- Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062778282
作品紹介・あらすじ
河原町今出川にある妖しき大怨寺で殺人が起きる。容疑者は、龍樹家の龍師・御堂達也。私的裁判・双龍会が開かれるが、思わぬ展開に。
感想・レビュー・書評
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心根までミステリー脳に染まり切っていない、あえて「一般人」と呼ぶが、その種の読者(私も含め)にとって本書は我孫子武丸による「あとがき」までが今出川ルヴォワールである。
前作の書評で私は「極めて現実的なミステリーを望んでいたが中身はファンタジーであった」と書いたのだが、それこそ円居挽の術中に嵌まってしまっていたと認めざるを得ないのが本作である。
本作も、「一般人」が思い描くミステリーではなく、円居挽が思い描くミステリーであり、それは前作でファンタジーとして描かれ、本作は賭博小説、バトル漫画というべき要素がプラスされて描かれている。最初から筆者と読者の間でミステリーに対する相違が存在しているのだから、前作で違和感を覚えたのとも至極当然なのである。これに関しては、あとがきで我孫子武丸がわかりやすく解説している。
読者にとって大事なのは、面白いのか面白くないのか、加えてミステリーしているのかしてないのか、といった事だろう。
本作の面白さを何に求めるかで大きく違ってくるが、私は「面白い」と断言しよう。
私はルヴォワールシリーズ3作目となる本作を読み終えた時分になってようやく気付いたのだが、私がルヴォワールシリーズに求めていたのは理路整然としたミステリー要素ではなく、魅力的な登場人物達の織りなす人間ドラマであった。
本作では前2作の伏線を回収しつつ、最終作に向け大きく物語が動き出す。登場人物達もまた、翻弄されるかのように目まぐるしく、悩み、変化し、成長していく。
特に私のお気に入りの登場人物が本作では中心となるので、その点でも「面白い」と感じたのだろう。
しかし筆者は読者の望む展開を描きつつ、予想だにしないどんでん返しで意表を突いてくる。
最終作では一体どんな意趣返しが待ち受けているのかと思うと、すっかり本作でルヴォワールシリーズの虜になってしまっている自分に気付く。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
3作目まで読んでも今ひとつよくわからないノリのルヴォワールシリーズ。今回は主人公達也の過去に迫りながら、いつもの模擬裁判パートは序盤だけで、後半は鳳という謎のギャンブルカードゲーム大会です。キャラクターも立っていて、次から次へと強キャラが登場する感じも楽しいですし、大トリックというかイカサマも楽しいのは楽しい。
ただ、なんか期待しているミステリと違うんだよなぁという思いのままモヤモヤした気持ちでいると、京大ミステリ研の大先輩が解説でフォローに毎回入っていて面白い。今回は我孫子武丸。 -
時折、読んでいて、ふと今読み進めている部分の時間と空間がわからなくなる、足元がおぼつかなくなる雰囲気を味わう時がある、このシリーズのそんなところがとても好きです。
そしてまた、もどかしく切ない複数のラブストーリーでありながら(僕にはとても稀なことですが)、なんか惹かれてしまうというのも、これまたこのシリーズの不思議な魅力です。 -
だいぶキャラがこなれてきたので、ここまでの3作の中では好きな方かな。だた、読むのには時間がかかったし、置いて行かれたところも多々あった。解説の我孫子さんの表向きの感想に近いかな。
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記録
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今回は多少趣向が違い、ギャンブルがメイン。しかし今までの面白さは健在で、一気読みさせられた。あと残すところ1巻で、すべての決着をつけてくれるのだろうか。
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ひとつの区切り、ですね~鳳の理解がむずかしい………
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4作で1つの物語だとすれば中だるみはしょうがない、しかしこれがないと4作目は読めない。
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ミステリというか、コンゲームっぽい。そして複雑怪奇に見せかけて、ここにこのオチをもってくるか、どストレートだな!と楽しくなる。