- Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062828123
作品紹介・あらすじ
585年、飛鳥の都-。時の大王の崩御に伴い、皇位継承争いに名乗りを上げた穴穂部王子だったが、豪族・蘇我馬子と物部守屋の権力抗争が激しさを増す中で、その運命はやがて思いもよらない方向をたどっていく…。『日本書紀』に描かれた史実を大胆に新解釈。本格歴史ロマンの新境地誕生。
感想・レビュー・書評
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『日本書紀』に描かれた史実をもとにした歴史小説。
面白かった。
仏教を受け入れるか否かという、蘇我と物部の権力抗争とか。
渡来人の存在とか。
知識としては知っていたことが、いきいきとした人々の営みとして感じられる。
人物も不思議と心惹かれるものがあった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
国が蘇我と物部とで揺れ動いていた時代に生きた穴穂部の激情を鮮やかに描いていた。
個人的には宅部と仲が良くて嬉しい。藤ノ木古墳だ。
印象的だったのは渡来人の感情をとても細かく描写していたこと。 -
穴穂部皇子を主人公とした飛鳥時代小説。
著者の藤ノ木陵先生の名前は藤ノ木古墳を由来とされてるのでしょうけれども、それにふさわしいこだわりが見られる。創作だから史実と離れていても仕方ないよね、という逃げ・妥協がほとんど無い。
史書や研究書を読み込んで、全力で書き上げたことがわかる。古代史ヲタも納得の作品。 -
読み終えて、まるで峻烈な炎だなと思った。蘇我氏と物部氏が対立する中、王位を欲して生き急いだ穴穂部王子の姿が、鮮やかに描かれている。その輝きは、王子が手をのばそうとした星の瞬き1つほどの時間かもしれないが、だからこそいっそう強く心に残るのだろう。そして勢力争いという表舞台の陰で、韓人たちが作り上げた技の結晶にひそむ企み――たくみな技術と仏教のコラボにより、じわじわと潜在的に日本への支配力を強めていく外つ国の意図が恐ろしい。