頭蓋骨の中の楽園(下) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 85
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062779067

作品紹介・あらすじ

安藤直樹は冷たく表情のない若者。三人目の女子大生首無し死体が見つかっても動揺せず、「これは俺の事件だ」とのたまう。そして、第四の事件を予告する安藤。彼が笑みを浮かべた時、世界は暗転した。驚愕の「切断の理由」とは……。『記憶の果て』『時の鳥籠』から複雑に絡み合うメビウスの輪が遂に解かれる!

感想・レビュー・書評

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  • 連続首斬り殺人と過去の事件の真相、そしてシリーズを紡ぐ謎に肉薄する本作。中盤、主人公の安藤の真相看破の語り口に既視感を感じたのは、京極夏彦さんの影響ですね。(魍魎の匣、狂骨の夢)女性の隠れた心理・動機の描き方が似ていて、中盤からは怒涛の展開でとても楽しめます。ただ、終盤は「お前誰だっけ?」「そいつ誰だっけ?」みたいな展開が続き、戸惑いますが。今作の主人公の視点である穂波も全く同じなので、登場人物への没入感をあえて演出しているような気がします。
    メタミステリとして有名なシリーズですが、今作もぶっ飛んだ展開はありながらも、わりと正統派に楽しめました。

  • 圧巻。
    前作までの恋愛、青春、SF要素を残しながらも、今作ではミステリとしての魅力が非常に増しており、エンタメ小説としても楽しめる。
    しかも前2作から複雑に絡み合う謎もついに解かれるのだから、本書は単体としての面白さとシリーズとしての面白さが見事に融合した作品と言える。

    連続首無し事件の、そして『記憶の果て』『時の鳥籠』と本書、3作品に連なる謎の解決編である「天使祝詞」は、本当に凄まじい。
    狂った動機、謎同士の繋がり、そして萩原の語る地球の歴史のシミュレーション。
    穂波が見る、最初で最後の安藤直樹の微笑み。
    驚愕の真実の数々、そして絶大な破壊力のカタルシスに襲われ、息つく暇がない。

    3作に渡る謎の大部分は解かれたが、まだ謎は残っている。
    今後のシリーズの展開がどうなるのか、全く予想がつかない。


  • 安藤直樹シリーズ第三弾の下巻。笑わぬ男・安藤直樹により連続首なし殺人事件の真相が解き明かされていくのだが、穂波留美の悲鳴と涙が読者の反応を象徴しているかのよう。

    複雑な人間関係と混迷極まる事件の真相は、安藤直樹自身に関係するシリーズ第一作、第二作の『記憶の果て』『時の鳥籠』にも関わっていく…

    もしも、この三作が最初からの構想だとしたら、物凄い事だと思う。常識では考えられぬ驚愕のミステリーと言ったところ。

    登場人物の中で一番まともなのが、安藤直樹であり、安藤直樹が神のようにも見えた。

  • 三件の女子大生首なし死体事件に続く例外の首なし死体と過去の小説家たちの首なし自殺。地に足を着けた物語を独立したミステリ的に楽しんでいたらシリーズ的不可思議さに突入して、脳の記憶の入れ替え実験や人為的に転生する浅倉幸恵等SF化して、裕子等シリーズキャラクターの名前も頻出したけれど把握が追い付かなかった。

  • 2017年1月5日読了。
    2017年9冊目。

  • 安藤直樹は冷たく表情のない若者。三人目の女子大生・首なし死体が見つかっても動揺せず、「これは俺の事件だ」とのたまう。そして、第四の事件を予言する安藤。彼が笑みを浮かべた時、世界は暗転した。驚愕の「切断の理由」とは……。『記憶の果て』『時の鳥籠』から複雑に絡み合うメビウスの輪が、遂に解かれる!

  • 思わず電車を乗り過ごして読み切ったが、後半はちょっと早過ぎかな。

  • 脳内でグルグルまわる安藤シリーズ、しかし螺旋階段のような、メビウスの輪ともまた違う世界軸。
    『記憶の果て』『時の鳥籠』『頭蓋骨の中の楽園』を読むと最新作でありノン・シリーズ作『姫君よ、殺戮の海を渡れ』に通じるものが確かに感じられる。
    安藤が最後にこの事件を解く時に明かされるこの小説世界の構造は、著者である浦賀さんが時折自著で出してくるメタ構造と小説家が出てきて小説を書いているということに直結しているようにやはり感じられる。
    故に今だからこそ文庫化され読むことで伝わるものがあるのだろうとは思う。これが1999年ではやはりは速すぎたのではないか。あとこの安藤シリーズ三部作を読んでいると世界観は『リング』『らせん』『ループ』シリーズを思い出す。

  • 結末が中途半端。もう少しコンパクトに書けないんだろうか。

  • 過去二作『記憶の果て』『時の鳥籠』は必読。
    登場人物の誰もが狂っています。
    特に、こんなに狂った探偵さんは初めて見ました。
    数多くの自殺、殺人の関係性が見どころ。
    どこまでも広がっていくシリーズの世界観にハマリまくっています。

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著者プロフィール

1978年、神奈川県生まれ。1998年、『記憶の果て』で第5回メフィスト賞を受賞しデビュー。『時の鳥籠』『頭蓋骨の中の楽園』など、著書多数。2020年、急逝。

「2020年 『こわれもの 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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