あの子の考えることは変 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 426
レビュー : 58
  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062775519

作品紹介・あらすじ

Gカップの「おっぱい」を自分のアイデンティティとする23歳フリーター・巡谷。アパートの同居人は、「自分は臭い」と信じる「自称・手記家」の23歳処女・日田。ゴミ処理場から出るダイオキシンと自分の臭いに異常な執着を見せ、外見にまったく気を遣わない変人・日田のことを、巡谷はどうしても放っておけない。日田だけが巡谷の「男への異常な執着」や「気が触れそうになる瞬間」を分かってくれるのだ。変なことばかり考えている二人だけれど、ゴミ処理場のダイオキシンが二人の変なところを益々悪化させているような気がするけれど、二人が一緒にいれば大丈夫。情けなくってどうしようもなく孤独な毎日もなんとかやっていける――。
芥川賞候補作としても話題となった、汚くて可愛い、前代未聞の青春エンターテインメント!

感想・レビュー・書評

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  • 本谷有希子は、受信力がすこぶる高いんだろうな、と思う。
    もがきもがき、剥き出し落ち込み、もがいてたった少し、プラスに指針が振り切れる。
    度合いは違えど、私も走るっきゃないんだろうな。

  • 本谷作品は好きだが、これはダメだ。
    彼女の良さである「ギリギリアウトの女達」が、この作品では完全アウトすぎて、その描写が白々しく思えてしまうほどだから。
    だが、そんな勝手な批判をよそに『嵐のピクニック』では、見事大江賞を獲得したようであるから、この作品だけが停滞しているようであれば何も問題は無い。

  • 劇作家で小説家の本谷有希子さん。毎回毒のあるお話を書きますが、本作も期待を裏切りません。Gカップのおっぱいがアイデンティティという巡谷と、自分の体臭を必要以上に気にする日田との、奇妙な友情関係を描いています。

    なんか良く分からないまま話が進んでいき、良く分からないまま終わってしまう感じです。女性の孤独や、コンプレックスをテーマに物語を描いているということは伝わってきたのですが・・・。ただ、終盤の50ページくらいは怒涛の展開で、物語に飲み込まれてしまいました。

    誰もが読んで面白いと感じるような小説ではないと思いますが、劇物的な魅力はあると思います。取り扱い注意ですね。女性が読むと、また別の感じ方をするのかなとも思いました。

  • 「私、すごい獣臭いんだよ。こないだも手記書いてて『あれ? なんか部屋に獣いる?』と思って探したら、自分の体臭だったんだよね。やばくない? 私、腕も毛深いし、獣じみてるよね。」

    「これおっぱりのつもりか? こんなの、おっぱいだと思ってるなんて厚かましいよ。あんた、これはただの乳首だよ。」
    「乳首だけではないよ、さすがに。ちょっとは膨らんでるし…。」
    「そんなの膨らんでるうちに入んない。おっぱいはね、日田、弾力があって柔らかくなきゃなんないの。揉んだ時に人を幸せな気分にしなきゃなんないんだよ。わたしから言わせると、Cカップ以下の女からはもう全員罰として乳首を毟り取るべきだよね。」
    「やっぱり巡谷はおっぱい至上主義だなあー。」
    「当たり前だよ。男はみんなおっぱいが好きなんだよ? あいつら想像以上におっぱいのことしか考えてないよ、日田。」

    「じゃあやっぱ当分彼氏できないかもね、私。」
    「あんたは、その内面に問題があんの。だからマニアックな男探せばいいじゃん。煙草なんか吸ってる場合じゃないよ。本当は幼女と付き合いたいけど犯罪だから大人で我慢してるような男、探しな。」
    「…変態じゃん!」
    「変態でもいいじゃん。なんでもいいじゃん一人よりは。」

    『暇だから今日はあなたの人生にタイトルをつけます、と言い出して「巡谷の、突然死にたくなる一億の瞬間と、それ以外。」と寝そべりながら、ノートに書いた。』

    「別になんもないよ。特になんもない。」
    「じゃあ巡谷、セフレのまま?」
    「セフレのままだね。」
    「セフレってさ、本当にセックスだけしかしないの? 『あ、こんちはー』『こんちはー』『じゃあ入れようか』ってなるの?」
    「そこまでじゃないよ。わたしはちゃんとご飯とか掃除とか家のことやってあげてるじゃん。」
    「それなのにまだ彼女にはしてもらえないんだ。なんか巡谷、絵に描いたように都合のいい女だね。」

    「すいません。Gカップってことだけが巡谷のアイデンティティなんです。」
    「私のこと、『おい、そこのポケモン』とか呼ぶんですよね~。あれってどういう意味なんですか?」
    「うーん、分からないけど、それがあなたにとってのアイデンティティだと思ってるんじゃないですか?」
    「え? 私のアイデンティティ?」
    「はい。よく分からないですけど…ポケモンみたいな精神が宿ってる、とかじゃないですか?」
    「いや、宿ってないですけど。」
    「あ。すいません。じゃあ違うと思います。あの、私、アイデンティティの意味、実はあんまり知らないんで。全然、意味違うと思います。 ー あの、でもちょっとあなた、ポケモンみたいな顔してますよね。」

    「いや、このまま性欲が抑えきれなくなったら本当に乞食、犯しちゃうんじゃないかと思って…。ー どうしたらいいと思う? 巡谷、セフレだからそういうの詳しいよね?」
    「…とりあえずもっとエロとかけ離れたこと考えたらいいんじゃない? 子犬が死んでいくところとか。」
    「それはもうやってる。」
    「え。子犬が死ぬとこ考えてんの?」
    「ううん。違う。巡谷のこと考えてんの。」

    『一番プレゼントしたかったのは豚のぬいぐるみで、手のところにスイッチな仕込まれていて、録音した声を再生できるというやつだ。あれ、『ベイブ・都会へ行く』のベイブみたいですっごいかわいかった。わたしはあのぬいぐるみに、誇張して真似したデブ声を横ちんと吹き込んだりして、ふざけたりしたらカップルっぽくていいな、とさっき見つけた時、思ったのだ。けどきっと豚をあげても横ちんは女の気配がする部屋にしたくなくて、捨ててしまうだろう。あんまりですぎた真似をすると、わたしも豚みたく捨てられるだろう。」

    「私たちのこういうエネルギーがもっと地球のために役立てばいいのにね。」

    『そういうのがもう全部嫌で、わたしは自分をでっかいおっぱいだと思い込みたいのに、まだ脳味噌とか感情とかが邪魔だった。』

  • 本谷有希子の小説。以前読んだ「生きてるだけで、愛。」と同様に主人公はコンプレックスにがぁーっと苛まれても、惨めたらしくっても、もう死にたいの1歩直前でもかろうじで生きてるいる人達が主人公。俺だってそれぐらい弱っているんだ。俺だっておっぱいと同化したい夜もあるんだぞ。ダイオキシンとか公害のせいにして市に寄生したいぞ。手記家として生きていきたいぞ。今回はこんな浅い感想で終わりです。

  • 日田もヤバいけど、巡谷も相当ヤバいよね。横チンは自分がモンスター化させられそうになっているところに自覚はあったんだ。自分がどうしようもなくなって、どうしようもない女にかかずらわって、痛い思いしたけどまともに生きろよ。横チン

  • 本谷ワールド炸裂
    社会にうまく馴染めない二人のしょうもない掛け合いが面白い
    こんだけいい合えるなら理想の友達関係だな

  • 日田と巡谷のダイオキシンをめぐる話

  • 本谷有希子の書く人たちはいつもいい感じに狂ってる、と思う。特に日田みたいな、ちょっと根暗っぽくて弱弱しそうに見える女の子の尋常ならざるしたたかさ(?)と言ったら!話のテンポは劇作家らしい感じでセリフ中心に進むので、自分自身の調子によってはたまに本当に受け付けない(読みづらい)のだけど、時々この、独特のテンポが欲しくなって本谷有希子作品を読みたくなる時があるー。

  • 情緒不安定で自らのアイデンティティーをGカップの胸とする女。自分は臭いと信じる引きこもりの女。それぞれ社会性が低い二人は同居する中で互いを蔑みつつも関係を維持している。二人が内包する異常なモノが噴き出す瞬間は圧巻。

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著者プロフィール

本谷有希子(もとや・ゆきこ)
1979年生まれ。2000年に「劇団、本谷有希子」を旗揚げし、主宰として作・演出を手がける。2006年上演の戯曲『遭難、』で第10回鶴屋南北戯曲賞を史上最年少で受賞。2008年上演の戯曲『幸せ最高ありがとうマジで!』で第53回岸田國士戯曲賞受賞。2011年に小説『ぬるい毒』で第33回野間文芸新人賞、2013年に『嵐のピクニック』で第7回大江健三郎賞、2014年に『自分を好きになる方法』で第27回三島由紀夫賞、2016年に「異類婚姻譚」で第154回芥川龍之介賞を受賞。著書に『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』『ぜつぼう』『あの子の考えることは変』『生きてるだけで、愛』『グ、ア、ム』などがある。

「2018年 『静かに、ねぇ、静かに』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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