キャベツ (講談社文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062774208

感想・レビュー・書評

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  • 中2で父親が亡くなり、専業主婦だった母は働きにでることになり、小学生の妹美砂(みさ)と家で留守番をすることになった洋(ひろし)は、母の代わりにご飯をつくることを決意する。

    洋は、キャベツをちぎって「うまたれ」で食べるのが好き。
    ほんとうはとんカツが好き。
    ロールキャベツは、コンソメ味、トマト味、クリーム味を作り分けることができる。
    回鍋肉


    P10「泣いてもいいのよ。好きなだけ泣いちゃいなさい。そうすれば、すうっとするから。男の子は泣いてもいいのよ。」と言った。

    P13そしてぼくはそのとき、このふたりを僕が守らなくちゃいけないんだ、と途方もない強さで思ったんだ。

    兄は大学へ進学し、妹は高校生になった。

    洋は、新宿区高校卒業なのか?

    かこちゃん~美砂の同級生 佐伯加奈子
    かしこを書ける女子高生

    キルフェボンのブルーベリータルトといちじくのタルト

    詩は十月の午後 田村隆一
    「言葉のない世界」より 

  • 「自分と関わるさまざまなことにいろいろ戸惑って、困惑してかまわないとぼくは思っている。というより積極的にそうすべきだとも。ただし、そうやって出した答えに対してはぶれたくはない。」


    高校生の妹ちゃん、生意気なんだけどかわいくてにくめないな~。久しぶりにどストライクで好きな本に出会えて、「あ。私が好きなのはそうだ。こんな本だった!」って思い出した。しあわせな気持ちになりました。

  • 14歳の時に父親が亡くなり、母一人の肩に自分と妹がぶら下がり生きていく事になった。初めて会社に行った母が帰ってくると息も絶え絶えで家事はままならない状態。僕は出来合いのお惣菜にご飯とお味噌汁を作った。
    それから数年、大学生になった僕の日課は、毎日毎日家族にご飯を食べさせること。朝昼晩とごはんを作り続けて来た。どんな事があったって僕はご飯を作り続ける。妹につまらない男と言われたって僕の味が家族を守ってきたんだから。
    ある日家に帰ると見知らぬ少女が家に居た、彼女はとても可愛らしく、素晴らしく清楚で僕の好みそのままだった。彼女の笑顔にノックアウトされてしまった。けれど彼女は妹の友達だったんだ・・・。



    毎日毎日周りから見たらつまらない日常を送っていると見られている炊飯男子の主人公はとても満たされています。彼は毎日ご飯を作って家事をこなし、本をたくさん読む。とても幸せです。
    でも妹から見るともっと青春を謳歌すればいいのにと内心やきもきしています。
    妹は悪態つきながらも兄のご飯も、兄自身の事も大好きなので自分の友達の中で一番清楚で読書少女であるヒロインを紹介し、あまつさえデートまでセッティングします。
    さてさて2人は上手くいくのでしょうか。

    この本は事件などは全く起きません。草食系男子とはまさにこの男の子の事でしょう。作者の理想の兄を妄想して書いたそうですが、なるほどそうですか、美味しいご飯を作ってくれて家事をしてくれてやさしい兄がご所望ですか。僕もそんな兄なら是非欲しいです。

  • おばあちゃんのお土産には笑ったし雰囲気や言葉選びは嫌いじゃないけど@マークの謎くらいは知りたかった。

  • 2014.5.30
    とても良かった。描かれている世界も、ことばの選び方も。
    中2のときにお父さんを亡くした時からキッチンに立つようになったお兄さんの視点で語られていて、みているものや感じていることがすごくリアル。
    人に薦めたくなる一冊。

  • 日常の中にある幸福感と寂しさがヒリリと伝わってくる。「不安なくせに満ち足りていて、さみしい反面とてつもない幸福感に包まれているあの時の気持ちを、いったいどんな言葉で言いあらわせばいいんだろう。」

  • 中二で父親を亡くしたぼくは、母親と妹のために毎日ごはんを作ることになる。そんなぼくに妹が友達とのデートを斡旋するのだった。
    実に爽やかな物語。草食男子のぼくの恋愛ものかと思いきや、兄妹の関係が主体の話でした。
    妹からキャベツくんなどと呼ばれるほどに所帯染みて地味めのお兄ちゃんと、ズケズケとものを言うけれど素直なところもある妹。お兄ちゃんが好きだから自分の一番の友達と付き合って欲しいと思ったのか。お兄ちゃんを知らない人に取られたくないからなのか。そんな妹の気持ちが垣間見えて何とも甘酸っぱい。
    でも端から見ると言いたい放題の妹に翻弄される兄という感じでもあるし、妹のそんな部分を受け容れている兄の姿もいいです。

  • 感想を一言で言うなれば
    夏目漱石が読みたくなった

    ある家族のなんでもない日常を
    なんでもなく、ゆっくりと見せる
    しかしそれを魅せるものにするためにはやっぱり
    なんだかやっぱり物足りないのです…

    料理が出てくる本は大好き
    そして兄妹を扱う本も大好き
    一瞬の温かさにはうってつけ、かもしれないけど
    のちに残るキズがどこにもなくて…
    結局物足りないってことです

    そしての欲を満たしてくれる
    夏目漱石が読みたくなったわけです

  • 201309/タイトルとカバーにひかれて購入。面白かったけど、お兄ちゃんに魅力は感じられず。

  • 働くお母さんと妹のため、ご飯を作るお兄ちゃんの奮戦記。
    家事をこなしながら繰り広げる妄想のシチュエーションがナイス。
    初めての恋にとまどいながらも頑張るお兄ちゃんに拍手。
    妹とおばあちゃんもいい味出してますよ。
    お母さんの「泣いちゃダメな人の理由」がとても素敵。

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著者プロフィール

作家、翻訳家。子どものための読み物に「すみれちゃん」シリーズ(偕成社)、創作絵本に『100年たったら』(アリス館)、翻訳絵本に『せかいでさいしょに ズボンをはいた 女の子』『おばけのキルト』(小社)など。

「2022年 『色とりどりの ぼくの つめ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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