脳のなかの身体―認知運動療法の挑戦 (講談社現代新書 1929)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062879293

作品紹介・あらすじ

リハビリテーションに奇跡はない、しかし進歩はある──「この手足はなぜ動かないのか」。身体にのみ目を向けた旧来の運動療法は、脳卒中片麻痺患者の回復への期待に応えることができず、敗北を重ねてきた。損傷しているのが神経回路網なら、治療すべきは脳であり、「中枢神経系」の再生をはかるべきである。イタリアで産声をあげた認知運動療法の確かな歩みは、ここに始まった。すべては人間再生のために。

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  • 著者:宮本省三[みやもと・しょうぞう] 理学療法士。
    https://www.kochi-iryogakuin.com/mobile/pt/about.html

    【製品情報+内容紹介】
    発売日:2008年02月19日
    価格:本体740円(税別)
    ISBN:978-4-06-287929-3
    通巻番号:1929
    判型:新書
    NDC:494.78
    ページ数: 256
    シリーズ:講談社現代新書

    リハビリテーションに奇跡はない、しかし進歩はある──「この手足はなぜ動かないのか」。身体にのみ目を向けた旧来の運動療法は、脳卒中片麻痺患者の回復への期待に応えることができず、敗北を重ねてきた。損傷しているのが神経回路網なら、治療すべきは脳であり、「中枢神経系」の再生をはかるべきである。イタリアで産声をあげた認知運動療法の確かな歩みは、ここに始まった。すべては人間再生のために。
    http://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000210415

    【簡易目次】
    はじめに [003-006]
    目次 [007-009]

    序章 怪物との闘い 011

    第一章 脳損傷により身体に何が生じるのか 021
    1 運動麻痺――思うように動かない手足 022
    2 感覚麻痺――世界を感じ取れない手足 033
    3 身体空間の変質 042
    4 身体の高次脳機能障害――所有感覚と主体感覚の異常 049
    5 失われる「私の身体」――ゼロになるからだ 062

    第二章 ホムンクルスの脳科学 073
    1 脳の表象 074
    2 ホムンクルス 085
    3 身体部位再現 094
    4 身体イメージ 105
    5 運動イメージ 112

    第三章 脳のリハビリテーション 123
    1 人間機械論批判 124
    2 世界に意味を与える身体 136
    3 認知運動療法とは何か 145
    4 運動機能回復は運動学習である 161
    5 経験は脳を改変する173

    第四章 認知運動療法によって何が回復するのか 185
    1 ある患者の証言 186
    2 脳卒中片麻痺の回復――随意運動の回復と自然回復 194
    3 運動麻痺と感覚麻痺の回復 206
    4 身体空間の回復 214
    5 「私の身体」を取り戻す――身体意識の回復 223

    おわりにかえて――見果てぬ夢 [237-249]
    参考文献 [250-254]

  • 現象学とリハビリテーション、なんとなく繋がりがあるようではっきりとしないことを明確に理解することができたような気がする。

    ノーマン・ドイジ『脳はいかに治癒をもたらすか』にも近いが、こちらはずっと身体に重点を置いているし、新書ということもありずっと読みやすい。
    「なぜ動かない手足の回復を目指すとき、敗北を重ねてきたのか」という問いかけに対して、身体の所有感覚と主体感覚などの基礎から読みやすく解説してあり考えさせられました。第4章の

    「身体がここにある感じ」である。私の身体は、いつも今「ここ」にある。

    というのは印象に残ったというかぶっすりと刺さった。

  • 認知運動療法を知る上では基礎的な事が記載されている。
    治療というよりは考え方の記載。

    医療用語も多用されており、教科書としても活用可能。

  • 認知運動療法とはどんなものか?と疑問に思い、手に取った一冊。理論や考え方は好き☆実際のアプローチには賛同できない面もちょいとあり。CVA患者は、運動麻痺や感覚障害で、外界との相互の関係性を失う。それは自分の体の存在感を失うということ。つまり脳の中のある身体(図式)が混乱。その中でもう一度自分の身体を取り戻すためには、脳ネットワークシステムのどこを使い、活性化を図り、再構築をしていくか?それには知覚・注意・記憶・判断・言語の認知過程の活性化が不可欠というのがこの理論。
     筆者宮本先生の患者さんを良くしたいという長年の悩みの中で見つけたこの理論。今、なにげなく行われている治療に危惧を発し、全く新しい治療法でもある。だからこそとっつきにくい。しかし本当に今の日々の治療を、何十年と変わらず、やってきてこれからのリハを自分がどう考えるのか?筆者の熱いメッセージが書かれている。

  •  宮本省三の最新刊である。認知運動療法入門といってよい。リハビリ・介護関係者は必読。リハビリの歴史もよく理解できる内容となっている。

     <a href="http://d.hatena.ne.jp/sessendo/20090323/p1" target="_blank">http://d.hatena.ne.jp/sessendo/20090323/p1</a>

  • 認知運動療法の解説書。
    筋肉や反射を鍛えて健側をよりよく日常生活に適応させようとする現在主流の理学療法に対し、
    失われた脳神経回路を学習によって再構築することで麻痺からの回復をはかる療法。
    実際にどの程度効果があるかは不明だが、考え方としては納得できる。
    変な精神論に陥りそうな雰囲気も持ち合わせている。

  • とても新鮮な内容でした。タイトル及びサブタイトルからも分かると思いますが、
    社会学的な感じではなく、医学的な内容だったからです。普段、こういった医学的
    な内容の本めったに読まないんですが、図書館の新書コーナーにポツンと置いて
    あったので、なんとなく手にとって・・・。

    本書は、従来の理学的療法の問題を明らかにして、全く新しい認知学的療法を
    推奨している事がおおまかな内容です。具体的に言うと、例えば下半身麻痺の患者に
    対して、マッサージや下半身以外の身体を鍛える事に主眼を置いてきたのは
    間違いで、問題は脳にあるのだから、脳の中にある問題部位を特定し、そこを
    回復させるような治療プログラムを組むべきって事ですね。単純に言えば。

    本書において、学ぶべき点はかなり多くありますので、読み応えはありますし、
    なにしろ普段、このような医療の現場にいる事がないので、患者さんの現実的な
    話や状態を知る事はとても良い機会だったと思います。
    しかし、自分がいつなるかわからない脳卒中・・・、その後訪れるかもしれぬ
    麻痺状態、気をつけなければなりませんね。

    本書あとがきに、筆者がなぜ新しい認知運動療法に目覚めたのかを、述べていまして
    その中で、この療法の生みの親、つまり筆者の師匠?にあたる人から、
    「何を見ても、何を経験しても、全て、どうやったら治療に活かせるのか考えなさい」
    という教えをされたと述べていました。なかなか良い教えだと、個人的には思います。
    私も、全ての経験・体験を何かに活かせるように考えて行動したいと思いました。

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著者プロフィール

日本認知神経リハビリテーション学会会長/高知医療学院学院長 
著書に『恋する塵:リハビリテーション未来圏への旅』(共同医書出版社 2014)、『脳の中の身体:認知運動療法の挑戦』(講談社新書 2008)他

「2024年 『談 no.129』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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