フリーファイア (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (576ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062775618

作品紹介・あらすじ

4人を射殺した弁護士は「無法地帯」という抜け穴を使って無罪に。国立公園の高温菌をめぐる企業の陰謀も絡み、シリーズ中屈指の作品

感想・レビュー・書評

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  • 猟区管理官ジョー・ピケット・シリーズ、翻訳発行6作目。
    知事の特命で、殺人事件の捜査に駆り出されます。

    ジョー・ピケットは、一見ごく普通に見える穏やかな男だが、事件に巻き込まれては愚直に真実を求めていく。
    前作で職を失ったため、義父の農場で牧童頭として4か月働いていました。
    妻メアリーベスの母ミッシーが、地元の大農場主バド・ロングブレイクと再婚していたからです(何度目か忘れたが)。
    ある日、名物男である知事ルーロンに呼び出されて復帰、それはイエローストーン国立公園での捜査という密命でした。

    若者が4人射殺される事件が起き、犯人は自首してきたものの弁護士で、法律の穴を衝いて無罪を主張、釈放されてしまったのだ。
    モンタナ、アイダホ、ワイオミングの3州にまたがり、約9000平方キロメートルという広大な敷地。
    利権をめぐる動きが関係している可能性もあった。

    そこは、ジョーにとっては弟の死を思い起こさせる土地でもありました。
    しかも、失踪していた父親と、思いがけなく再会。
    妻の家系とは全く違うが、裕福だがややこしい家族のいるメアリーベスにとってはジョーの善良さが、かけがえがないものなのですね。
    危険が近づくにつれ、親友のネイトも力になってくれますが…?
    スケールの大きい展開!

    妻のメアリーベスはビジネスマネジメントの仕事を興し、長女のシェリダンは9年生、おしゃまな次女のルーシーは4年生に。
    9年生というのは日本で言えば高校1年ぐらいだとか。
    2007年の作品。
    2013年翻訳発行。

    実はこの作品を最初に読んだため、面白さに驚嘆して、何でそれまで気づかなかったんだろうと。
    勇んで1作目から読み始めました。
    紹介がやっとここまで追いついた(笑)
    2001年にデビューして以来、レベルを落とさず、毎年1作のペースで書き続けられているのが、何とも頼もしい限りです☆

  • 猟区管理官ジョー・ピケットシリーズ第6弾。前作で職をなくして義父の農場で働いているところから始まる。知事の極秘任務命令(?)でイエローストーン国立公園の殺人事件の捜査をする話。複数の州にまたがる巨大公園ということから法が及ばず、そこでの殺人行為が無罪放免となった悪徳弁護士との対立がメインのストーリー。お金に目がくらんだ企業家や投資家の陰謀を暴いていく。
    鷹匠ネイトの助けを借りて主人公がまたも熱血ぶりを発揮して事件を解決していく。
    殺人犯が無罪になる意外な始まりから企業の陰謀に至る展開は本当に息をつかせない流れで楽しめる。

  • ジョー・ピケット猟区管理官シリーズ第六弾。

    猟区管理官をくびになってしまったジョーは、
    義母の再婚相手の牧場で牧童頭となっていた。
    そこへ、州知事からの特殊任務があり、
    殺人事件の調査のためにイエローストーンへ。

    そして今回も過去が襲ってくる。
    ジョーの弟の死を巡る記憶、父との再会。
    国立公園内のホテル、オールド・フェイスフル・インが印象的だった。
    本当に隠れ部屋があるんだろうか。
    臨時の相棒であるパークレンジャーが死んでしまうかとはらはらしたが、
    いつもの相棒ネイトが最後に逮捕される。
    どうなってしまうのだろうか。

  • お気に入りの作家、樋口明雄氏が読んでいるとエッセイで書かれていたC.J.BOXの猟区管理官シリーズ。

    うっかり、シリーズ七作目から読み始めてしまったが、本作は本作として独立しているので、それはそれで面白かったから良いかな。

    諸般の事情により職を干された猟区管理官ピケットが、野心的な知事に特別に再雇用されて、イエローストーン国立公園で起きた難事件に取り組む。
    そもそも取り扱いがややこしい事件だが、ピケットが掘り起こしていくと、さらに難事件を取り巻く国立公園、パークレンジャー、ベンチャー起業などに話が展開していく。
    謎解きと、バイオレンス。自然と男。
    このシリーズ、読んでおくべきシリーズに間違いない。
    もちろん私も、第一作に遡り読んでみることにした。

  • 今回はイエローストーンを舞台に大掛かりな陰謀を暴く。冒頭から大きな殺人事件があり、しかもその容疑者が無罪という意表を突く展開。さらに多彩な登場人物の利害が重なる中で次の殺人事件、とテンポが良い。
    横糸となる、家族のつながりもしっかり描かれる一方で、メリーベスの母親が次の男性を見つけたり、ジョーの切ない過去、行方不明となっていた父との邂逅、弟の死の真相、と盛りだくさんの内容。
    ただでさえ、事件の渦中であちこちから小突き回されるうえに、心情的な立場からもジョーには今まで以上に読んでいて切なく共感できる。
    後半のネイトとのコンビ振りがスゴク光る一方で、ラストではFBIの裏切りでネイトが逮捕されるという展開。さらに陰謀の背後には知事の影もちらつく。
    知事の力で今回の調査のために復職したジョーの今後は、そしてネイトはどうなる?次回作を早く読みたい!
    細部まで練られたプロットに緻密な文章、雄大な自然描写も見事で、C・j・ボックスはマイクル・コナリー等と並んで、間違いないく現役ハードボイルト作家の最高峰の一人。

  •  一作で二作分くらい楽しめる内容のツイストぶり、かつエンターテインメント性、練度を増してきたストーリーテリングの極み、それらを支える初期からのオリジナルな発想としての猟区管理官という職業。すべてにおいて、ますます重量感を増してくる様相を呈し、読者を驚かせてやまないのがC・J・ボックスという作家である。

     そもそも人があまり住んでもいない、大自然ばかりのワイオミングという土地で、探偵でもない稼業の、派手でもない主人公とその一家族が、シリーズに値するほどの物語やプロットを紡ぎ出せるものなのかさえ疑問であったはず。第一作からディック・フランシスばりの小説密度で飛ばしてしまい、一体次のストーリーは創造できるのだろうかとさえ危惧される狭い人間社会と広大な自然。

     解説によればシリーズ化の意図は案の定作者にもなかった、という。しかし初作より売れた、というのが現実だろう。シリーズ外作品も読み応え充分ではあるが、やはり現代のウエスタンを書ける作家は二人といないではないか。本シリーズの主人公ジョー・ピケットは、この作家が書かない限り、継続してゆく生命を手に入れることはできないではないか。出版社や編集者らの後押しにより、作者の意図に反してジョー・ピケットの物語はその後幾作も幾作も捻り出され続けてきた。

     それでいて手綱を緩めず、物語という名の馬を騎手はしっかりと今も乗りこなしているばかりか、ロデオばりの曲乗りまでこなすようになった。そのツイストぶりに、ぼくは本当に驚愕している。

     さてシリーズ7作目の本書は、すわ法廷サスペンスか、と思わせるような、法の抜け穴を使った完全犯罪が紹介される。この完全犯罪を成し遂げる者は劇中では法に詳しい弁護士であり、彼は四人もの人間を射殺した挙句、裁かれることがないのである。

     しかし同時に本書では、ジョー・ピケットの活躍の場がイエロー・ストーン国立公園と変わっている。酔狂な知事の手により、復職と同時に事件を与えられたジョー・ピケットは、この国立公園に来るや、過去の苦い思い出との再会を果たす。これまで語られることのなかったジョーの家族のこと、父との軋轢のこと、家族愛のベースとなる運命のような彼の個人史が、本書では語られる。

     火山活動をやめない猛々しい自然を売りとする国立公園に展開されるにしては、あまりに強引で、禍々しい、人間関係の業の深さも重なって、本書は二重三重の罠と、厚みに鎧われた、厄介な事件を核心に描いて進行する。

     巻末解説で、折原一氏が熱狂的に賛美しつつ吠えているとおり、本作はシリーズ最高作であるように思う。それも、かつてはシリーズ化さえ考えていなかったキャラクターが、ついにここまで複雑な運命や生命を得て、新しい天地で、過去と現在の狭間の勇気を問われる、というこの状況設定力が、凄絶なのである。

     真に安心して読み続けることのできる傑作クリエイターが、海外ミステリ界、いや海外冒険小説界に今明らかに立ち位置を確保して存在する、と自信を持って吠えることのできる時が、今ここに訪れた、と、ぼくはまさにそう確信している。

     ちなみに、著者あとがきで、本書で取り上げられた法の抜け穴をなくす法律を作るために、上院議員たちに働きかけを開始した、とある。さらに二つのことに関しても、本書のあとに起こったことが報告されているが、イエローストーンにまつわるネタの披露に繋がりそうなので、詳細に興味のお有りの方は、実際に本作品に当たられたい。小説の影響、ということに最近富に出くわしているので、社会貢献度がどうとかではなく、小説の力ということでここに取り上げておきたい。

  • 現代の西部劇シリーズ、且つ個人的お気に入りシリーズ。

    分かりやすい話で途中で先が見えるかな。

    面白さはそれだけでなく、舞台となっているイエローストーン国立公園の風景(ネットで画像を検索しながら)が楽しめる。
    更には公園を運営する組織についてのインサイドレポート。これはストーリーにも関連するが大変興味深い。

    ミステリは謎解きばかりじゃない、西部劇は撃ち合いばかりじゃない、と思っているのでこれで正解。

    主人公のジョーがちょっと有能になってきたのが気になる。

  • イエローストーン国立公園に行ってみたくなった。

  • 巨大な利権を巡っての殺人と裏切り。ミステリーとはこう言うものか

  • 図書館の本 読了

    内容(「BOOK」データベースより)
    イエローストーン国立公園で四人の若者の射殺事件が起きた。しかも出頭してきた犯人は、“死のゾーン”と呼ばれる法律の抜け穴を巧妙に使って釈放されてしまう。調査を依頼された猟区管理官ピケットは、犯行動機に大きな企業陰謀がからんでいることに気づく。全米ベストセラーの超一級必読ミステリー。

    ジョーが「人生」に復帰して、「過去」に対峙する。
    変わらず妻と娘達がかれの中心ではあるけれど、彼の本質がよく見える作品だったかと思う。
    ネイトとメアリーベスとジョーの関係が落ち着いたのは一安心だけれど、次巻の彼の立場はどうなっているのか疑問。
    21から54への降格。
    これに対しての報復?あるかなぁ。

    Free Fire by C.J.Box

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