ねらわれた学園 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062771689

作品紹介・あらすじ

突如、阿倍野第六中学の生徒会長に立候補し、鮮やかに当選してみせた高見沢みちる。それまで目立たない存在だった彼女は、魅力的な微笑と不思議な力で学園を支配していく。美しい顔に覆い隠された彼女の正体と真の狙いとは?'70〜'80年代に大ブームを巻き起こし、幾度も映像化されてきた日本ジュブナイルSFの金字塔。

感想・レビュー・書評

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  • 突然、生徒会役員となり学校を徐々に支配していく美しい少女。彼女は不思議な力を持っていた。
    NHK少年ドラマシリーズ!(未来からの挑戦)
    その超能力とも言える力には、ある学習塾の存在があった。
    正義・多数決・学力重視。重松さんとは別方向で、当時の教室が描かれている。

  • 【紙の本】金城学院大学図書館の検索はこちら↓
    https://opc.kinjo-u.ac.jp/

  •  良くも悪くもテンポよく物語が進んでいく。悪い予感がするといえば悪いことが起こるし、あいつは超能力者といえば本当にいかさまなしの超能力者である
     あんまりにもテンポよく、予告通りに展開にするので驚きがなく作者に手を引かれてるような居心地の悪さがある。一方で短く読みやすくまとまっているので淀みなく読める。
     軽く読むには丁度いいといったところ

  • 大阪は阿倍野第六中学校。2年3組の関耕児は、ひょんなことから学級委員長になってしまう。しかし、学級委員長を集めた生徒会で、生徒会長である高見沢みちるによる超能力による支配が行われていた。耕児たちは生徒会に立ち向かうのだが…。

    昔、「角川ジュブナイル文庫」という、背表紙が臙脂とも茶色ともつかない色の文庫で読んだ記憶はあるが、中身は忘れていて、講談社から改めて出ているのに気がついたので買い直した。

    はっきり言ってしまうと、ストーリーは古くて、子供向け。他の眉村卓作品に比べるとストレートでひねりがなく、唯一共通項があるとすると、夜中に高見沢みちるを尾行してしまうところあたりか。

    結末もお世辞にも褒められたものではなく、解決したんだかしてないんだかという感じで終わる。間違いなく、世間の評価は映画化されたことによって美化されているだろう。

    1980年代までは、「角川ジュブナイル文庫」はどの古本屋にもあふれるほど存在し、小中学生が読書、特にSFというものに親しむ入り口として大きな存在であった。筒井康隆や平井正明なども有ったが、やはり最も大きな存在であったのが眉村卓である。白黒では有ったが、すこし不気味な水彩のイラストが添えられ、子供心にワクワクしながら読んだものである。

    再販の講談社版は、挿絵はカット、門司は大きいがルビはなく、おとなが懐かしんで読むものという感じ。子供用は「青い鳥文庫」というやつかな。

    個人的には『ねじれた町』『つくられた明日』などのほうが、『ねらわれた学園』よりも出来は良いと思う。講談社も映画化されたというバイアスで選んでいるのだろうが、もう全部再発すればいいんじゃないの?

    もう一つ。
    おそらく「角川ジュブナイル文庫」が世の中から消えた理由の一つが、ブックオフでの「ISBNがない」「表紙スレ等の傷み」による大量廃棄ではないかと思っている。ブックオフによる文化の破壊は、そろそろ問題化してよいのではないかと思う。

  • 阿倍野六中では高見沢みちるという女子生徒が立候補し、生徒会長の座に収まるが、彼女は超能力を駆使して学園を支配しようとしていた。
    関耕児を始めとした二年三組の生徒達は、高見沢みちると謎の少年に立ち向かおうとするのだが……。
    謎の少年こと京極は、過去改変して未来を変えようとしたが、こうもあっさりと頓挫するとなれば計画自体を練り直すべきではないだろうか。

  • 小1時間程度でサクッと読める、ちょうどよかった。

    舞台設定としては一昔前のものではあったが、まあそこまで違和感なく読めた。

    前半は全く未知のものに襲われる恐怖でだいぶ不快感が高かった(褒めてる)し、SFとして読み進めていったが、未知のウイルスに生活を狂わされている現在のことを考えるとどんどん他人事として読めなくなっていった。和美の最後の「またこんなことがある気がする…」台詞が本当にそうだな、、と思ってしまった。

    主人公の父の「君たちの行動は短略的なものであり、ああいう熱は長続きしない(端折ってます)」はめちゃくちゃ的を得ているし現実にものすごく通じるなと思った。
    現在のコロナ禍なのにも関わらず始まってしまえば盛り上がりを見せる五輪のことを考えると、なんとももやもやした気持ちになった。今こそ読むべき一冊に感じる。

    (この短さだったから読めたけど個人的にはかなり不快感強かった!)

  •  するっと、そしてすらすら読める。文体は、言葉遣いの端々にこそ時代を感じるが、読みやすいし、展開はスピーディ。
     ただし、SFとして読むと、バックボーンの弱さや、設定の粗さが目立つ...というか、科学的にどうこう、技術的にどうこうみたいな話は全くないし、SF的な設定を少し借り受けて来ただけ、みたいな感じ。ジュブナイルと割り切って読むべきだと思う。
     何より、ジュブナイルであるということが非常に強く意識されているようにも感じた。凄くメッセージ性の強い内容だったし、あとがきからも、テーマにこだわって執筆されたことが伺える。
     読んでいて一番思ったことは、古い、ということ。その古い雰囲気自体は、どこか懐かしさを帯びていて、むしろ心地良いものですらあったが、雰囲気のみならず設定も古いし、学生像も古い。仲間と団結する様子には胸が熱くなったが、主人公の立場にしても、相手の立場にしても、こんな熱量を持っているということ自体に、今となってはリアリティの欠如を感じる。まだ学生が、学生としての自分たちの力を信じて、政治的な行動に行き着くことも珍しくなかった時代の尾を引いているような気がした。
     読んだタイミングが悪いのかもなあ。

    • ヤヌスさん
      ネタバレ注意




      古さに関しては復刊時のコメントで筆者も言及してたから、やっぱそうなんだと思う。
      ていうか、ここまで露骨にファシストを意...
      ネタバレ注意




      古さに関しては復刊時のコメントで筆者も言及してたから、やっぱそうなんだと思う。
      ていうか、ここまで露骨にファシストを意識してジュブナイル書くことなんて、今ならあるのかな。
      未来人の取った手段が若干迂遠な気がするけど、それは些細な点か。
      2020/10/30
  • 復刊して即買い。
    それだけの価値はあった。

    「正しさ」は、「正義」ではない。パトロール員たちと戦う耕児たちが、かっこ良かった。

  • 昨年、亡くなられた眉村卓さんの名作。中学生のころ、眉村作品をむさぼるように読みました。それこそ、1日1冊のペースで読んでいた夏休みを思い出します。
    舞台設定にはさすがに時代を感じますが、根底を流れる社会的なメッセージには、昔は気が付かなかったように思います。

  • 薬師丸ひろ子さんの表紙に惹かれて購入。映画もあったみたいですがみたことはありませんでした。てっきり高見沢が薬師丸ひろ子さんの役柄かと思って脳内再生してましたが違ったんですねf^_^;) 支配されていく怖さ、群衆心理というかナチズムをちょっと思い出しながら読みました。あっという間に読み終わる物語です。それにしても表紙の薬師丸ひろ子さんが可愛い☆

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著者プロフィール

1934 - 2019。SF作家。1979年に『消滅の光輪』で泉鏡花文学賞および星雲賞を受賞。また1987年に『夕焼けの回転木馬』で日本文芸大賞を受賞。代表作にジュブナイルSFの名作といわれる『なぞの転校生』『ねらわれた学園』などがある。

「2023年 『不思議の国の猫たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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