- Amazon.co.jp ・本 (488ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062773386
作品紹介・あらすじ
差出人不祥の、東北の山荘への招待状が、六名の男女に届けられた。しかし、深い雪に囲まれた山荘は、彼らの到着後、交通も連絡手段も途絶した陸の孤島と化す。そして、そこで巻き起こる連続殺人。クリスティの『そして誰もいなくなった』に挑戦した、本格ミステリー。西村京太郎初期作品中、屈指の名作。
感想・レビュー・書評
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著者の作品、ブクログ登録は4冊目になります。
著者、西村京太郎さん、どのような方かというと、ウィキペディアには、次のように書かれています。
---引用開始
西村 京太郎(にしむら きょうたろう、1930年9月6日 - 2022年3月3日)は、日本の推理小説家。本名は矢島 喜八郎(やじま きはちろう)。人気シリーズである十津川警部シリーズや、トラベルミステリーで知られる。
---引用終了
で、本作の内容は、次のとおり。
---引用開始
差出人不祥の、東北の山荘への招待状が、六名の男女に届けられた。しかし、深い雪に囲まれた山荘は、彼らの到着後、交通も連絡手段も途絶した陸の孤島と化す。そして、そこで巻き起こる連続殺人。クリスティの『そして誰もいなくなった』に挑戦した、本格ミステリー。西村京太郎初期作品中、屈指の名作。
---引用終了
クリスティの「そして誰もいなくなった」(1939年)に影響を受けた作品としては、本作の他に、「十角館の殺人」(綾辻行人、1987年)がある。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『十角館の殺人』より先にアガサ・クリスティの『そして誰もいなくなった』のオマージュ作品の名作があると知って、この本を読みたくなった。
本編が始まる前に著者自らが「メイントリックは、双生児であることを利用したものです。」「これでスタートは対等になりました。では、推理の旅に出発して下さい。」と記している。
これまで読んだことのない冒頭で始まり、まるでディズニーのアトラクション乗車時に送り出された時のようなワクワク感を感じた。
吹雪の山荘内での連続殺人事件と、都内での強盗事件、この二つの事件が平行に進んでいく。
この2つの事件に何の関係があるのか?
山荘の犯人は一体誰なのか?
著者にメイントリックを先に教えてもらっているのに犯人が全くわからず、無駄な文字稼ぎのような部分が全くないので、読む手がどんどん加速してしまい、一晩で読んでしまった。
山手線の初乗り料金が30円だったり、食堂の定食が200円なので、何年前の本なんだと思ったら、驚きの1979年の作品だった。
女性の話し方や、職業に対する価値観だったり、男女の役割、警察の無能さなどには古さを感じるけど、そこは今とは違う1979年のその時代風景を楽しんだ。
犯人は最後まで当てることができず、完全に騙された。
トリックに破綻がないし、後から思えばきちんと伏線も張ってあった。
犯人の動機も考えさせられるものだった。
やはり名作と呼ばれるものは面白い! -
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noriさんの本棚を参考にさせていただいてます!
ブクログをはじめる前は、本屋さんに行っても平積みの本以外は見つけられず、ネットで調べても自...noriさんの本棚を参考にさせていただいてます!
ブクログをはじめる前は、本屋さんに行っても平積みの本以外は見つけられず、ネットで調べても自分の読みたいものが見つけられずにいました。
本を読みたいのに読みたい本がない!と思っていたのですが、noriさんの本棚には読みたい本がたくさんありました(^^)
いつもありがとうございます!
これからもよろしくお願いします。2024/03/13 -
初めてコメントいただきました(^-^)
参考にしていただき嬉しいです!
私は基本的にネットのランキング上位から責めているので当たりは多いと思...初めてコメントいただきました(^-^)
参考にしていただき嬉しいです!
私は基本的にネットのランキング上位から責めているので当たりは多いと思います(笑)
Naotyさんもミステリーがお好きみたいなので本の趣味は合うと思います。
皆さんの色々な感想を読むことも楽しみですので、沢山読んで感想あげていただけると嬉しいです。
私もNaotyさんの本棚参考にさせていただきます!
宜しくお願いしますm(_ _)m2024/03/13
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『この推理小説のメイントリックは、双生児であることを利用したものです。』
これが、本作の書き出しである。
このような文があったからこそ、「双生児」という言葉には注意を払って読み進めていき、何となくではあるが先を予想出来たつもりだった。
だが、物語の所々に残った「疑問」を甘く見過ぎでいた。
本作は、東北の山奥にある山荘で起こる殺人事件と、全く別の場所で起こる事件が並行して進んでいく。
関連性の見えない二つの事件ではあるが、その中に「双生児」のトリックは巧妙に編みこまれている。
この作品の中で、個人的に最も面白いと感じた部分は「犯人が分かったあと」である。
事件の全貌が見えないもどかしさとは、何ともソワソワするものであるが、それがどこまでも続くのが非常に気に入っている。
この作品には、そっくりな人間が二人居るから表現できる面白い描き方が数多く出現する。
双生児だからこそ楽しめる、この面白さを是非とも味わって欲しい。
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内容としては読みやすくサクサク進みましたが、犯人とトリックがわかりやす過ぎました。
法律で裁けない犯人に対して心理的に責めるラストは好きでした。 -
ミステリーは難しそうで、今まであまり読まなかったのですが、そろそろ読んでみようカナと選んだのがこの本です。
読書に興味がなかった頃、十津川警部シリーズは読んだことがあったので、西村京太郎さんの作品を読もうとおすすめを調べたところ、『殺しの双曲線』に至りました。
ミステリー、面白い!すっごく面白い!
引き込まれました・・・
本来ならわたしの頭ならこんがらがってきそうな内容なのに、読みやすくてサクサク読めました。
予想もつかないトリックが明かされていく後半は、没頭し、面白くて仕方がないという感じでした。
宮城県の山奥にある、雪の中の山荘で起こる連続殺人と、東京で起こる連続強盗事件とが、同時に描かれていて、この2つの事件は繋がっているんだろう?いつ結び付くのだろう?どうやって?ってワクワクしながら読み進めていて、繋がった時にはちょとした興奮を覚えました。
これから、ミステリーも読んでみようと思います。
久しぶりに十津川警部シリーズも読みたいです。 -
西村京太郎さん=十津川警部のイメージしかなかったけれど、孤立したホテルを舞台にしたミステリー(えぇ、大好物です 笑)と、双子を使ったトリックが絡んですごい面白かった!
途中まで全く違う事件が同時に進んでいって、これ最後まで繋がらなかったらどうする?!と思った(そんな訳ないんだが)けれど、途中からその2つが絡み始めてもう大変(笑)物語も一気に加速して、夢中で読みました。
私も一緒に犯人を探すべく読んでいましたが、途中までは合ってたけれど最後の方は双子のどちらがどちらなのか訳が分からなくなって、見事に騙されて終わりました(笑) -
連絡手段も交通も遮断された東北の雪深い山荘で起こる連続殺人と、並行して都内で起こる連続強盗事件。
当初これらの事件には無いように思えた繋がりが、次第に浮かび上がって来る。
アガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」を彷彿とさせつつ、最初から銘打っている「双子のトリック」も興味深かった。
テンポ良く進行する物語(かなりあっさりと人がお亡くなりに…)は、軽めの文体が相まって早々に読むことができる作品。 -
差出人不詳の招待状で集められた六名の男女。雪で閉ざされた山荘で巻き起こる連続殺人事件と復讐が示す意味とは。さらに並行して起こる双子による連続強盗事件に警察は翻弄される。『そして誰もいなくなった』に挑戦した本格ミステリー。
ぼくが初めて触れた西村京太郎作品。トラベルミステリーは難しそうだと敬遠してたんだけど、本格ミステリーで名作があると知って購入。「メイントリックは双生児を使ったもの」と宣言して大胆に描かれる物語には奇麗に騙される楽しさがある。
陸の孤島と化した山荘と、連続強盗事件という一見関係なさそうな物語が重なっていくのは胸が高鳴るね。ページをめくる手が止まらなかった。偶然だったとはいえ、最後の最後で自分が盾にしていたものが皮肉にも自分へと返ってくるラストには痺れた。
それにしても、双子に翻弄されまくる警察はミステリーを通り越して喜劇的。厳密に逮捕・犯罪を立証となると確かに難しいかもしれない。どっちかがやった!じゃ済まされないもんね。現代の警察だとどうやって捜査するのか興味ある。監視カメラも多いし、こんなに鮮やかには決まらないだろうね。
作中にアガサ・クリスティー『そして誰もいなくなった』のネタバレがそれなりに含まれるので要注意。まずはそこから始めて、この作品を読み、綾辻行人『十角館の殺人』へと進むと、オマージュの変遷が感じられて面白いと思う。 -
「この本を読まれる方へ この推理小説のメイントリックは、双生児であることを利用したものです。」
冒頭で作者から堂々と言い切られる事が、逆にワクワクする。
本書は二時間サスペンスでお馴染みの西村京太郎による本格ミステリだ。
東北の山荘への招待状により集められた、オーナー含め7人の男女。なんの繋がりもない彼らは陸の孤島となってしまったそこで、ひとり、またひとりと殺されていく。
一方東京では双子による連続強盗事件が起きるが、犯人がわかっても警察は彼らを逮捕できずにいた。
双子トリック、閉ざされた雪の山荘、バラバラに進行する二つの事件、犯人からの謎のメッセージ、アガサ・クリスティの『そして誰もいなくなった』のオマージュ etc…
ミステリ好きには一冊で色々おいしい作品になっている。どんでん返し系でもなく、冒頭の作者からの種明かしもあって、非常にフェアな正統派ミステリといえる。
双子である事をこれでもかと利用した内容には唸らされる。
メイントリックの他にも、そこに至るまでに散りばめられた謎と、犯人によるその真意を考えるうちにどんどんページをめくる手がすすんでしまう。
ミステリなれした人ならある程度トリックや犯人がわかる人もいるかもしれないが、それでも一読の価値ありだと思える。
間違いなく名作の一つであるので、今日でも自分の他に読んでる人がいるはずだか、犯行の動機となった件の現場でこの本を読んでしまった人はいるだろうか…。
本格ミステリのなかには、読者がキャラクターや舞台に必要以上に入り込まずに単純に謎解きできるというものもあり、本書もどちらかというとそっちだと思うが、動機の部分には少しヒヤリとさせられた。