訣別の森 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 22
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062770453

感想・レビュー・書評

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  • 第54回江戸川乱歩賞受賞作品。

    面白かった!
    冒頭からスピード感があって、ぐいっとその世界に引き込まれる。

    <作品紹介>
    戦闘ヘリを無尽に駆った陸自の元エース・槇村は、ドクターヘリ機長として北海道の空を飛び回る日々を送っている。槇村は墜落した取材ヘリを救出、怪我人は自衛隊時代の部下・一恵だった。陸自を罷免された過去が槇村に鮮明に甦る。そして一恵は入院先から姿を消した。圧倒的スケールで謳いあげる男たちの叙事詩。 (Amazon)


    主人公の槇村は、朴訥で真面目な普通の男なのだが、自分の周りで起きてしまった事件に巻き込まれてしまう。
    物語全体に緩急があって飽きさせない。また、槇原側とそうでない側では書体を変えていて、世界観を少し変えているところも面白い。

    北海道の壮大な自然と自衛隊、厳しい男の汗みたいなものがひしひしと伝わってくる。The男の世界。って感じで男性向けの小説かな思う。私はすごく好きなタイプのお話しだった。

    ページ数まぁまぁあったけど、あっという間に読了。
    他の作品もまたぜひ読んでみたいと思う。


    ・・・ここから思いっきりネタバレ↓・・・











    すっごく良かったんだけど、☆4なのは恋愛部分。
    これなくてもいいのになって思うんだけど、これが芯の部分に絡んでるから抜くわけにもいかないんだけど。

    自分が命かけるくらいの秘密。その秘密を守るために別の男の監視したりするほどの女が、恋のライバルに自らその秘密をばらすことはあり得ないって思うんだよね。だってその秘密を守るために行動していることと矛盾しちゃうしね。女心としてそれはないなって思っちゃう。
    例えば一恵が嫌な女の設定ならありだけどね。いい子じゃない?だったらないよ。

    どうしてもその部分がひっかかってしまって、☆ひとつ減らしてしまった。

    ここに出てくる女性ふたりは、男性から見た理想なのかな?って思う。(笑)


    それと、終盤あの状況で、犬たちが吠えているのに見にも行かないのはちょっと不自然だよなぁ・・・。

  • 本書を一言で説明するのは難しい。が、やはり北海道自然愛、とりわけ知床の自然愛と自衛隊愛だろうか。
    ヘリ部隊の隊長であった??はある事件がきっかけで自衛隊を除隊するが、その後も自衛隊ヘリ部隊の繋がりで、民間ヘリサービス会社でパイロットとして再就職。業務の一環で携わったドクターヘリ業務において知り合った医師の??と懇意になるが、過去の事件から今一つ踏み込めない。そんななかドクターヘリの業務終了後に事件に巻き込まれていき、それが過去自衛隊時代の人間関係を明らかにしていく。巻き込まれた事件は知床を原始知床に戻す壮大な計画であったが、ロシアマフィアとのかかわりから殺人を含む事件に拡大していくのだ。
    恋愛関係は小説ならではの、常軌を逸した世界が広がるが、まあ、ストーリーを繋ぐネタとしてはあってもよい。オオカミを自然保護のネタに使う発想は、本書のポイントの一つかもしれない。スケールが大きいし、展開が早いのでどんどん引き込まれるが、読後感としては印象が薄いかもしれない。

  • 第54回江戸川乱歩賞受賞作

    主人公槇村は元陸上自衛官。ヘリコプターのエースパイロットだった。今は退役してドクターヘリの操縦士として働いている。
    ある時勤務中墜落したヘリコプターの救助を行うが、救助したのは元陸自の部下、一恵であった。
    一恵とはある事件を切っ掛けにお互い職を追われる事となった。
    過去を詫びようと病院へ赴くと、一恵は忽然と姿を消していたのであった。
    彼女は何を隠しているのか?何を知ったのか?


    評価はなかなか厳しい意見が多いようでしたが、僕はかなり楽しめた作品でした。
    盛り沢山のアイディアをいろいろ盛り込んでいるが確かに未消化、エピソードとして弱い状態の物を羅列した感は拭えません。
    ただ一つ一つ魅力は有るので十分鑑賞に堪えるものと思います。

    《惹かれるおしながき》

    自衛隊
    美人自衛官
    美人医師
    ヘリコプター
    モトクロスバイク
    北海道犬
    子犬
    オオカミ
    知床の森

    自衛官、過激なナチュラリスト、マフィア、そして元自衛官が絡み合いながら知床の森で対決する。

    ワンちゃんが予想以上に重要な役目をしています。

  • 訣別の森/末浦広海:第54回大賞受賞。2008年。
    北海道は知床あたりを舞台に、ドクターヘリ、ナース、自衛隊、ロシアマフィア、ヤクザ、自然保護団体、オオカミを絡ませる壮大なストーリー。
    ロシアから密輸入されたオオカミの子は、人間に育てられ、知床の自然に調和していくのであった。犬死ではない。

  • 末浦広海『訣別の森』講談社文庫。

    第54回江戸川乱歩賞受賞作。北海道を舞台にした冒険小説ミステリー。こういうタイプの作品が江戸川乱歩賞を受賞するのは珍しいのではないだろうか。

    元陸上自衛隊のエースパイロットだった槇村は自衛隊を辞め、ドクターヘリの機長を務めていた。ある日、バイク事故の怪我人搬送に臨場した槇村はオーバートリアージだっため、ヘリで引き返す結果に。しかし、帰路で山腹に墜落した取材ヘリを発見し、怪我人の救助に当たる。

    次第に槇村の陸上自衛隊時代の過去と、北海道で暗躍する良からぬ輩とが交錯し、予想外の展開を見せる。

    後半は、柴田哲孝の『WOLF』に似ている。

  • 戦闘ヘリを無尽に駆った陸自の元エース・槇村は、ドクターヘリ機長として北海道の空を飛び回る日々を送っている。槇村は墜落した取材ヘリを救出、怪我人は自衛隊時代の部下・一恵だった。陸自を罷免された過去が槇村に鮮明に甦る。そして一恵は入院先から姿を消した。圧倒的スケールで謳いあげる男たちの叙事詩

  • のっけからぐぐぐ~っと引き込まれた。
    ヘリコプター、緊急着陸、美人元自衛官、ロシアンマフィア、etc.etc.

    途中から収束まではすすす~っと終わってしまった。

    エピローグはよかったな。
    ここを最初に思いついたんじゃないかってくらい。

  • 北海道 ヘリの救助に向かった救助隊員

  • 犯人グループの動機の面で弱さ?納得出来なさはあるものの、最近読んだ乱歩賞受賞作の中では上位の出来でした。
    それにしても、乱歩賞受賞対策マニュアルに則った作りで受賞しているのを読んでいると、選考委員とかその前の選考に関わっている人とか一度総とっかえしたほうがいいんじゃないかと思う今日この頃。

  • 個人的にミステリはこのミスより江戸川乱歩賞の方が好みのものが多いんだけど、今回はミステリ要素少なかったな~。
    自衛隊絡みということで福井晴敏のTwelve Y.O.みたいなものを期待してたんだけどどっちかっていうとレイチェル・カーソンですな。

    読み応えはあったんだけど、これミステリどころかサスペンスでもなかろう…
    ドクターヘリがマスコミの墜落ヘリを見つけたというあたりですごいわくわくしてたんだけどなぁ。

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著者プロフィール

末浦広海

1964年兵庫県生まれ。88年関西学院大学経済学部卒。2008年に『訣別の森』で第54回江戸川乱歩賞受賞。著書に『捜査官』『白き失踪者』『檻の中の鼓動』『刻命』『暗躍捜査 警務部特命工作班』、「キャップ・嶋野康平シリーズ」「警視庁東京五輪対策室シリーズ」などがある。

「2021年 『君と、君がいる彼方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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