営業零課接待班 (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (364ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062771658

感想・レビュー・書評

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  • 読み終えてからしばらく余韻に浸っていた。

    法務課から営業課に異動し真面目に頑張るものの、全く目が出ないまま退職勧告を受け、新設の接待専門の営業零課へ異動しゼロから奮闘する若者の物語。

    個性的な営業零課のメンバーの中にいても、真面目だけが取り柄の主人公はずっと契約がとれずお荷物扱いだったが、ふとしたことからできることを見つけ、メンバーみんなで協力しあって売上を上げていく。約7年半付き合っていた彼女と別れ、いつまで経っても慣れない営業職を続け、と完全成功ではなく元に戻らないものもあるけれど、だからいいのかもしれない。真面目に一生懸命に、人と人の絆を信じて。

    小心者は自意識過剰であるとのことで、セミナーらしきものも良かった。周りを気にしすぎ。周りはそんな他人のことなんて気にしてない。小心者は自意識過剰かぁ……。

    程よいヘイトがあり、それなりの着地点に辿り着く、暖かな気持ちとメッセージを貰える良い小説でした。

  • 営業の話かぁと思ってたら、まさかのシステムの開発受注案件の話だった。
    著者が過労で倒れたってもしかしてIT会社か?

    またこのタイミングで…。

    マジオこと真島誠は人前で話すことをとても苦手としていて、畑違いの営業に異動してからまったく成果をあげられず、人事に退職勧告を告げられる。
    失意の内に退職する旨を告げたところ、高卒から叩き上げで営業のトップに登り詰めた、井岡専務から営業零課へ来ないかと誘われる。
    何をするのかも知らぬ間に配属されてきたところ、なんと接待専門の課だという。
    他部署からは飲むだけで金を浪費する穀潰しだと敬遠され、技術部署からはエンジニアを無断で拝借していく迷惑な奴らと思われ、全く成果が出なかったが、接待という名のコミニケーションを続けることで次第に結果が生まれてくる。
    キーワードは自意識。
    自分が思っている他人の意識と本当に向けられている意識にズレがあり、それが、異常な緊張や失敗したくないという保身への執着を生み出す。
    若者を消耗品扱いする会社の多い昨今、ひたすら一人で抱えて頑張っても、誰も助けてくれない。いい意味で力を抜いて周りを良く見ることが大事。

    零課全員が一度退職勧告を受けた人間であるということで、チームに連帯感も生まれ、飲み会を介して成果が上がる。技術者的には確かに良くわかってないのにめちゃくちゃ大変な案件を格安でたくさん受けるとか、とても困る。
    郷原の案件とか、郷原が一緒に大変な時間を共有したことでエンジニアの怒りが静まったというけど、自分だったらその仕事やだなーって思っちゃう。システム開発ってやりがいあるけどこういうことあるから大変(-""-;)

  • 接待を念頭に置いた営業課のお話し

    私は接待をしたこともされたこともないんだけど
    接待ってどの程度の影響力があるものなのだろうか?

    もし自分の立場で接待を受けたとしても、業者の選定の際に重要視するのは各種スペックとサービスレベル、そしてコストとの兼ね合いのみで、接待の有無は一切考慮しないと思う
    もし、「どうしても接待しなければいけないんです」って言われたとしても、「その分安くしてください」って言うかな?

    ただ、接待の目的が商品選定の基準ではなく、こちらの要望を更に深く聞き出すためのものだったらどうだろう?
    でもまぁ、酒の席で仕事の話はしたくないなぁ・・・

    とは言っても、うちの会社は一般的な会社とは言えないし
    これが世間の常識ではないのでしょうねぇ


    「積極的脱力」については結構興味深い
    確かに、自分が他の人を見た場合、特に何も気にしない様な行動ってあるよね
    でも、自分の行動は他の人にどう見られているかは気になると言うのはわかる

  • 今のメンタルのせいか、置かれている立場のせいか、結構泣ける。

  • マジオが自分と重なって、とても感情移入が出来た作品だった。
    自分は取るに足らない存在…、うまく話そうとしない…、前向きな意味でいい加減に…、そのままでいい…

    ただのサラリーマン小説ではなく、随所に、読み手に語りかけてくれるような、処方箋のような…GOODでした。

  • 異動先は苦手な営業部門。
    案の定、数字を上げられず、ついにはリストラ勧告を受けることになった主人公。
    退職を決意しようとした矢先
    新設された接待営業専門の「営業零課」へ配属されることになり…

    真面目で不器用な主人公を応援しつつ
    考え方しだいで私も変われるかなと思った1冊でした。

    別に上手く喋れなくてもいい。

  • 苦手な営業に異動となり、ついにリストラ勧告まで受けたマジオこと真島等は、新設された接待専門の「営業零課」で訳ありっぽい仲間達と50億円という無謀な目標に挑むことに。
    最初はせっかく接待の場に同行しても商品説明マシーンと化してしまうことでまったく役立たずだったマジオ。でも、お酒を飲むと程よいプレゼンをできる事がわかってからは事態が好転。
    同僚達も、トラブルを引き起こしながらも自分達の特性を生かした営業をする事で売り上げをあげられるようになります。
    最初はあまりにも主人公がネガティブ過ぎて面白くなかったけど、仕事がうまく回りだすあたりからかなり読みやすくなりました。

  • 私も小心者なので、周りの目やどういうふうに見られているか気になって上手く動けなくなるなど、共感出来るところがたくさんあり、いちいち気にすることなく、日々を過ごしていきたい、そして何となく過ごすのではなくがむしゃらになる部分も見習いたいと感じました。

  • (所感)『身の丈をわきまえつつも目の前にある物事にベストをつくせ』ラスト一頁の主人公の一言が印象的だった。『退職勧告書』自分にもとてもリアルに感じるところがある。必ずしもすべてがうまくいく結末ではないものの温かみの残る一冊だった。
    (読始)140921
    (読了)140925

  • 主人公の弱気で人の目を気する性格が自分と重なった。積極的脱力思考、自分が思うほど他人は自分のことを気にしていないという考えは会議で発言できないことへの処方になりそう。

    フィクションだし人それぞれではあるが、営業という仕事が、何を考えるのか、客に対してどう発言するのか、ストーリーがあるから具体的にミクロに知れた。

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著者プロフィール

安藤祐介
一九七七年生まれ。福岡県出身。二〇〇七年『被取締役新入社員』でTBS・講談社第一回ドラマ原作大賞を受賞。同書は森山未來主演でドラマ化もされ、話題を呼んだ。近著に『本のエンドロール』『六畳間のピアノマン』『就活ザムライの大誤算』などがある。

「2023年 『崖っぷち芸人、会社を救う』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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