おまえさん(上) (講談社文庫)

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著者 : 宮部みゆき
  • 講談社 (2011年9月22日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (616ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062770729

作品紹介

痒み止めの新薬「王疹膏」を売り出していた瓶屋の主人、新兵衛が斬り殺された。本所深川の同心・平四郎は、将来を嘱望される同心の信之輔と調べに乗り出す。検分にやってきた八丁堀の変わり者"ご隠居"源右衛門はその斬り口が少し前に見つかった身元不明の亡骸と同じだと断言する。両者に通じる因縁とは。『ぼんくら』『日暮らし』に続くシリーズ第3作。

おまえさん(上) (講談社文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 「ぼんくら」「日暮らし」の豪華特別版とか総集編とかそんな感じで、「ぼんくら」「日暮らし」に出てきた人たちが大勢出演するとかそんな感じで、楽しい。長いけど楽しい。このシリーズ、江戸の風俗、習慣、政治、経済、社会、地理、人々の暮らしなどなどあらゆることが自然とわかるのもおもしろい。

  • 「ぼんくら」では12歳だった弓之助がもう14歳に。出会った当時はあちらこちらを測量しまくり、風車で喜ぶ子供だったのにいつのまにかぐっと大人っぽく成長していくのに、平四郎と同じく少しさみしいような気持ちになった。
    今作「おまえさん」でも、人間の心の闇や欲の描写がひかる。宝くじが当たったことで人から尊敬される味を覚えてしまった仙太郎の身の崩し方、母の支配から解放され、堕ちた女を美しく変える過程だけに魅力を感じ何年かしたらすぐに妻を変える千蔵。このふたりが特に印象的だった。
    大黒屋の謎が下巻でどのように解き明かされるか楽しみ。

  • 「ぼんくら」、「日暮らし」とシリーズを読んできたが、この「おまえさん」は少しだけ空気感が違う。
    ミステリー色は薄くなり、人と人の感情のもつれや醜さ、身勝手さ、薄情さなどが描かれていく。
    どんなに良い人に見えても、その人が持つ本当の顔はなかなか見ることができない。
    もしかしたらその人自身にだって、本当の顔なんてわかっていないのかもしれない。
    それでも、どこか後味の悪い事件の結末は悲しかった。
    このシリーズは、事件がどんなに悲惨でも、どこかにあたたかな余韻が残るところが好きだったので。
    弓之助のかかえていた事情なども明らかになり、前作から読み続けている者としては「なるほど」と思う箇所もあった。
    新しい登場人物も増え、今後はもっと新しい展開が待ち受けているのかもしれない。
    でも、前二作に比べてどことなく浅い仕上がりのように感じたのは何故なんだろう。
    弓之助が妙に出来すぎたキャラクターになってしまっているのも気になる。
    優等生すぎるというか、出来が良すぎるというか、もっと抜けた部分があってもいいような。
    愛らしさのある弓之助でいてほしいと思う。
    誰を犠牲にしても幸せになりたい。
    ひどいことをしていると人に謗られても、自分を正当化し突き進む。
    でも、きっとその先に待ち受けているのは幸せなんかじゃないだろう。
    誰かが笑えば誰かが泣く。
    それが世の常なのかもしれないけれど、意図的に誰かを犠牲にすれば必ずその報いは自分に返ってくる。
    「好きだ」という感情さえあれば、何をしても許されるわけではない。
    歪んだ想いの結末に、切なさと哀しさを感じた。
    次はどんな展開が待っているのか。
    平四郎と弓之助の活躍が楽しみだ。

  • 再読。
    人物造型が半端ない。よくぞここまでチャーミングに市井の人を描ききれるモンだと思う。
    井筒平四郎がお気に入りです。そらもう、大好き。

  • ・10/24 読了.こういう時代物は読み慣れるまでの時間が結構かかる.ただ、登場人物や出来事が一通り出揃うと、あとは一気に読み進んで行ける.りえさんからこの本も結構経ってからようやく読了.下は勢いで読みきってしまうかも.もはや謎解きではなく事件の解決に終始しそうな感じだが.

  • 「ぼんくら」「日暮らし」に続くシリーズ。
    単行本と文庫が同時刊行。

    本所深川方定町廻り同心の井筒平四郎は、四男で期待されていなかったが、たまたま跡を継ぐことになった男。
    ひょろりとした長身で馬面、根は善良だが出来るだけ怠けていたい方で、自らぼんくらと認めていた。

    幸兵衛長屋に住む煮売り屋のお徳は、たくましいしっかり者。今日は店で働く娘たちを引き連れて、南辻橋へ行進。
    橋で死んだ男の人像が残っているというので、勇敢にもお浄めに赴いたのだ。斬られた死体だったのだが、痩せたみすぼらしい男で、辻斬りに遭ったかと思われた。
    身元は、医者の所にやっかいになっていたが飛び出したのだとわかる。もともとは瓶屋という薬屋に勤める奉公人の一人だったという。
    瓶屋の様子を探ると、王疹膏という新薬の売り出しで流行っていたが、どこかうさんくさい所があった。
    しかも、そこでも主人の新兵衛が…!
    新兵衛の娘の史乃は綺麗な娘で、信之輔はこれを守ろうとする。

    間島信之輔というまだ17歳の若者が父の跡を継ぎ、平四郎には若い町回り同心の同輩ができたのだ。
    町方役人の職は本来は世襲ではないが、事実上世襲になっている。
    まじめな良い青年だが、金壺眼に広がった鼻という外見で、男の場合どれぐらい器量に意味があるのだろうと内心気になる平四郎。
    長屋で大男が暴れる事件があったが、信之輔はそれを巧に取り押さえる腕もあった。
    この信之輔には源右衛門という大伯父がいて、部屋住みのまま八丁堀に居着いた変わり者の老人。少し呆けかかっているのだが、見る目の鋭い所のある名物男なのだった。

    平四郎の家に良く出入りするようになった甥の弓之助は、妻の姉が嫁いだ河合屋の末息子で、子供がいない平四郎夫婦の養子にという話が起きている。
    この弓之助、妻にも似ているのだが、人形のように綺麗な顔をしているため、「下手に町中に置いては悪いことに巻き込まれるといけないから八丁堀に来た方が良い」と妻が熱心に勧めていた。
    まだ子供ながら頭が切れるため、平四郎も連れ歩くことが増えていた。
    弓之助が少し家に来ないことを気にし始めていたら、長男の結婚問題で河合屋が揉めていたとわかる。

    岡っ引きの政五郎のところには通称「おでこ」と呼ばれている三太郎という少年が手下になっていて、政五郎の女房お紺が我が子のように可愛がっている。同じ年頃の弓之助とも仲良くなっていた。
    政五郎は出先で思わぬ人に出会った…三太郎を棄てた母親きえが、玉井屋という大店のおかみにおさまっていたのだ。
    ところが、この主人というのに悪い癖があり…?

    幾つかの事件が、次第に絡み合っていきます。
    登場人物が生き生きしていて、読んでいると引きこまれて、元気が出てきますね。
    短編は2006年初出。
    2011年9月発行。初読は今年4月。

  • 読みごたえあります。

  • 文庫が出たら絶対買う宮部さん。はずれなし。
    薬に纏わる人殺しに「おまえさん」の題名が示すとおり、男女の愛情が絡んだお話。
    捕り物帖ではあるけれど、宮部さんのお話は謎解きよりも「人」の描写に比重がかかっていると思います。そこにとても惹かれます。

    新しくお目見えの同心間島信之輔も(金壷眼だけど)ご隠居源右衛門も(皺くちゃだけど)玄徳先生も(畳目をほっぺたにつけちゃったりしてるけど)野菜売りの丸助も(お爺ちゃんだけど)皆、魅力的。
    中でも出色は下巻から出てくる弓之助の兄淳三郎ですね!
    弓之助みたいに怖いほどの美貌ではないけど文句なしにいい男で、糸の切れた凧みたいに軽いけど中身がからっぽなのではなくて、女好きで賭け事も好きだけど本当に好きなことはまだ見つけていないって自分で分かってて。それなりに腕も立って弟のこともすごく好きで。マジ好みッ!
    「いい玉(タマ)を隠していやがった」とは平四郎の言ですが、まさにその通りv この人のお話を番外で読みたいな。
    弓之助が平四郎の後を継いで同心になって、淳三郎が政五郎の後を継いで岡っ引きになって。兄弟で喧々囂々やりながら活躍するお話もいつか読めたらいいなって思います。

    キャラ萌えですみません(笑)

  • なぜか単行本と文庫が一緒に発売されたが、その理由(わけ)は、あとがきにて判明。
    なーる、そういうことでしたか。

    とはいえ、厚い!(本が) そして長い(物語が)。

    この“長い”は、実はわたしにとってキモ。
    なにしろ宮部さんの長編で
    「長いな」
    と感じてしまうのは初めてで、これってあんまりよいことではないような気がするから。
    あの『模倣犯』だっても、これっぽちも長く感じないで一気に読みきることができたのに、今回の『おまえさん』にには、正直
    「うーん……くどいな」
    という部分がわりとあって、宮部さんにしては珍しい書き方だな、と感じた。

    あと下巻にいくと“視点の主”を変えて、同じ時系の出来事を書いてる章が続くが、その構成も読んでいてかなり戸惑う部分でもあった。
    これやるなら、お得意の短編連作にしたほうがよかったんじゃないのー、という。
    要するにこの『おまえさん』。
    宮部作品(しかもシリーズもの)の中にあって、とても“違和感”が強いな、というのが、わたしの第一回読了の感想である。

    で、その“違和感”。
    登場人物の性質(性格)にもそれは結構感じた。
    特に弓之助。
    彼はこのシリーズのホームズ役なのであるが、いかんせん今回は超人過ぎる。
    いくら利発(っつーか天才?)だからって、今回は井筒の旦那と一緒に聞き込みや捜査(笑)をほとんどしてないのに、あそこまで
    「まるっとすべてお見通しだ!」
    な謎解きはチト無理がないかい? と。

    それから新しいキャラが出すぎ、という感もあったかな。
    もちろん、皆、それぞれに魅力的なのであるが、それゆえに
    「モーオナカイッパイ、ハイリマセン」
    と言いたくなってしまった。

    そしてわたしが感じた最大の“違和感”は、その登場人物たちに、宮部さんが『美醜』という枷をはめていたこと。
    まあ、これはわたし自身のコンプレックスが刺激されたんだろうが、それでもやけにこの話には『美醜』(『美醜』でピンとこない場合は『モテ・非モテ』に置き換えてみてくらはい)が深く関わっていて、読んでいると、なんかこう……ムカついてくる? 
    こういう感情も、宮部作品読書中には初めてだった。

    宮部さん、狙ってそうしたんだろうか?


    しかし、新キャラに字面は違えど、亡うなったおとんと同じ名前の弓之助兄が出てくるとは思わなんだ。
    べっくらした。

  • ぼんくら、日暮らしに次ぐシリーズ第3作。おでこちゃんも弓之助もますます冴えわたり、すっかり戦力になっています。下巻が楽しみ!

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