判決破棄 リンカーン弁護士(下) (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062779777

作品紹介・あらすじ

無実を訴えるその男が少女殺しの犯人だと確信するハラーたちは少女一家の過去を探り、証拠を集める。息詰まる法廷劇。真犯人は誰だ?

感想・レビュー・書評

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  • シリーズ3作目、後半。
    刑事弁護士のミッキー・ハラーが、検察側に立っての裁判が始まっています。
    刑事ボッシュが調査員として参加するので、スター競演といったところ。

    24年もの間服役していた男が、新たな鑑定結果を得て、無実を訴えている。
    調査にあたったボッシュは有罪を確信するが、それを証明できるのか…?
    釈放された男を尾行すると、夜な夜な高台の公園に上ってしばらく過ごすという謎の行動をとっていた。
    一方、容疑者のほうも、ボッシュやハラーの様子をうかがい、家族にも危機が及びかねない状態になってくる。

    「ナイン・ドラゴンズ」に続く作品だったんですね。
    ボッシュは娘のマディと暮らし始めている時期。
    これは読まなくちゃいけなかったわ。
    「リンカーン弁護士」のシリーズは法律の説明などが多くて、丁寧だがある意味ながなが書かれているといいますか…
    こっちのシリーズはまあ後でいいかと思ってたんです。
    ボッシュが客演というより対等な活躍で、法廷物の印象は思ったより薄い。
    後半は迫力の急展開! しかも最後はボッシュが持っていく~?
    まあそこがカッコいいんで、しょうがないですね(笑)

  • 私的にはディーヴァーと並ぶ鉄板コナリー。初期のワクワクする面白さが薄れていくのは仕方がないかなあと思いつつ、それでもしっかり楽しめるのも共通している。これも抜群のリーダビリティで、展開が気になって一気に読んだ。けど…。

    うーん、ラストがこれですか。消化不良だなあ。レイチェル・ウォリングは何のために登場したの? もしかして次作以降への伏線なのか? ディーヴァー、コナリーはとても「もてなしのいい」作家で、伏線はきっちり回収され、必ず読後の満足感を感じさせてくれるところが一流だと思ってきたのが、今回はちょっと納得いかない。

    それに、ハラーがどうも「らしく」なくて、これまでのタフなかっこよさが影を潜めちゃってる。じゃあボッシュものかというと、それにしては中途半端な感じ。章ごとに焦点がハラーとボッシュに切り替わるんだけど、あれ?これはどっち?と思うところがちょこちょこあって気になる。ボッシュシリーズは大好きなだけに残念。

    アメリカの法廷ものを読むといつも思うのだが、アメリカ国民って、こういうのを読み、現実にもO.J.シンプソンのような件があり、それでどうやって司法への信頼感を保っているのだろうか。謎だなあ。

  • ネタバレ注意。
    シリーズものの致し方ない所で、読者はこれ以上これ以上と次作への期待を募らせてしまい、またそれに応えられないとシリーズとして成り立たなくなってしまう。それゆえ各作家は登場人物をクロスオーバーさせる等、趣向を凝らして作品に彩りをつけるが、今回はやや盛り込み過ぎの感が否めず消化不良な感じがした。頁数に制限があるのかも知れないが、今回の容疑者はシリーズ希代の大量殺人犯だったのかも知れず、期待は膨らんだのだが、最後はあまりにも一気に進んでしまい、シリーズ中、屈指の容疑者たり得たジェサップなる人物がやや小物で終わってしまったのは少し残念だった。上•中•下位のボリュームでも良かったのでは?
    とはいえ、そこはコナリー、他のミステリーと比べても充分秀逸な作品だと思うし、これからもハリーボッシュとリンカーンライム(笑)には頑張って欲しいと切に願っております。

  • マイクル・コナリーの小説の主人公、ハリー・ボッシュ、ミッキー・ハラーが競演するものです。今回はボッシュの「闇」のようなところはあまり表現されていないようにも感じました。
    そう言えば、両主人公の家族の姿があまり描かれていなかったような気も…
    面白いですが、ハラーの元妻の検事、マクファーソンの言葉遣い、翻訳の問題かもしれませんが、かなりの違和感があったのですが…

  • コナリー作品ではじめて本気でおもろい思った。
    リーガル&警察小説のバランスとか絶妙すぎるし、ボッシュとハラーの絡みもはじめて違和感なく読めた。

  • 既に売っていない本のようなので中古を買って読了。本当に面白い。マイクルコナリーは何を読んでもハズレがない。個人的にはリンカーン弁護士よりも、ハリーボッシュシリーズの方が好きだが、本作では2人が主人公なので、満足感も高かった。オススメ。

  • 中々衝撃の結末。

    そう来るとはねぇ。たしかに、結審近いのに、まだまぁまぁなページ数が残っていたので、どうなるのかと思ったのですが。ハリーだけなら、ああいう結末には持って行かず、法廷での決着としたのだと思いますが、ボッシュも出ているので、そう言う流れでの結末ですかね。

    いや、面白かったです。

  • LA刑事のハリー・ボッシュシリーズと、リンカーン弁護士(固定した事務所を持たず車の中が事務所)のミッキー・ハラーシリーズの融合作品。

    弁護士のハラーは地区検事長から呼び出される。一時的な検事をやって欲しいとのこと。24年前に、ジェサップという男が少女を殺害した事件。新たなDNA検査によって、被害者の服に付いていた精液は、被告のものではないと分かった。既に24年も刑務所にいるので、告訴を取り下げれば莫大な額の賠償金を払わねばならない。再審となれば勝たねばならないが、検事局では多くの者が以前の事件に関わっているので、無関係の者に検事として裁判を取り仕切って欲しいとのことで、ハラーに依頼が来たのだ。難しい事件ではあるが、元妻で左遷された検事のマクファーソンとボッシュに手伝わせてくれるならと了承する。対する弁護士はなかなかの辣腕。ボッシュの捜査から様々なことが分かるが、果たして裁判に勝てるのか・・・

    ううむ。面白い。面白過ぎる。トゥインタラスティングだ。

    ボッシュとハラーそれぞれの目線で、章を交互に描かれる。捜査も面白いのだが、なんといっても法廷のシーン。たまらなく面白い。

    陪審員は事件についてニュースを観たり新聞を読んだりしてはいけないことになっているけれど、もしそうしてしまったらどうなるのかとか、証拠の扱い方、証人の扱い方など、裁判におけるテクニックがこれでもかと出て来る。私はアメリカのリーガル・サスペンスを読むのが好きなのだけれど、一つはこの裁判で見られる闘いや闘いの技術に興味があるからだと思う。スポーツが面白いのはルールがあって、その上で闘うからだと思うけれど、裁判も同じように、ルールが厳密に決められた(しかも素人読者の私はそもそもルールに詳しくないので、ルールそのものを知るのも楽しい)ある種のスポーツなわけで、だから楽しんで読めるのだと思う。

    途中の、身の毛もよだつようなシーンや、ラストの意外な展開などがわ単なるリーガル・サスペンスでない、極上のエンターテイメントに仕上げてくれる。とってもオススメ。シリーズものなので基本的には前の作品から順に読んだ方がよいのだけれど、本作はあまり以前の件が関係ないので、ここから読み始めるという手もあり。

  • (上巻より)

    ただ、ミッキーの手腕もボッシュの捜査も素晴らしかったけど、
    この作者にしてはちょっと展開の意外性がなかったというか、
    ひねりが少なかったというか。
    最終的に被告に罰を与えられなかったのも不満。
    警察官に射殺されるという結果だったとしても。

    辛い人生を送ってきた被害者の姉が証言台に立つところ、
    彼女の「証言」を、彼女の勇気を、
    ボッシュとミッキーの働きで守った場面は感動的だった。

  • ミッキーの法廷手腕が流石!とハッピーな展開となっていたのに、結末はいつも通り、司法とはなにか考えさせられるモヤモヤが残る。
    ミッキーとボッシュの二人の語り目線が、読み手に飽きさせない物語になってる。

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著者プロフィール

Michael Connelly:1956年生まれ。LAタイムズ元記者。代表作としてはボッシュ・シリーズ、リンカーン弁護士シリーズがあり、当代随一のストーリーテラー。

「2023年 『正義の弧(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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