わたしの彼氏 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 27
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062779838

作品紹介・あらすじ

繊細で美男な大学生、鮎太朗。女はみんな彼に片想い。でも、結局はなぜか彼がふられてしまう。刺されたり貢がされたり、その一方で自分を慕い続ける可愛い同級生には心惹かれない。理不尽で不条理だけど、恋する男女はいつも真剣なのだ。芥川賞作家が恋愛の不思議を温かな眼差しで綴る傑作長編。

感想・レビュー・書評

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  • 大学生の鮎太郎のお話
    4人姉弟で上に3人の姉がいる
    姉たちもおもしろいし、出てくる女性たちもまた物語を盛り上げていました
    そしてところどころに笑いどころもあり楽しめました

    鮎太郎の姉弟たちに会ってみたいなぁ

  • 以前読んで、漠然ととても好きだったという記憶があったので再読。やっぱり好き。なんだか爽やかな気持ちになる背景描写と、美男子のきれいで優しくて悩ましい恋模様。
    美男子であるがゆえに周りが積極的に人生に介入してくるからか、なんだか受け身で、相手のことを受け止めすぎて、最終的にいつも捨てられてしまう主人公。人生とは人との関わり合いで、人との関係無しには自分は語れないけど、やっぱり自分で自分の幸せを見出さない限り、他人に振り回され続けるんじゃないかな。それがいいか悪いかは別として。そんなことを最後に主人公も少し感じたのかな?

  • あんまり面白くなかった。鮎太朗の姉ゆり子さん苦手だ。
    恋愛って自分が欲しいものや足りないものを相手を使って埋めようとする行為よな。
    最後は女が強いんだなって何でか誇らしくなったし、テンテンが報われたみたいで良かった。

  • 読了

  • どうしようもない場合を除き、誰も鮎太郎を悪いようにはできない。女達は来る、うるさくなる、去る。寄せては返す波のように、鮎太郎は女性に翻弄される。あるいは意図せずに鮎太郎が女性を翻弄する。大学生の時点で、全ては反復だと気付いた鮎太郎。彼の人生はずっと女性の波が寄せては返す、退屈しない刺激的なものなのだろう。そんな男性として生きるのは楽しそうに思えるけれど。鮎太郎にとっては自分を生きられないという息苦しさがあるのかな。その悩ましさがまた人を惹きつけると。モテ男めー!

  • とにかく、吸引力がすごい。
    一癖も二癖もある女ばかりを次々と惹きつける、ダイソンなみの吸引力を持つ美青年が、「振る」のではなく「振られまくる」恋愛小説です。

    それにしても、石田衣良の【娼年】の主人公しかり、伊坂幸太郎の【バイバイ、ブラックバード】の主人公しかり、そして本作の主人公しかり。
    こんなにも女性達を魅了してやまない男達が、そろいもそろってキャラが立ってないのは何か理由があるのでしょうか?
    主人公は【ぼく】なのに、タイトルが【ぼくの彼女】じゃなく【わたしの彼氏】なのも納得の存在感の薄さです。不思議。

    読んでる間そればっかり気になってしまって、肝心の主人公の【ヤヴァイ女達に翻弄されまくる恋愛事情】があんまり刺さって来てくれなかった。残念。

  • 主人公鮎太郎とそれをとりまく姉妹、友達、彼女たちとの日々を描いた恋愛小説。これといった感想はない。

  • 年を重ねれば重ねるほど、恋愛にばかり時間を割いてはいられない。いい年して色恋に打ち込んでいれば、周囲からは白い目で見られること必須である。

    それでも恋愛って、楽しい。(つらいし、むかつきもする。)

    潜在的には恋愛にのめりこみたい。それは思春期であろうと大人であろうと変わらないのかもしれない。

    ドラマや漫画や勿論小説でも、恋愛が主軸の物語はいつだって愛されている。主人公を自分に重ねて疑似体験できるからだろう。

    「いい年」になり、愛だの恋だの言っていられなくなってしまった人には、青春小説を読んで取り急ぎ満足するしかない。

    そこで、青山七恵さんの『わたしの彼氏』。

    主人公である鮎太朗は非常にモテる、モテすぎて不運な大学生。モテるからひっきりなしに彼女ができる。
    鮎太朗も誠実にそれに応えるし、本人も一生懸命愛しているつもりだ。

    それだけならつまらない話だけれど、彼はなぜか毎回女性から捨てられる。しかも熱狂的に、病的に愛された後に。その闇を探るのがなかなかに面白い作品。

    ヒロインは、暴力で愛を確認するコドリさんや、死ぬ死ぬ詐欺のサッちゃん、一途すぎて怖いテンテンなど。

    作中に登場する鮎太朗の三人の姉たちも、鮎太朗を虐めて、愛している。

    一方鮎太朗は、優しくて、女性たちには何でもしてあげたくなってしまう。与える人。

    そんな恋愛のスタンスを見ていると、鮎太朗のアイデンティティがあまりにぐらぐらしているように感じる。

    鮎太朗の希薄性が彼をモテさせると同時に、女性たちの狂気を引き出しているのではないか。そして結果、捨てられてしまうのである。

    鮎太朗のポジションは常に「わたしの弟」であり「わたしの彼氏」。「ぼくの姉」「ぼくの彼女」と表現できるような存在の確かさが、彼にはない。

    ぐらついたアイデンティティだからこそできる軽く狂った鮎太朗の恋愛は、もしかしたら「いい年」した大人に、自身の思春期の恋愛を思い起こさせるかもしれない。

  • 顔は良いし、なんでもしてくれる、許してくれる"優しい"男の子なのに、なぜか最後には振られる。鮎太郎を見てて、優しいってそういう"何でもしてあげる、なんでも許してあげる"ことじゃないんだなって思った。テンテンとの結末でお話は終わるものだと思ってたから、最後は拍子抜け。結末は読者に委ねる系ラストでした。

  • 16/08/24
    鮎太朗にいらついてしまう。なんなんこいつと思ってしまう。でもこういうやつがモテるんだよな世の中。
    テンテンが不憫。だってきっと同じことの繰り返しなんだよ。鮎太朗は変わらない。この先も繰り返し。

    ・鮎太朗のポケットで携帯電話が鳴った。彼女はこの弁当屋ごと爆破したくなった。(P208 彼女、とはもちろんテンテンのことですよう)

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著者プロフィール

二〇〇五年に「窓の灯」で文藝賞を受賞しデビュー。〇七年「ひとり日和」で芥川賞受賞。〇九年「かけら」で川端康成文学賞受賞。著書に『お別れの音』『わたしの彼氏』『あかりの湖畔』『すみれ』『快楽』『めぐり糸』『風』『はぐれんぼう』などがある。

「2023年 『みがわり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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