逃走 (講談社文庫)

著者 :
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062778695

作品紹介・あらすじ

死んだはずのあの男がいた。小さかった妹とふたりで懸命に生きてきた二一年間はなんだったんだ? 傷害致死で指名手配されたのは妹思いで正義感が強い青年。だが罪が重くなるとわかっていて彼は逃げ続ける。なんのために? 誰のために? 渾身の全面改稿、ほぼ書下ろしの秀逸ノンストップ・エンタメ!

感想・レビュー・書評

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  • 傷害致死で指名手配された青年が、どこまでも逃げ続ける、まさに表題名通りの物語。

    天使のナイフからの連読。
    前読作のテーマが『少年法』であれば本作のテーマは『家族愛』になるだろうか。

    複雑な家族模様、そして殺人を犯した青年の逃走する真相が徐々に明らかになっていく展開はスリリングであり、先へ先へと読み進めたい心境に駆り立てられた。

    しかしながら、前作【天使のナイフ】が良作だったのか、良作だったが故に期待が大きすぎたのか。

    ストーリーが総じてライト過ぎて、展開が容易に想像がついてしまい、ちゃっちい2時間ドラマを観ているような気分のまま読了。欲を言うなれば、もっと深みや奥行きが欲しかった。

    どうやら私は著者の文体を気に入ってしまった模様。
    著者の仕掛けに驚かされる気分が好きなようだ。

    どうしても薬丸岳をもう一作読みたくて、フォロワーさんの本棚を拝見、物色、参考にして1冊をゲットした水曜の夕方。

  • あんなに優しいお兄ちゃんが、不可抗力かもしれんけど、人を殺めて逃げるなんて!
    それには、深い訳が…
    20年以上前の事件の真実が今解き明かされる!
    逃げてる訳ではなかった!母親に会うため、真実を知りたいためやった!まぁ、周りからは、逃げてるとしか思えんわな。
    しかし、親!何とかならんかったんか?どんな事情があっても、子を手離したらアカンって!
    色々言いたいやろうけど、アカン!アカン!
    確かに犯罪者の子として生きていくのはツライかもしれんけど。
    「たとえどんなツライ真実があったとして目をそらさない」(解説より)
    これや!これしかないねん!
    目をそむけても、いずれ見えてしまう。でも、自分の意志で見ないと!
    最後に母親に会いたい理由は、思ってたのと違ってた(⌒-⌒; )

    薬丸さん!いつも、いつと、重たい話ありがとう〜。゚(゚´Д`゚)゚。…今までのよりは少し軽いか…

  • なんか登場人物みんなが可哀想すぎる。

    個人的には篤史が一番可哀想だった。スノードームをお土産に持って帰った時の衝撃。その後身寄りもないし、美恵子にも頼られないし、脇役だし、なんだろう、可哀想すぎる。

  • 兄妹二人、児童養護施設で育った小沢裕輔は、誤ってラーメン店主を殺害してしまう。

    しかし、彼は、警察に出頭せず、逃走を図る。
    いったい、彼は、何のために逃走を続けるのか?
    その目的とは?

    序盤から、スリリングな展開が続きますが、やがて見えて来るその目的とは?
    そして、兄想いの美恵子が知った驚愕の真相とは...

    登場人物の全てが、自分ではなく、人のために行動しているんですね。
    後半、美恵子と母・文恵の対面は、盛り上がります。

    薬丸作品は、読後に考えることが多いですね。
    関係者の今後は、辛いことも多いと思いますが、少しでも幸多かれ、と願います。

  • 傷害致死で指名手配の男の逃走劇
    男の妹や友人、刑事など視点は都度、変わり
    それぞれの状況や思いが語られる
    追う側追われる側の両方から楽しめました
    徐々に明らかになる事実そして終盤と
    流れに乗って読み進められました

  • ラーメン屋を訪れ、店主を殴り殺してしまった犯人が逃走する。
    逃走中に少しずつ明らかになっていく犯人を取り巻く人たちの過去…
    背景はややベタな感じはするが、複雑に絡み合った真実は読み応えがあった。

  • なぜ彼は自首せずに逃走するのか。文字通りの作品。
    薬丸岳らしく家族愛が描かれているが、読後が切ない作品。

  • 著者の本にしてはあまり引き込まれなかったかも。
    なぜだろう?

  • 家族という最小の幸福追求単位が崩壊しつつある、否、崩壊しているところもある日本において、家族の絆を問う本作。登場人物、それぞれのモノローグ移行フェーズがスピード感を生み出し、どんどん引き込まれる。ただ、始まりは所有欲求なんだよなぁ。存在欲求が満たされることで幸せを希求する世の中に移行するには何が必要なのか...。慎ましやかに生きようよ。

  • 切なく、救われないミステリー
    しかし、ちょっといろいろ引っかかりました。

    兄妹愛、家族愛を下地にした逃走サスペンスです。
    ラーメン店で見つけた店主にたいして、
    「どうしてあんたがここにいるんだ」
    と殴り倒していしまい、結果、傷害致死させてしてしまった兄。
    そんな兄の母親は、21年前に父親殺しの罪で刑務所に服役。その間、兄と妹は孤児院で育ち、今まで、不遇な生活を送ってきました。妹思いの正義感の強い兄。
    そんな兄が、なぜラーメン店の店主を殴り倒したのか?
    そして、自分が刑に服すことによって、妹が一人ぼっちになる前に、服役後の母親を探しだすことを決意して逃走。なぜ、母親を探し出すのか?
    警察に捕まる前に明らかにしたいことはいったい何なのか?
    そして、21年前の事件の真相とは?

    兄を追う警察、兄を慕う妹も兄を捜して自らの過去と向き合いながら、真実を探し出していきます。
    そして、ついに明らかになる真実。

    といった展開ですが、ちょっと違和感があって、うーんっていう感じ。
    全体の設定にちょっと無理がある
    さらに登場人物のイメージとその台詞にギャップあり..
    という感じです。

    それぞれが罪を犯してまで、さらに罪を重ねてまで守ろうとしたもの。わかるんだけど、うーん、切ないなぁ...

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著者プロフィール

1969年兵庫県生まれ。2005年『天使のナイフ』で第51回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。2016年、『Aではない君と』で第37回吉川英治文学新人賞を受賞。他の著書に刑事・夏目信人シリーズ『刑事のまなざし』『その鏡は嘘をつく』『刑事の約束』、『悪党』『友罪』『神の子』『ラスト・ナイト』など。

「2023年 『最後の祈り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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