ナイン・ドラゴンズ(下) (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062777896

感想・レビュー・書評

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  • ハリー・ボッシュのシリーズ14作目、後半。
    アクションシーンが多く、エンタメ要素が多い作品のようだったけど、思わぬ展開に驚愕‥
    ハリー・ボッシュの新たな面を描きたくなったのか?

    娼婦の子に生まれ、父には捨てられ、母からも引き離された育ち。
    ベトナム戦争での暗い経験。
    一徹な性格がもたらす警察内部での軋轢。
    といったものを抱えつつ、刑事の感は鋭く、根っからの猟犬で、信頼できる腕前。
    女性にはモテモテだけど、家庭のイメージがないせいか、仕事の虫のせいか?長くは続かない。
    というボッシュでしたが‥

    次は、意外な重荷を背負っての再出発になりそうです。
    ある意味での若返りなのか‥?
    ボッシュ大丈夫なのかとちょっと心配になっちゃうわ。
    13歳の娘がいる割には年いってますよね~定年でも働き続けそうだけど。
    常に水準をいっているミステリで、ボッシュの人間的な成長や他の作品とのスピンオフ的な絡みもあり、興味は尽きませんね。
    この作品から読むのはオススメしません。
    長年の読者としては、いずれ出る作品も読むのは確かです☆

  •  ヒエロニムス・ボッシュ、通称ハリー・ボッシュの警察小説シリーズは、常にボッシュの内面と行動とを交互に描きつつ、そのたぐいまれなる刑事ボッシュの行動の原理・理由・動機・目的・性格などをおろそかにはせず丹念にいくつもの事件という表現を使いつつ描き続けているシリーズである。

     一作一作に外れがない、それぞれに常にツイストの利いた作品でありながら、長いスパンで見るとボッシュという苦難に満ちた道を辿る人生の孤独な魂と、その内に蹲る愛や友情の物語でもあり続けた。

     そのボッシュにあるとき娘がいるとわかる。しかもその娘が香港に別れた妻と一緒に生活していることを知ったのは、『暗く聖なる夜』の作中である。その娘が脅迫の種に使われ、ボッシュが公人としての刑事ではなく、私人としての父親というスタンスを優先し、休暇を取ってまで香港の娘を救いにゆく、何ともストレートで手に汗握るサスペンスな作品が、本書である。

     最近になって、じっくり事件と向き合い、自分と見つめ合うことの多いボッシュが、すべての音に耳を塞ぎ、目をつぶり、ただただ馬鹿になって娘の居場所を求めて疾走する物語は、むしろこのシリーズではとても珍しい。損得抜きのストレートな娘への愛情がこの小説を通常のボッシュ・シリーズとは異なる次元へ連れゆくために、行動の過激さに面食らうシーンも多いが、それでもこういう事態にボッシュならこう動くだろうなという想像の線上にストーリーが進んでいることも間違いない。

     常日頃、ボッシュという人間をいかに作者が丹念に描いてきたかを、こういう切羽詰った時空に動き回るボッシュの活劇の連続を見つめつつ、何となく思い知らされるこれは新たな体験であるとも言える。

     本書では『エンジェズ・フライト』の一場面で遭遇する中国店店主の殺人に幕を開けるのだが、他のシリーズ作品とも交錯しながら、ボッシュシリーズは過去作品までを新しい作品世界に接続して、一大コナリー・ワールドとして容赦ないLAの街を、アメリカを、アジアを、世界を描いてゆく。

     きめ細かい人物描写がいつも常に無駄に使われず、それぞれのドラマとして次々と発表される作品で展開し、生かされてゆく。本書では重要なキャラクターたちとボッシュとの、邂逅と離別が運命づけられており、シリーズのある種のクライマックスともなりそうだ。アクションの多さとタイムリミット作品であることから、娯楽色が少し強すぎるように思われるが、この転換点を受けての次回以降作品にどのような影が落とされ、どのような光が点されるものなのか、じっくり期待してゆきたいところである。

  • そうきましたかぁ。

    マディがボッシュの元にやってきた経緯はわかりました。読んでいる最中、リーアム・ニーソンの姿が目に浮かんだのは秘密です(笑)

  • (上巻より続く)

    インドで暴れるインディ・ジョーンズにした突っ込み、
    「おいおい他人のところ(場所や文化)で勝手にやりすぎじゃない?」と同じ突っ込みを香港のボッシュにはしたくなったものの、
    娘のためなら仕方ないかもと思わせるところが上手なところなのかも。

    ミッキー・ハラ―が登場したのも、
    ラストの意外な告白もとてもお上手。

  • 14作目(だと思う)のボッシュシリーズ。前作「死角」があっさりした中篇だったので、ついに息切れか?とちらっと思っていたのだが、いやいや参りました。息もつかせぬ、とはこのことだ。アクションとサスペンスに満ちていて、おまけにボッシュにふりかかる出来事の悲痛さといったらもう言葉もない。シリーズ初期の迫力をここまで維持しているのが驚異的だ。

    どういう「サスペンス」なのかはまったく知らずに読む方が絶対面白いと思う。そういう意味で、裏表紙で重要な展開をあらかじめ明かしちゃうのはやめてほしい。

  • 人気推理作家を主人公とした海外ドラマ「キャッスル」を見てたら作家同士でポーカーをするシーンで、どっかで見た顔が! あー、マイケル・コナリーだ!
    「ボッシュ」の映画化がまったくすすまいのに業を煮やして映画化権を自ら買い戻したとか、アマゾンが「ボッシュ」のドラマ化をしたとかニュースだけはあったものの翻訳がなかなかでなったボッシュシリーズも14作目。
    出だしのチャイナタウンの店主の強盗殺人というありふれた事件の緻密な描写から、ぐぐぐっと引き込まれる。そしてオオっという展開。
    その昔、何度か泊まった香港の「重慶マンション」が出てきて懐かしい。高いビルの窓に並んだエアコンの室外機、ワンフロアのホテルの狭くて長くて暗い廊下を思い出した。
    後半に入ると駆け足で、物足りないながらも、ミッキー・ハーラーやジャック・マカヴォイを登場させるサービスを見せながら、(映画「リンカーン弁護士」主演のマコノヒーの名前も!)一気にラストへ。
    偶然が重なった悲劇にとらわれたボッシュと娘のなんとも重たい終わり方は、流石、コナリー。

    まったく他人を信用しない嫌な男ボッシュ(そのくせ女にはモテモテ!)が組織のなかでどうやっていくか、まわりとの人間とどう人間関係を築くかがこのシリーズの見どころ。今回は父と娘という絶対的な関係が出てくることでいつもとは違う。

    ボッシュが娘のために買ったイケアの家具の組立図を前に困るシーン、携帯電話のなれない操作のシーンなど、時代に取り残されそうなオールドスクールな刑事の戸惑いも興味深い。

  • 二人にここまで傷を負わせるとは、何と薄情な作者でしょう。次が読めるのは、再来年?

  • 娘を救うため香港に渡ったボッシュを待っていたのは…驚愕の展開で始まる下巻。ロスの中国人銃殺事件の決着は…

    二転、三転するストーリー。派手な銃撃戦とともにボッシュの家族を思う気持ちも色濃く描かれ、シリーズの中では異色作ではないだろうか。そのためなのか、シリーズで一貫して描かれていたボッシュの凶悪事件への憎悪が希薄になったように思う。また、後半は端折ったような感じで、綺麗にまとめた感が否めない。

    ボッシュの異母兄弟のミッキー・ハーラーも登場し、ジャック・マカヴォイも少しだけ登場する。

  • 図書館の本 読了

    南LAで酒店を営む中国人が殺された。背後には、みかじめ料をとる中国系犯罪組織・三合会(トライアッド)の存在が。報復を恐れず追うボッシュの前に現れる強力な容疑者。その身柄を拘束した直後、香港に住むボッシュの娘が監禁されている映像が届く。
    誘拐された娘を救うべくボッシュは前妻とその恋人の力を借り香港を駆け回る。しかしボッシュの人生最大にして、最悪の悲劇が起こる。娘は救えるのか? 裏で糸を引いているのは誰だ。コナリー作品、成熟の極み!

    あっという間に読んじゃった!
    ボッシュの熱量はすべて愛がベースになっていた本作。
    そりゃマディが誘拐されたらそうなるよね。
    アマプラのBoschを見てたからエレノアは香港でしんじゃうのかーとここはかなりびっくりだった。
    リンカーン弁護士も出てきてふむふむとほくそ笑む。
    これからハリーとマディの生活が始まるのはとても楽しみ。
    でも中国人というか、アジア人に対する偏見てこうやってまかり通ってるのか、と思うシーンもたくさん。
    外見だけでなく言語の問題も大きいから、英語って大事なんだと違うことを思ったり。
    すぐ次行きましょう。

    Nine dragons by Michaell Connelly

  • 上巻に

著者プロフィール

Michael Connelly:1956年生まれ。LAタイムズ元記者。代表作としてはボッシュ・シリーズ、リンカーン弁護士シリーズがあり、当代随一のストーリーテラー。

「2023年 『正義の弧(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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