変愛小説集 (講談社文庫)

著者 :
制作 : 岸本 佐知子 
  • 講談社
3.60
  • (19)
  • (31)
  • (35)
  • (8)
  • (2)
本棚登録 : 747
感想 : 42
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062779074

作品紹介・あらすじ

「愛」をつきつめていくと「変」になる。木に恋をしたり、バービー人形と真剣交際したり。奇想天外で切ない思いがつまった11篇。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 岸本佐知子さん編訳なら間違いないと読む。変愛が静かな文章で綴られる『五月』刺激的な会話訳がたまらない『丸呑み』悩める少年の変愛『リアル・ドール』懐かしさと一癖ある『ブルー・ヨーデル』ホラー風味の『柿右衛門の器』などが印象深かった。

    • ☆ベルガモット☆さん
      111108さん おはようございます

      岸本佐知子さんはまだ読んだことがないのですが、ブク友さん絶賛なので、どれを読もうか悩み中。こちら...
      111108さん おはようございます

      岸本佐知子さんはまだ読んだことがないのですが、ブク友さん絶賛なので、どれを読もうか悩み中。こちらは短編集ですし、気になります。穂村さん対策で色気のある歌を詠むアイディアが生まれるかしら?!
      2022/10/20
    • 111108さん
      ベルガモットさん、こんばんは。
      コメントありがとうございます♪

      岸本佐知子さん、不思議で面白くて大好きです!多くのブク友さん絶賛のエッセイ...
      ベルガモットさん、こんばんは。
      コメントありがとうございます♪

      岸本佐知子さん、不思議で面白くて大好きです!多くのブク友さん絶賛のエッセイもいろいろ出てて楽しく笑えますが、こちらの本は岸本さんの不思議の素みたいなシュールな短編集です。ほむほむ好きな色気もゲテモノも併せ持つ、かも?です♪
      2022/10/20
  • 先に国内作家さんたちの「変愛小説集」を読みましたが、海外の作家さんたちもなかなかどうして奇想だらけ……かなりへんてこな愛で面白かったです。
    変な話ばかりなのですが「僕らが天王星に着くころ」「まる呑み」「リアル・ドール」が特に好きです。
    どうしたらこんなお話を思い付くのか…頭を覗いてみたいけどきっと混沌としてるのでしょうね。
    岸本佐知子さんのセンス好きです。恋愛はグロテスク、ほんとそう。

  • すごく変わっててくらくらする。

    変で愛な翻訳短編集。奇想との配分がぐずぐずでどれも酩酊感がある。
    誰にでもあてはまらなくてあてはまるので、読むほど変ではない気もしてきた。
    どうしようもなかったの。と木に恋をする様が切実だった。それに寄り添って眠るのはやっぱり愛に見えている。

  • 木に恋した人、バービー人形と交際する男、母親との恋愛ハウトゥー、若者を丸のみにした人妻……。そんなちょっと変わった恋愛ばかりを集めた、「恋愛」ならぬ「変愛」小説集。
    癖も色々あるなあ、HENTAIは日本の作風だけじゃないなあと感じさせてくれる一冊です。

    この中に収録されている、木に恋する話こと『五月』(アリ・スミス)の書き出しが美しくてとても好きです。ブックリスト作った時にも書きましたが何度でも言う。
    また、『柿右衛門の器』(ニコルソン・ベイカー)という話も良かったです。磁器に魅せられた女性たちの話。

  • 恋愛は無理だけど、これなら自信があります。。。
    祝文庫化!

    単行本時の収録作
    「五月」アリ・スミス
    「僕らが天王星に着くころ」レイ・ヴクサヴィッチ
    「セーター」レイ・ヴクサヴィッチ
    「まる呑み」ジュリア・スラヴィン
    「最後の夜」ジェームズ・ソルター
    「お母さん攻略法」イアン・フレイジャー
    「リアル・ドール」A.M.ホームズ
    「獣」モーリーン・F.マクヒュー
    「ブルー・ヨーデル」スコット・スナイダー
    「柿右衛門の器」ニコルソン・ベイカー
    「母たちの島」ジュディ・バドニッツ

    講談社のPR(版元ドットコム)
    http://www.hanmoto.com/jpokinkan/bd/9784062779074.html
    (単行本)
    http://bookclub.kodansha.co.jp/product?code=214544

  • SFや妄想の要素が強め。女性向けSF短編集。ある短編集のなかに紛れ込んだ、ちょっとアウトローな1篇をよりあつめた感じ。

    最初、SFやファンタジーに頭が切り替わってない状態で読み始めてしまったので、少し拒否反応があった。最初の2~3編くらい。だんだん慣れていく。もっと来いよ、という感じになる。

    人を選ぶ。妄想好きな若い女子にはおすすめ。中編くらいから、出オチ(小ネタ)レベルの短編まで幅広いので気軽に読める。

    一番好きなのはバービーちゃんでした。面白すぎてはまった。恋愛ってなんだろう、と答えが出そうで出ない感じがもどかしくもあり。

    恋愛に限らず、執着とか憧れとか、広い意味でのセレクトになっていて、読み終えてなるほどという感じ。キュンキュンしたい女子には勧められないけども、SFちょっと好きな人にはおすすめ。

    忘れないうちに、全話の感想をメモっておく。


    1 五月。
    木に恋する?話。主人公が少し病み気味で、レズビアンのカップル。これを一番最初に持ってくるのがすごいなと思う。好きな人(木)を遠くから眺めて、夢見がちになったりした遠い日の記憶を思い出させる。
    相手の女の子もやっぱり変わっている。最後に木の下で寝転ぶシーンがある。気持ちよさそう。子どもらしい繊細な感覚のあるお話。

    2 僕らが天王星に着くころ。
    宇宙服に皮膚がなっていく話。ちょっと、皮膚とかの変化がやや苦手めなので、きもこわ設定のSFでした。絶対に映像化して欲しくない。
    彼氏が必死に引き留めようとするのが可愛い。ぜんぶ却下されるけど色々考えるのが、男ってこんなとこあるよね、と思う。
    昔、好きだった人に手を握っていてもらえれば、たとえ死が間近に来ても何もこわくない気がしたなあと懐かしくなる。

    3 セーター。
    こんな女の子いる。全部手作りでおしつけてくる子。それで、その 大きな自己欺瞞=セーター に飲み込まれて、どこかに行ってしまうという設定が、作者はそういうのに辟易したことがあるんだろうなあと思った。ちょうどいい長さのSF短編。

    4 まる吞み。
    若い男の子を飲み込んでしまった金持ち奥さんの話。最初の、まだこの世界観に慣れきっていないときに出てきたのもあって、けっこうグロく感じた。SF妄想話。終わりはあっさりとしている。ギャグと言うか、夢落ちのような感じなのでそこまで深刻じゃないけども、人を選ぶかもしれない。

    5 最後の夜。
    死にたがっている本命彼女と、浮気中のかわいい彼女と過ごす一夜。だいぶ本命彼女がヤンデレだよ。出てくる登場人物がみんな嫌なところがあって、そのバランスがいい。その嫌なところが、突飛な設定なのに、あるある、という気持ちになる。

    6 お母さん攻略法。
    小ネタ。危ない方向に行きそうで、おっと、大丈夫かとひやひやしたが、ただのネタだった。

    7 リアル・ドール。
    いちばん好きだった話。設定を読み取って、そっちに行ったかという、ちょうどいい「やられた感」がある話。しかも設定だけじゃなくて、中身もちゃんと面白い。
    あり得ない設定なのに、ものすごくリアルな恋愛。特に、「そろそろこの恋も終わりが近いな」とか主人公が思うあたりが、ああ恋の賞味期限ってあるよね、みたいな今まで思ってたけど形にできなかったことを言い当てられた感。

    8 獣。
    子どもの頃を思い出す。子どもの頃に見上げていた大人たち、どこか遠くを見ている彼らを不安げに見上げていたことを思い出す。「世の中は、自分が想像しているよりもおかしなことは起きないんだ」という主人公の幼い日の気づきに、はっとさせられる。

    9 ブルー・ヨーデル
    これは、二番目くらいに好きだったかもしれない。映画を観ているように丁寧な描写でよかった。終わりも、ぜんぶ解決されるようでされない感じが、いいよね。ミステリーではないのだから、このSFの消化不良感がいいよね、と思う。

    10 柿右衛門の器。
    透明感というか、質感のある話だった。焼き物が好きなので、読んでいて楽しいところもあった。すごく悪いことが起こるのかな、と思ったけど、陶器のようにあぶなっかしい感じを匂わせつつ、きちんと収まったので読んでいてほっとした。

    11 母たちの島。
    いいんじゃない、ありそうじゃないこんな島、と思う。ここまでくると、だいぶこのおかしな世界観に慣れ切っていて、どんなのでも来い、という感じになっている。
    恋愛って、ぴったりの男女だけでは盛り上がらないのかなあ。意外と周りにいる第三者が盛り上げてくれるものなのかもしれない。
    酔いまくっていく女子たちが愛おしくもあり、まさしく変愛だなあと思う。

  • お気に入りは、「藁の夫」「カウンターイルミネーション」「男鹿」日常生活の中に異次元の愛や奇妙な行き過ぎた結末が新鮮だった

  • 「変さ加減」がつきぬけていて気持ちいいくらいなのだけど、なんだか全くの他人事・ファンタジーとは思えないのは、嬉々としてこの本を手に取る人間もやはり変だからか。

  • 『変』愛なので、奇想の要素がやや多い。でも色々と違った味わいで面白かったです。対象が変だっただけで、ストレートな純愛の話『五月』は好もしい印象。読んで単純に面白かった『まる呑み』。『最後の夜』『ブルー・ヨーデル』はそれぞれ、なぜウォルターはマリトにそれをしなければならなかったのか、クレアは本当にその中にいるのか、重要な点が明かされないままで終わる不穏さがよい。トリがジュディ・バドニッツというのがまたもう。変でイヤでムズムズして読み終わりました。

  • タイトルどおり、変愛、狂愛?かな?
    だからこそグッとくるものがある
    他人から見て変だと思われるほど愛せるものがあること、少し羨ましい、木のお話がとても好き。

全42件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

岸本 佐知子(きしもと・さちこ):上智大学文学部英文学科卒業。翻訳家。主な訳書にルシア・ベルリン『掃除婦のための手引き書』、ミランダ・ジュライ『最初の悪い男』、ニコルソン・ベイカー『中二階』、ジャネット・ウィンターソン『灯台守の話』、リディア・デイヴィス『話の終わり』、スティーヴン・ミルハウザー『エドウィン・マルハウス』、ジョージ・ソーンダーズ『十二月の十日』、ショーン・タン『セミ』、アリ・スミス『五月 その他の短篇』。編訳書に『変愛小説集』、『楽しい夜』、『コドモノセカイ』など。著書に『気になる部分』、『ねにもつタイプ』(講談社エッセイ賞)、『なんらかの事情』、『死ぬまでに行きたい海』など。

「2023年 『ひみつのしつもん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

岸本佐知子の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
川上 未映子
ジョン・ウィリア...
伊坂 幸太郎
米澤 穂信
小川 洋子
岸本 佐知子
クラフト・エヴィ...
皆川 博子
アンナ カヴァン
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×