僕たちのヒーローはみんな在日だった (講談社+α文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062816533

作品紹介・あらすじ

日本中を沸かせるサッカープレーヤー、プロ野球界屈指の名選手、プロレス「最強伝説」の男、カリスマアクションスター、昭和最後の銀幕美女、国民的演歌歌手――現代日本の芸能、スポーツ界を支えるコリアンパワーの真実

在日コリアン3世、舌鋒鋭い論客・朴一が、戦後復興期の英雄・力道山からアジアカップ優勝を決めたストライカー・李忠成まで、隣の国からやってきた日本の興行界の花形スターたちの生き様、パワーの源、知られざる苦悩を赤裸々に描く――。

感想・レビュー・書評

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  • 差別問題に関係する本をいろいろ読み漁っていて、在日コリアンに対する差別問題がまだ手薄だなぁと思っていた時に書店で見かけて購入しました。実際、この本を読むまで「在日コリアン」については殆どと言っていいほど知りませんでした。

    ですから正直、力道山、松田優作はもとより、和田アキ子、松坂慶子、都はるみ……彼ら/彼女らが朝鮮半島にルーツを持つということをこの本で初めて知って衝撃的でした。本書のp.70-71に在日コリアンの有名人の名前が載っていますが、「この人も!?」と思ってしまう程錚々たる面々が名を連ねています。無論それだけ、私自身が、彼ら/彼女らの出自に関して無頓着であったり、無意識ではあっても勝手かつ無疑問的に「日本人だろう」と思い込んでいたりしていたということの証拠でもあるわけなのですが。

    それにしても、「国民的歌手」「全国民に愛される選手」と、しばしば「国民的」というナショナリズムを伴ってその業績を称賛され、親しまれてきた人達の多くが、在日の人達であったという事実は、皮肉といえば皮肉かもしれません。まさに「在日コリアンが居なかったら、日本の芸能界も、スポーツ界も、成り立たない」と言わざるをえないほど、実際我々はメディアを通して多くの在日コリアンに触れていたわけですね。にもかかわらず、その事実を多くの人が知らない。しかも、在日コリアンであるという事実を隠さなければまた、日本の芸能界も、スポーツ界も、成り立たないという、そういう共同幻想が横行してきた歴史がある。このことは一体何を意味するのか。

    この本ではかなりの分量を、在日コリアンの有名人に関して、それぞれのルーツの紹介と、出自のカミングアウトのされ方の検証に割かれていて、在日コリアンに対する眼差しについてはそこまで分量は割かれていない印象でした。ただ、カミングアウトされたかされてないか、されたとしたらどのようにカミングアウトされたか、もしくは、自らカミングアウトした有名人たちはどのような思いからカミングアウトしたのかを追っていくだけでも、彼ら/彼女ら自身の「在日コリアン」という出自に対する眼差しが少しずつ見えてくるようにも思いました。根本に在ると思われるのは、やはり「劣等感」ですね。出自を明かしても差別されない世の中であって欲しいと思いながらも、「在日と知れたら、誰も見向きもしてくれない。自分の地位は危うくなるし、自分の生活を守ることは出来ない」という強迫観念にも似たアンビバレントな思いの中で葛藤していた姿が伺えます。また、TVや新聞といったメディア業界が、いかに強烈な差別体質を今日に至るまで温存し続けている業界であるかということもまた見えてきます。

    まぁ、でも今の日本のテレビタレントの出自と言ったら多種多様ですよね。国際色豊かになってきてますね。外国人タレントもかなりの数増えましたし、ハーフ・クォーター含めたらもっといるでしょう。はっきり言って、そういう状況の中でどこまで「在日コリアン」という出自が特別といえるでしょうか。私は、そこまででもないんじゃなかろうか、冷静に判断すればその辺はかなり相対的に見れるんじゃなかろうかと思うんですよね。しかし、そういう中でも厳然として差別される実態はある。私はその点でも、やはりおかしな話だなぁ、何でそうなっちゃうんだろうなぁということを疑問に思い、考えされられたことです。
    更に余談ですが、ここでふと「だったら、外国人タレントに対しては出自に関して差別しているだろうか? 朝鮮半島以外の出自は差別の対象になるだろうか?」ということも考えました。勿論私が詳しく知らないだけで差別はあるかもしれません。ただそう考えた時、どうも「在日コリアン」に対してはとりわけ差別があるような気がしてくるんですよね。もしそうだとしたら、そこもまたイビツだなぁと思った次第です。

  • 在日韓国人の苦悩、出生を隠す理由に迫る。いわゆる差別の一つとして在日を切る。和田アキコ、力道山など具体例も多い。在日の人も周りにいるのかもな、と感じ、韓国や北朝鮮のことを話すときは注意が必要だな、と思った。

  • 実は芸能人やスポーツ界に多いという在日。在日認定という言葉があるような出自による差別の実態。

    力道山の生涯だけで十分一冊の本になる濃い内容。カミングアウトしたり在日であることを誇りに思い生きる人たちもいるのだが。

  • 別段新しい視点はない。ただ、在日コリアンの「日本への愛情」という視点がないものか、、。

  • 日本が韓国・朝鮮を見下し、差別し、韓国・朝鮮が日本を嫌い、恨むという構図はいつか解消出来るのだろうか?ある意味で、私には互いが互いを恐れ、嫉妬しているだけのように思ってしまう。

  • イニシャル部分の謎を探ったりして面白い

  • 力道山の奥様へのインタビュー以外、ほぼ引用で残念。芸能絡みは20年以上前から知られていることばかり。
    薄い。

  • 意外な人が在日だったことにびっくり。差別の根幹は変わらないし、嫌韓の流れはしばらく続く。

  • 単行本で既読。

  •  
    ── 朴 一《僕たちのヒーローはみんな在日だった 20110524-20160318 講談社》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4062816539
     
     朴 一 経済学 1956‥‥ 尼崎 /大阪市立大学大学院教授/同志社大卒
    http://twilog.org/awalibrary/search?word=%E6%9C%B4%20%E4%B8%80&ao=a
     
    (20160416)
     

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著者プロフィール

1956年、兵庫県生まれの在日韓国人3世。
1980年、同志社大学卒業。
1988年、同大学院商学研究科博士後期課程修了(商学博士)。
1990年9月より2022年3月まで大阪市立大学経済学部に勤務。
大阪市立大学大学院経済学研究科教授を経て、現在、大阪市立大学名誉教授。テレビ・ラジオコメンテーター。
著書に『韓国NIES化の苦悩』(同文舘出版)、『〈在日〉という生き方』『「在日コリアン」ってなんでんねん?』『僕たちのヒーローはみんな在日だった』『日本人と韓国人 「タテマエ」と「ホンネ」』『在日マネー戦争』(以上、講談社)、『越境する在日コリアン』(明石書店)、『朝鮮半島を見る眼』(藤原書店)、『20世紀東アジアのポリティカルエコノミー』(晃洋書房)などがある。

「2023年 『在日という病 生きづらさの当事者研究』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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