりした。
第一に、私はこの物語を、小学生くらいの男の子が自分だけの秘密の場所で小人のコロボックルと出会い、交流するという話だと思っていた。
これはあながち間違いではないのだけれど、物語の大半は、小学生の時にコロボックルに出会った少年が大人になってからの話だったのだ。
第二に、物語の中に戦争の影響が色濃く残っていることである。
小学生の途中で引っ越した主人公は、そのままいったんコロボックルの山から離れていく。しかし、戦争で父や学校を失った彼は、終戦後、ふと子どもの頃の宝物のような日々を思い出し、久しぶりに山を訪れるのである。
著者の佐藤さとるさんは1928年生まれ。自身の体験が反映されているところも多いのだろう。
働き始めた主人公は、山を買い取ることを目指してまずは山を借り受け、小さな小屋を建てる。その様子をずっと見守っていたコロボックルたちは主人公を信頼に値する人だと判断し、交流が始まるのである。
しかし、コロボックルの山の真ん中に道路を建設するという計画が持ち上がる。このままでは大切な山がなくなってしまう、と危機感を覚えた主人公とコロボックルたちはとある方法を思いつき、見事山を守ることに成功する。
本書は児童文学にカテゴライズされているが、子供のころの夢を忘れがちな大人こそ読むべき物語である。私も久しぶりに読み直し、好奇心を持って動き回っていた当時のわくわく感を思い出すことができた。
これまで読んだことのない人もぜひ手に取ってほしい。自分の心の中にしまい込んだ大切な宝物を再発見するきっかけになるはずだ。詳細をみるコメント1件をすべて表示-
たなか・まさん子供の頃コロボックルが家にいたらどうしようと異様に心配でした。子供の頃コロボックルが家にいたらどうしようと異様に心配でした。2023/03/11
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図書館で見つけて懐かしくて思わず借りて読む。
昔も好きだったけど今も変わらず新鮮に感じる。
子供の頃は、自分の近くにもコロボックルいるかも~とよくキョロキョロしてた。
自分だけの秘密の場所と小さな友達。宝物のようなファンタジーの世界だけどコロボックルの世界も人間の世界もリアルで面白い。 -
隣同士の国でも仲良く出来ないし、絶滅の危機にある動物だっているし、コロボックルたちが人間世界と共存できるというのは夢物語なんだろうな。でもひっそりと友好を結び仲良くやっていこうとする主人公の輪が広がっていくと良いな。今回、小山に自動車道路の建設の件は回避できたけど、また別の場所には建設されるわけで…。その場所に別のコロボックル達が居ませんようにと祈らずにいられません。
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解説が梨木香歩。
たぶん八月ごろ一日で一気に読了(ばたばたしてて覚えてない)。
色々考えること、惹かれるところ、今の時代だったらこうは書けないのではないかなと思うところなどあったが、集中して小説の世界に入っていけた。
2013,2,22購入。 -
ほんとに身近にいるのかも、いたらいいな、と読むたびに思う。彼たちが見える、信じられるおとなでありたいな、と。
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「懐かしさのあまり衝動買い」
判る!
しかも、何れ有川浩が続編書くと言う話なので、今「コロボックル物語」は買いです!!
佐藤さとるオフィシャ...「懐かしさのあまり衝動買い」
判る!
しかも、何れ有川浩が続編書くと言う話なので、今「コロボックル物語」は買いです!!
佐藤さとるオフィシャルウェブサイトでは、私家版も販売しているとか、、、欲しい~
http://www.k-akatsuki.jp/
2013/05/07
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「びっくりするほど綺麗なつばきが咲き、美しい泉が湧き出る「ぼくの小山」。ここは、コロボックルと呼ばれる小人の伝説がある山だった。ある日小川を流れる靴の中で、小指ほどしかない小さな人たちがぼくに向かって手を振った。うわあ、この山を守らなきゃ! 日本初・本格的ファンタジーの傑作。」
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有村浩からの繋がりで読んでみました。表紙や挿絵のイラストが有村浩と一緒で「よく本家のイラストレーター」を使えたものだと感心してしまった。←まずそこから(笑)
それで内容の方なんですが、これは児童文学じゃないです。オトナが読む本です。文字がページの中にギッシル詰まっているだけで読み切れるか不安になりましたが、せいたかさんの小屋が秘密基地みたいでなんだかワクワクして読みました。このまま次の『ちいさな犬』へ進んでいこうと思います。