黒猫館の殺人〈新装改訂版〉 (講談社文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062777438

作品紹介・あらすじ

推理作家鹿谷門実に手紙を送った老人の手記にはある殺人事件がリアルに綴られていた。建築家中村青司の手になる黒猫館の秘密が鍵か。

感想・レビュー・書評

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  • 新装改訂版ラストは、黒猫館の殺人。
    黒猫館の元管理人の男性。病気からの火災で記憶を失う。名前さえ思い出せずにいたが、自分の書いたと思われる手記を持っていた。
    その謎めいた手記から、いつもの鹿谷推理作家と江南編集者が、管理人の過去を紐解いていく。
    もはやトリックとは言えなそうな大胆な発想。そこに緻密に重ねられた会話。
    綾辻さんだから許される、と思う。

    私だって、料理苦手と言いながら、ラム肉使いますか?とは、思いましたけど、まさかそんな事になるとは。

    違うと言えば違うけど「ドッペルゲンガー宮」は、ちょと影響受けてないかなと思った。
    本格ミステリー卒業に向けて、あと少し。

    • 土瓶さん
      綾辻さんの登場人物は良く記憶がなくなる印象。
      それが悪いとは思わんけど。
      綾辻さんの登場人物は良く記憶がなくなる印象。
      それが悪いとは思わんけど。
      2024/02/10
    • おびのりさん
      それね。
      次の暗黒館では、3人記憶がなくなる。
      それね。
      次の暗黒館では、3人記憶がなくなる。
      2024/02/10
    • 土瓶さん
      もう、誰が誰やら(笑)
      もう、誰が誰やら(笑)
      2024/02/11
  • 館シリーズ第6作目。
    相変わらず考え抜かれたプロットには意表をつかれる思いだった。過去作と比べ、犯行のトリックは古典的であり犯人は誰であるかとともに予想はつきやすいものであったため思いの外あっさりと終わってしまった印象を受けた。
    とはいえ、特徴的な館は今作でも健在であり、充分楽しめる作品であると思う。

  • 大満足です!
    私は結局最後の種明かしまで、一つも謎は解けずでした。(^^;
    冒頭から張り巡らされた伏線の数々がラストに気持ちよく回収されます。
    十角館の殺人から読み進めて6作品目でしたが、今までで一番登場人物が少なく、屋敷自体も小さめでシンプルなので、理解しやすかったです。
    壮大なストーリーでした!

    綾辻行人さんによる新装改訂版あとがきも良かったです。続く暗黒館の殺人(全4巻)は覚悟を決めてから読みたいと思います。

    • 本の蟲さん
      はじめまして。
      コメント失礼いたします。
      はなさんのコメントを読んで、ぜひこの本を読んでみたいと思ったのですが、恥ずかしながら綾辻さんの本は...
      はじめまして。
      コメント失礼いたします。
      はなさんのコメントを読んで、ぜひこの本を読んでみたいと思ったのですが、恥ずかしながら綾辻さんの本はまだ読んだことがありません。
      シリーズなのでしょうか?
      最初の1冊目は、これから読んだほうがいいよーというおすすめなどあれば教えていただけますか??
      2023/08/07
  • これまで読んできた綾辻作品とは違う新しい切り口で、大体こんな感じだよねと勝手に思っていたイメージが本当に良い意味で裏切られた。

    そのため評価が分かれているみたいだけど、逆に自分は『黒猫館』を読んで完全に綾辻作品の虜になってしまった!

    伏線がこんなにも堂々とたくさん張り巡らされているのは初めてで、まるで綾辻さんに「これでわかった気になっていたら大間違いだよ~」と言われているようで、綾辻さんの手の平で転がされているような感覚に喜びを感じた。

    「ここ何か変だな?」と思いつつも読む手が加速して止まらない。
    最後はミステリー好きでも絶対に見破られないであろうトリックで、変だなと思っていた所を気持ちよく全部回収してくれる。

    読んだ後はもう犯人なんてどうでもよくなって、騙されていたことを確認するためにもう一度読みたくなる。

    同じく『人形館』も評価がわかれているので悩んでいたけど、迷わず読みたくなった。
    やっぱりすごい!綾辻作品。

  • 正直前半はイヤミスな感じがしたが、後半からのからくりやスケールの大きさにびっくりしてそんな感情は吹き飛んだ。
    けど、私自身手記を読んでて脳内のイメージは冬だったから季節に関しては差ほど驚かなかった。
    何かを感じとっていたのかもしれない。
    まあ、鋭かったのはそこまでで、館が2つあることは完全にわからなかったなー。
    いやに描写が細かいなと思っていたけど、読書に説明する為かなと思ってた。
    ってことは海外の黒猫館には死体がまだあるのかー。
    氷川はなんかやらかすオーラプンプン出てたから自殺工作も彼の仕業とわかった時、やっぱりな感じがした。
    鮎田と天羽の同一人物だったこともすっかり騙されました。乾杯です。

    前回に引き続き江南と鹿谷のタッグが最高!
    江南自身はワトスンにはなれないと卑下してたけど、私にはもうそのイメージがついてたよ。
    これからも二人の活躍がみたい!
    次の館も楽しみ。

  • "「”風見猫"とでも云うんでしょうかな」
    「何ですか、そりゃあ」
    「風見鶏の鶏の代わりに、ブリキで出来た猫が取り付けられてあるのですよ。そいつがまた、真っ黒に塗ってありましてな」
    「ははあ。それで……」(p.41)"

     綾辻行人の「館」シリーズ第6作。
     記憶を失った老人・鮎田冬馬によって推理作家・鹿谷門美のもとにもたらされた一編の手記。そこには「黒猫館」と呼ばれる館で鮎田が経験したらしい、恐ろしい事件の詳細が記されていた…。

     今回が初読というわけではなく、途中からは内容を段々思い出してきたので半ば答え合わせをする気持ちで読んだのだが、何でもない表現に見せかけてとんでもない量の大胆な伏線が張られていたことに改めて驚かされた。その一つ一つは、取り敢えずの説明を付けて流せるような小さな違和感でも、積み重なってある閾値を超えると、看過できない大きな齟齬となる。そこで立ち止まって改めて正面から考えられるかが、齟齬の裏に隠された真相に辿り着けるかどうかの鍵になるのだろう(かくいう僕は初めて読んだとき、情けないことにサッパリだったのだが…(汗))。実のところ、本作で作者が仕掛けた最大の企みは殺人事件のトリックではない。裏表紙の言葉を借りれば、本作の結末で読者を待ち受けているのは、““世界“が揺らぐような真実”なのだ!

  • 館シリーズ第6弾。

    ホテル火災で記憶をなくした『黒猫館』の管理人・鮎田冬馬からの依頼を受け、推理小説家・鹿谷門実と、その編集担当者・江南が謎解きに。

    中村青司が設計した『黒猫館』。
    やっぱりからくりが…

    事件の1年後の謎解きパートと、鮎田が残した事件の詳細が記された手記が交互に。

    鮎田の正体はたぶん…とすぐにわかるが…
    最後はまさか⁇
    そんなこととは…
    確かに…

    事件自体はなんてことのない事件なのに…
    オーナー風間一家の自動車事故死も事件なのかと思ってしまったが…
    もっと複雑な事件だと思い…

    日本で起こった事件だと思い…
    先入観は恐い。

    そんな読者の先入観まで使う、綾辻行人、恐るべし。

    『暗黒館の殺人』が待っている。





  • 館シリーズ6作目。
    あの『時計館の殺人』の後だから絶対見劣りするだろうなーって思ってたけどめちゃくちゃ面白かったです!!
    とても気に入りました。
    「館シリーズ最大級のトリック」という謳い文句に偽りなしですね。
    館シリーズにしては珍しくえちえちでした。

  • 記憶を失った老人・鮎田冬馬から受けた依頼。それは自分が書いた手記に綴られた殺人事件の謎を解くことだった。舞台は中村青司が建てた黒猫館。鹿谷と江南はその館へ向かうため、東京から阿寒へと旅立つ。今回はその手記と、館へ向かう鹿谷たちの視点が交互に描かれる。手記を一度に提示せず、少しずつ見せながら物語を進めるのは推理欲をかき立てられるよね。

    今回は謎が解けたかも!と思っていたら、全体の3割ぐらいしかわかってなかった(笑) 本当に解くべき謎までたどり着けていなくて悔しい。話が進むほどにそのスケールの大きさが露わになってきて驚かされた。館という先入観からくる盲点を見事に突かれた感じ。その広げ方は想定していなかった。

    張られた伏線も緻密で、読み返すとなんて大胆な…と思ってしまうけどわからないものだなと。帯にある「驚天動地の大技炸裂!」は伊達じゃなかった。その大技を支える作家の巧妙な技には舌を巻いた。まさに紙の上の一級建築士。匠の技に翻弄された楽しい時間だった。

  • 2014年(発出1992年) 451ページ

    いやあ、前回の『迷路館』のレビューから「飛びます」と知らず知らずのうちにネタバレしてしまっていたではないか!(アホかいな)

    今回、小説1冊を1日で読み切る、という、若い頃しかできなかった芸当ができてしまった。それほど綾辻さんの文章は小説の世界に引き込ませる力があるんですね。

    今回の舞台は『黒猫館』。東京のホテル火災に巻き込まれて記憶を失った鮎田冬馬。助けられた時に鮎田が抱えていた手記。鮎田冬馬は手記の中で自分が管理人をしていた『黒猫館』を建てた建築家・中村青司の名前を、病院で偶然読んだ『迷路館の殺人』の中に見つけ、作者の鹿谷門実と会いたいという手紙を担当編集者へ宛てて出す。その鮎田冬馬が書いた手記の内容は真実なのか空想なのか?
    推理作家・鹿谷門実と出版編集者・江南孝明は、手掛かりを追って、東京から北海道へと旅立つ。

    ストーリーは鮎田冬馬の手記と、鹿谷門実たちの現実の動きを交互に描きながら進みます。また、鮎田冬馬の手記が作中作になっている構成です。
    この『黒猫館の殺人』。またしても謎解きができなかった自分の口をあんぐりと開けさせました。
    文章の中に、巧みに伏線を散りばめてくれているのに、それに気付かない自分って、、、
    ミステリーを何冊も読んでいるうちに、同じ系統のトリックって出てくるんですね。でも、そのトリックができないと思わせて、最後にドンデン返しされたり。
    でも謎解きできずとも、多くの伏線を最後にきちんと説明してくれる、このスカッと感は最高です。

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著者プロフィール

1960年京都市生まれ。京都大学教育学部卒業、同大学院博士後期課程修了。87年、大学院在学中に『十角館の殺人』でデビュー、新本格ミステリ・ムーヴメントの契機となる。92年、『時計館の殺人』で第45回日本推理作家協会賞を受賞。2009年発表の『Another』は本格ミステリとホラーを融合した傑作として絶賛を浴び、TVアニメーション、実写映画のW映像化も好評を博した。他に『Another エピソードS』『霧越邸殺人事件』『深泥丘奇談』など著書多数。18年度、第22回日本ミステリー文学大賞を受賞。

「2023年 『Another 2001(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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